エピローグ
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そして、あれから半年後……。そんなこんなで、少しだけ成長した小悪魔たちは乳母や世話係たちを困らせることもあまりしなくなり、魔界について色々と勉強を始めたり、魔王と一緒にドラゴンたちと戦いの実戦に遠くの街へ出かけたり本当に充実した日々を送っていた。
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「お生まれになりましたぁーーーー!! 元気な姫さまでございますよーーーー!!」
「生まれたのね!! やっと、やっと! サラの子が……」
昨日の朝からサラが産気付いてざわざわしていたお城の中も、無事に元気な女の子が生まれたことで、お城中に歓喜の声が上がりお祝いの準備で賑わっていた。
「可愛いわね~♪ サラに似て見事に真っ赤な髪をして、瞳の色が魔王に良く似た蒼い瞳をしてる。肌の色はルークに似たみたいね。透き通るように白い肌。うらやましい~! きっと美人になるわよ!」
「ありがとう♪ 母さま。初めての子が女の子でちょっとホッとしてるの。父さまみたいにやんちゃな男の子だったらどうしようかって、本気で悩んだこともあったからね。フフフ」
本当にサラはホッとした顔をして元気に手足を動かしているわが子を優しくその腕の中に抱いて笑っていた。
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「名前はどうするの? もう、決めたの?」
「うん。ルークが女の子だったらアリスにするって決めていたの。ほら、母さまのお気に入りのあのお話を前にルークに読んで聞かせてあげたら、主人公のアリスに惚れ込んじゃってね」
「あはは。そうだったんだ。ふしぎの国へ冒険にウサギに連れて行かれなければ良いんだけどね。フフフフフ」
私とサラがアリスを見つめて笑っていると魔王とルークが瞳をキラキラさせて帰って来た。
「サラ! ご苦労様。大変だったね。ついていてあげられなくてごめんね。急にオースティンさまから大事な仕事を任されてしまってね。本当にごめんね」
「オイオイ! いちゃつくのは、オレ様がいなくなってからにしろよな! サラ! 良く頑張ったな♪ 元気そうで安心したぜ」
「ルークも父さまも、ありがとう♪ ルーク! お仕事だったのだから、そんな風に気負うことないのよ! ほら、アリスの父さまになるのだから、もっと堂々として!」
サラにアリスを差し出されてルークは戸惑いながらも、嬉しそうに笑ってその腕にわが子を抱いて喜びを噛み締めているようだった。
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「サラ姉さまぁーーー!!」
「サラ姉さまぁーーー!!」
頬を真っ赤にして息を切らして双子たちも瞳をキラキラさせてアリスが無事に生まれたことを知らされてお城に帰って来た。
「うわぁ~! ちっちゃーい♪」
「ほんとだ! ちっちゃいね~♪」
人間として例えると、15歳くらいだろうか? この半年で双子たちは見る見る成長して、背も私とあまり変わらないくらいまで大きくなっていた。
「サラ姉さまにそっくりね。可愛い♪」
「でも、瞳は父さまと同じ蒼い瞳をしてるぜ!」
「相変わらず、あなたたちは元気が良いわね♪」
サラは起き上がると双子たち一人一人を優しくハグしてやっていた。
「魔王一族の平和なひとときですね。フフフフフ♪」
「あっ! オースティン! いつからそこにいたのよ!」
「サラさまにお祝いを申し上げにと思って来たのですが、なんだかお邪魔だったみたいですね」
「そんなことないわよ! ありがとう♪ オースティン!」
サラの変わりに私がオースティンにハグをしてお礼をいうと、オースティンは嬉しそうに笑顔で「姫に幸福が訪れますようお祈りいたしております」とアリスの額にそっとキスをしていた。
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そして更に一年後、やんちゃだった双子の小悪魔たちはスッカリ大人に成長してドラゴンたちと、魔界の平和を魔王と一緒に守る役目を果たすようになりました。変われば変わるものでしょ? 時々、やりすぎちゃって魔王にすっごく怒鳴られてるけどね。フフフフ♪
【END】
いつかまた、今度は双子の恋のお話でもお話できればと思っています。最後までお付き合い下さってありがとうございました。それでは、また会うその時までさようなら。




