第七話 ドラゴンと小悪魔たち その二
「すっごぉーーーーい。イーヴィル! ドラゴンが火をふいてるよぉ~!!」
「ほんとだぁーー。すっごいなぁー! 火をふいてる~~~!!」
「昨日から、この辺りでずっとあのドラゴンが暴れてるって街から連絡があったんだ。お前らアイツと戦ってみるか?」
「ちょっとちょっと~! 魔王ったら、何言ってんのよ! イーヴィルは男の子だからまだ良しとしても、ミーアは女の子なのよ!」
私が鏡の中の魔王に向かって叫んでいると、オースティンに少し落ち着くようにと宥められて私は一度椅子に座って深呼吸していた。
「やるやる~~!!」
「やるやる~~!!」
「良し! それじゃ~お前らオレ様にしっかりとついて来るんだぞ!!」
魔王はキャッキャとはしゃいでいる小悪魔たちを引き連れて
炎を吐いて暴れまわっている赤いドラゴンのすぐ側まで近づいて行った。
「オースティン! お願いだから魔王を止めるように魔女たちに言って!!」
「ククク。きっと止めても魔王もあの子たちも聞き入れないでしょう。ここは、少しこのまま見守りましょう」
私が心配でたまらなくなって、オースティンに魔王を止めるように頼んでいるのにオースティンはクスクスと笑って真面目に聞いてくれなかった。
「きっと、大丈夫ですよ! そんなに心配しなくても魔王が側に付いているのですから」
「そ、そうね。魔王がいるものね。そうよね」
もう一度大きく深呼吸をしてから、私は鏡に映し出された魔王と小悪魔たちのドラゴンとの実戦の様子を黙ってオースティンと一緒に見守ることにした。
「魔王よ。ノコノコとここまで私の炎に焼かれに来たのかい?」
「うるせぇ!! そんな炎に焼かれるようなオレ様じゃねえんだよ!」
「イーヴィル! やるよ! おっきいまりょくの玉だして!!」
「いいよぉー! ミーア! アイツのよこっぱらねらおうぜ!!」
魔王がドラゴンと話している間に、小悪魔たちは頭の上に両手を掲げて大きな魔力の玉を出してドラゴンの横っ腹に同時に力一杯放っていた。
「ぐわぁァァァーーー!!」
ドラゴンは横っ腹にまともに小悪魔たちの魔力を受けて、すごい勢いでその場に倒れ込んでしまった。
「やったよ~♪ イーヴィル!!」
「やったね~♪ ミーア!!」
「馬鹿か! お前ら!! 勝手に攻撃するんじゃねえ!!」
魔王はすぐに二人を抱えてドラゴンから少し離れた岩山の影に下がって小悪魔たちを怒鳴りつけていた。倒れたドラゴンはすぐに起き上がると翼をすごい勢いで
羽ばたいて竜巻を起こし口からは炎を吹き上げて怒り狂っていた。