第二話 小悪魔たちの教育 その二
しばらくベッドで、放心状態だった私は。様子を伺いに来た世話係に起こされると手を引かれてそのまま浴場まで連れて行かれて、いつもの様に身体をゴシゴシと綺麗に洗われて、サウナで汗を流して水風呂で身体を引き締めてマッサージを念入りにされてから部屋へ戻された。いつの間にか中庭は静かになり、小悪魔たちはやっとお昼寝タイムに突入したようだった。
「あれだけ、朝から騒げば……疲れて寝ちゃって当然よね(笑)」
「そうでございます。ミーア様もイーヴィル様もほんと元気がよろしくて、この時間と夜の就寝時間が乳母も世話係の私たちも一番心休まる時間なのでございます」
胸に手を当てながら、世話係の小さな魔物たちはホッと一息ついて笑っていた。
「美乃里様が奥さまでいて下さるお陰で、これでもまだ犠牲者が出ずに済んでいるので私共は有難いことだと感謝しております」
「そうなの? えーっと。もしかして……。魔王が子供の頃って、もっと酷かったってこと?」
世話係の言葉に私が驚いて、魔王の子供の頃のことを聞いてみると慌てて世話係は下を向いて青い顔をもっと青くしていた。
「フフフフフ♪ それはもう、魔王がお小さい頃はどれだけ世話係の小さい魔物たちが犠牲になったことか……」
「あ。オースティン!? いつからそこにいたのよ! 本当なの? 犠牲って何? 死んだってこと?」
クスクスと笑い声が部屋の入り口から聞こえて来たので、私がふと振り返ると。大魔法使いオースティンが、世話係の代わりに私の疑問に答えてくれていた。
「魔王がお小さい頃は、この城内のあちこちで小さな魔物たちの断末魔の叫びが響き渡っていたそうですからね。フフフ♪」
「そんなに? 大袈裟に話して私をからかってるんじゃないの? いくら魔王でもそんなの……」
オースティンの話が信じられなくて、私が笑って立ち上がると。横に控えていた小さな魔物たちはガクガクと震えて、その時のことを思い出して本当に怯えているようだった。
「あらら。マジで本当なんだ。なんてことなの……」
「魔王がお小さい頃は、ご自分の魔力の抑え方がわからずに。すぐに癇癪を起こすと、まわりのものを手当たり次第に破壊していたようです。ですから、この城も何度も破壊されて……。その度に修復を繰り返して大変だったそうです。それに比べればミーア様もイーヴィル様も可愛いものでございます」
なるほどね~。魔王はだからあの小悪魔たちの様子を見守っているんだわ。自分がしたことを考えれば、確かに今の小悪魔たちのいたずらなんて可愛いものでしょうしね。
「魔王が丁度、あのお二人位の歳の頃に。このままでは、この魔界だけでなく天界や人間界までもが滅びるかもしれないと懸念した先代の魔王が天界の神に力を借りて、今の魔王さまの半分の魔力を美乃里さまのお身体の意識の奥底へ封じ込めたのでしょう。そして、それが美乃里さまが転生しても繰り返されているのです」
「そ、それも迷惑な話よね。勝手に人の身体に魔力なんて封じ込めちゃって! 魔王も神もほんとに自分勝手なんだから~!」
私がオースティンの話を聞いてふくれっ面をしていると、今度は入り口の方から娘のサラの笑い声が聞こえて来た。




