第十七話 小悪魔 VS 竜人 その二
小悪魔たちが竜人に向かって魔力で攻撃を仕掛けようと両手を頭の上に掲げて緑色の魔力の玉を出した、その時だった。
「お待ち下さい! ミーアさま!」
「お待ち下さい! イーヴィルさま!」
「え!? だれ?」
「え!? だれ?」
一瞬で小悪魔たちの前に双子の魔女たちが姿を表して攻撃を止めていた。
「ワタクシたちはお妃さまの命令で、ミーアさまとイーヴィルさまの警護をさせて頂いておりました」
「これ以上、竜人と関係を悪くするような無用な争いはお互いのためになりません。それに、お妃さまにお尻を打たれるのはお嫌でしょう? ですから、お止めさせて頂きました。一部始終をお妃さまは見ておいでです。どうなさいますか? ミーアさま? イーヴィルさま?」
「かあさまにおしりをぶたれるのはやだぁー!!」
「オレさまも~~~! ぜったいにやだぁー!!」
魔女たちはにっこり微笑むと、今度は竜人に向かって叫んでいた。
「お前もこのお二人が魔王さまのお子さまたちと知っていてこんな無礼をしているのでは無いのでしょう? ねえ? 竜人」
「もしも、これ以上。お二人に危害を加えるというのなら、ワタクシたちがお相手致しますが? 如何なさいますか?」
「いやいやいや~!! まさか、魔王のガキ……いや、お子さまとは知らなかった! いやはや申し訳無い! このことは穏便に! 穏便に! 何卒、宜しくお頼み申す!」
竜人は小悪魔たちが魔王の子供だと知らされて、額に汗をかいてペコペコと魔女たちに頭を下げて誤ると、ドラゴンの像の裏へ一度下がってすぐに戻って来て小悪魔たちに跪いて短剣を一つずつ差し出していた。
「これは、ドラゴンの歯で作った短剣でございます。どうぞお受取り下さい」
「うわぁ~♪ すげぇ~! 剣だ!」
「すごぉ~い♪ りゅうのおじちゃんありがとう~♪」
珍しいドラゴンの短剣を手にして、小悪魔たちはスッカリ機嫌を直してミーアなんて竜人に抱きついて喜んでいた。そして、竜人はフレイムとバーンにも小さな丸い玉を差し出した。
「お前たちには知恵の玉を一つずつ授けよう! これを首にかけると、すぐに言葉を話せるようになるし、私のように竜人の姿にもなれるようになる。その力でこのやんちゃな双子さまをお守りして差し上げれば良い!」
「クァァァーーー!!」
「クァァァーーー!!」
嬉しそうに鳴き声を上げている小さいドラゴンの首に、竜人が丸い玉をそっとかけると、本当に小さなドラゴンたちは言葉を話し始めた。
「凄い! 本当に話せるぞ!」
「ああ! 話せる! これでミーアたちと話せるぞ!」
「すっごーーーい! フレイムがしゃべってるよ!」
「わーーーー! まじですげぇ~や!」
小悪魔たちと小さいドラゴンは、お互いに言葉を交わせるようになってすごく喜んでいた。そして、小悪魔たちは竜人にした非礼をちゃんと頭を下げて謝ってから、魔女たちと洞窟の外へ出て魔王たちの所へ無事に戻ることが出来たので私はホッと胸を撫で下ろしていた。
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