魔王VSベリアル その一
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私は興奮している双子たちに温かいミルクを飲ませて、気持ちを落ち着かせてベッドへ寝かせてしばらく側で子守唄を歌ってやった。小悪魔たちも竜の子も騒ぎ疲れたようで、すぐに寝息を立てて眠ってしまった。
「この子たちが無事で良かったわ。さっきは、私も本気で魔力を使う所だったもの」
「そうですね。確かに、もの凄い怒りのオーラが美乃里さまから放たれていましたものね。フフフ」
「ちょっと! オースティン! 面白がってるんじゃないでしょうね? 怒るわよ!」
「いえいえ。とんでもない! 面白がってなどおりませんよ」
クスクスと笑っているオースティンに向かって私が怒鳴ると。オースティンは苦笑しながら、手にしている杖を鏡にあてて魔王の様子を映し出していた。
「ここはどこ? 私、行ったことないかも……」
「そうでしょうね。ベリアルの屋敷は魔界の中でも、かなり東の果てにございますので」
「……東の果て? そんなに遠くにあるの?」
「昔から顔を合わせれば周りのことなど気にせずにお二人は魔力を使ってケンカを始めるので、先代の魔王がベリアルの一族を東の果てへ追いやってしまったのです」
なんだか、アザゼルと似たり寄ったりなんだと私はオースティンの話を聞いて大きなため息を吐いて椅子に腰掛けていた。
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「ここで間違いないようでございます。魔王さま」
「そうか。オイ! 本当にここにベリアルの野郎がいるんだろうな!」
「いると思いますがねぇ。オレもあの方のことはよく知らないんでね。保障は出来ませんがね。クククク」
魔王軍の兵士が魔王に屋敷の周辺を調べて間違いなくベリアルの屋敷のようだと伝えているようだった。そして、魔王が捕らえた魔物に確認すると気味の悪い笑みを浮かべて曖昧なことを答えていた。
「すぐに扉をぶちやぶれ!!」
「承知いたしました。扉をぶち破るぞ!!」
「「おおおおーーーーー!!」」
魔王に命じられて兵士たちは屋敷の扉をぶち破って中へ突入していた。魔王も屋敷の中に入ってベリアルを探しているようだった。
「出てきやがれ!! ベリアル!! それとも、怖気づいて出てこれねえのか? ヘヘヘへ」
「相変わらず、やることがド派手ですねぇー。魔王。私は逃げも隠れもするつもりはありませんよ。クククク」
魔王に挑発されてベリアルは涼しい顔をして姿をあらわしていた。しかし、その姿は今まで見た悪魔の中で一番? うーん。魔王と変わらないくらいということにしておこうかな? とにかく、すっごくイケメンな悪魔だったので私はすっごく驚いて思わず。うわずった声をあげてしまった。




