4.決意
凪と夕飯を食べながら、いつも一人の食事は寂しいけれど、誰かと食べる食事は美味しいな・・・なんて考えていたとき、じーっとこちらを見ている視線に気が付いた。
「何???」
首を傾げて聞いてみた。
「灯は、毎日一人でご飯食べてるの?」
「もちろんでしょ?こんな私に友達なんかいるわけないよ。今、目の前にいる凪が初めての友達で、ほかにはいないよ。私の最初の友達!」
笑顔たっぷりで答える。
「うん。ありがとう。・・・でも、一人で食べるごはんは寂しくないの?」
「慣れたよ。それに、凪には見えないだろうけど、この部屋にはいたずらしない霊がいてね。
その人たちが、話し相手になってくれたり、話しかけられたりするからね。
言葉での会話じゃなくて、心での会話になるんだよ。」
「私には、無理な世界!!」
凪が爆笑している。初めて見た。凪ってこんな笑い方もするんだ。
「あ~。笑ったら、なんかすっきりした。灯の寂しさがこっちにも伝わってきてね。ちょっと辛かったの。
でも、うん。笑ったら、元気になった。話しの続き聞きたい。」
「拓斗さんって呼んでもいいのかな?」
「どうぞ。」
「拓斗さん、最近変わったことないかな?妙にふさぎ込んだりとか、人格がいきなり変わったような行動起こすとか?」
「知り合って、3か月。付き合って1か月経つんだけどね。最近、おかしいことだらけ。
・・・で、どうしたらいいかわからなくなって、灯に相談を持ちかけようと。」
「いつから?デートで出かけてから、おかしくなったりとか?」
「そうなの。2週間前に花見に行こうと誘われて、お花見にいったの。帰ろうと駐車場に戻った時に、30歳くらいの男の人に声かけられたの。
桜は、きれいでしたか?
って。私も拓斗さんも
ええ。とってもきれいでしたよ。今日は、天気もいいし、最高でした。
と答えたの。その時は、なんでもなかったんだけど、その次の日に拓斗さんのCafeに行ったときには
雰囲気からしておかしくて。お客さんがいるときは、いつもの拓斗さんなんだけど、私と二人きりになると、目つきが変わって・・・」
泣きそうな目で、私を見つめてくる。そんな、凪を見て抱きしめると、凪は私の腕の中に顔をうずめ、泣き出したようだ。時折、肩が震え、ひっくひっくと声が漏れる。
「凪!原因はその男性だよ。1つ確認したいんだけど、その人は、凪にも見えたんだよね?」
腕の中で凪が頭を縦に振り、頷いた。
「私の知る限り、凪は霊感が非常に弱いはずなんだよ。ここにいても、私以外見えないよね?」
いきなり、頭をあげ、部屋の中をぐるりと見渡すと凪は返事する。
「灯しか見えない。だれかいるの?」
怖々と聞いてくる。
「私には見えるからね。だけど安心して?凪の体調に悪影響を及ぼすとかはないから。」
凪の背中に手を回し、安心してもらえるようトントンと軽くたたく。
「凪。拓斗さんは、自分で自覚してないけど、そういうのが見える体質なんだよ。今までも、見えてたはずだよ。
たまに、独り言のようにぶつぶつ言ってたことない?」
「たまに、あったかもしれない。呟いたかと思うと、自分で自分に納得したりしたことあった。」
「その時の男性もその・・・霊なんだよ。あまりに強いものだから、凪にも見えたんだよ。そして、拓斗さんを元のように戻すためには、凪が必要な存在だから。拓斗さんに会わないといけないのだけど、凪の都合がいい日に合わせてくれる?」
「明日の学校の帰りでもいいよ。」
小さな声で返事が聞こえ、ひとまず私もほっとする。
「拓斗さんね、すごく力のある霊に、不幸になるようにと引きずり込まれそうなんだよ。そういう霊って…ね、幸せになってほしくないの。今、凪と拓斗さんは付き合い始めて幸せでしょ?それがうらやましいらしくてね。手を出しているの。
本当は、守護霊というのが、守ってくれるんだけど、今はちょっと力が弱まっていてね。
直接拓斗さんに会えば、どの作戦が有効に使えるか判断できるんだよ。」
そう、説明すると凪にも少し笑顔が戻る。
「凪、大丈夫?もう遅いし、送っていこうか?」
「電話かけると、うちの人が迎えに来てくれるって。」
私からそっと離れると、携帯電話をだし、電話をしている。
「まずは、第一段階終了!っと」
私は、背伸びをして動き出す。
さっき食べた食器を持って台所にいくと、片づけを始める。そのあとは、いつものように講義の話や課題の話になり、いつもの私たちの戻った。
そのうちに、凪の母親が迎えに来てお互い挨拶を交わした後、「明日ね♪」といい、凪と別れる。
すると、私の隣にかわいい女の子がぴたりとついてきた。
私と同居するひとりである霊のひとりである『彩加ちゃん』だ。
「聞いてたよ~。あの子の彼氏を助けるの?私も加わっていい?あの子って灯の大切なお友達?」
『そうだよ。参加はOKだけどね。しばらく静かにお願いね。』
いつものように心で会話する。さやかと話すと、一気にあちこちから、私の同居人である『いたずらしない安全な霊たち』が顔を出す。
『歩生』『祐』『琴音』『伶』だ。
『何かあったときは、いつものようによろしくね。』
みんな“うん、うん”と頷いてくれる。
一般には姿は見えなくても、私にとっては力強い味方だ。今までも、この子たちにずいぶん助けられた。
そして、この子たちは私の幸せを願ってくれる。
みんなの顔をぐるりと見回すとみんな笑顔だ。
私も頑張らなくてはいけない。大切な友を守るために・・・
いつも、読んでくださる読者のみなさん、お付き合いくださりありがとうございます。
うまく文章が書けているか大変悩むところです。
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