第二十一話 ドラゴンの短剣と小悪魔たち その四
急いで小悪魔たちの部屋へ私と魔王が駆けつけると、小悪魔たちが部屋の窓から見たこともない魔物たちに連れ去られそうになっていた。
魔王はその魔物に見覚えがあるらしくて、大声で叫びながらその魔物に飛びかかっていた。
「お前はベリアルんとこの手下じゃねえか! オレ様のガキ共をどうするつもりだこの野郎!」
「くそっ! しくじったか……。ずらかるぞ!!」
魔物たちは小悪魔たちを魔王に奪い返されて、悔しそうに舌打ちをすると仕方なくバタバタと大きな黒い翼を広げて窓の外へ飛び立った。
「ちょっと待ちやがれ! お前ら! そんなに簡単に逃げられると思うなよ!」
「グワァァァーーー!!」
「グワァァァーーー!!」
窓の外へ飛び立った魔物たちを見て大声で叫びながら、魔王は自分を舐めてかかった魔物たちに怒りを込めて、そこそこ大きな魔力の玉をおもいきりぶつけて、魔物を一体だけ中庭に落として兵士たちを呼んで拘束していた。
「くっそっ!! 一体だけかよ! 逃がしちまったぜ!!」
「クククク……。魔王よ。殺すならさっさと殺せ!」
「うるせえ! 殺すわけねえだろ? お前にはベリアルんとこまで、道案内してもらわないといけねえからな!」
魔王は捕らえた魔物に一発蹴りを入れると、ものすごい形相でその魔物を睨みつけていた。
「かあさま~! とうさま~! たんけんをとられちゃったぁー!」
「ミーアも! さっきのやつにたんけんをもっていかれちゃったの~!」
「あらら、持って行かれちゃったの? やだ。……気付かなかったわ」
「大丈夫だ!! オレ様がすぐに取り返してきてやる!」
私があたふたしていると、魔王は笑いながら小悪魔たちを抱き上げると、自信満々の顔をして、奪われてしまった短剣を取り返してくると約束していた。
「マジで頭に来たからな! 今回は絶対に手加減してやらねえ。覚悟しろよベリアル!」
「とうさま……。こわ~い!」
「とうさま……。こわ~い!」
さすがに魔界で魔王をやってるだけあって、真っ黒なオーラを全身に纏って魔王が本気で怒りに満ちていると、私も恐ろしくて声をかけることが出来なかった。すぐにたくさんの魔王軍を引き連れて、捕らえた魔物と共に魔王はベリアルという悪魔の所へドラゴンの短剣を奪い返しに城を出て行ってしまった。
「魔王がああなると……。もう、誰にも止められませんからね~」
「オースティン!? いつからそこにいたのよ!? それと。ベリアルって誰よ? 何者なの?」
「そうですね~。ベリアルは、アザゼルと同じく魔王の天敵とでも言っておきましょうかね? クククク」
オースティンは私の質問にクスクスと笑って楽しそうに答えると、側に控えていた魔女たちに魔王を追うように命令していた。
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