無料でAIを育てた人類(そして気づかなかった私たち)
いつも読んでくださりありがとうございます。
今回は、ふとした会話から思いついた小話です。
誰もが一度は見たことのある「あの画面」。
実はあれが“人類史上最大のボランティア労働”だった——
というお話。
コーヒー片手に、気楽に読んでいただければ嬉しいです。
人間は、頼まれたわけでもないのに働くことがある。
しかも、膨大な人数で、膨大な時間を、無料で。
昔、私は SETI@home に参加していた。
宇宙からの電波を解析し、
“宇宙人からの信号”を探すという夢のあるプロジェクトだ。
やることは簡単だった。
家のパソコンの余力を、勝手に解析に使わせるだけ。
宇宙ロマンがある。
目的が明確だ。
参加者ランキングもある。
「手伝ってもいいな」と思わせる、
正直で誠実な仕組みだった。
---
一方で、Googleがやっていた reCAPTCHA はちょっと違う。
「私はロボットではありません」
あのチェックのあとに出てくる、
信号機や横断歩道を選ばされる画面だ。
多くの人は、
「あー、ボット対策ね」
と思って何気なくポチポチ押していた。
ところが実際には——
それらのデータが、自動運転用AIの学習に使われていた。
荒れた数字を入力すれば、
古い文書のデジタル化に使われていた。
Googleは、世界中のユーザーに、
“無料で膨大なラベル付け作業”をさせていたわけだ。
もちろん、結果的には世界が便利になった。
だから私は、それ自体を責めるつもりはない。
ただ、こうも思う。
善意を利用するのは構わない。
でも、目的を隠して“働かせる”のはフェアじゃない。
同じ「無料の労働」でも、
SETI と reCAPTCHA には、明確な 誠実さの差 があった。
---
でも面白いことに、
あのタダ働きの積み重ねによって、
今のAIは成立している。
つまり今、私たちはAIを活用し始めてる
それを支えているのは、
知らないうちに汗を流していた世界中のユーザー達の労働だ。
そして気づかないうちに、
私自身もその一人だった。
無料で働かされた人類。
だが、その恩恵を最大に受けているのも
また私たち自身だ。
だからこそ、こう思う。
“善意は力になる。
ただし、誠実に使うべきだ。”
お読みいただき、ありがとうございました。
インターネットの裏側で、
知らないところで働かされていた私たち。
でも、その「労力」が現代のAI技術を押し上げたのも事実です。
気づかぬうちに、世界に貢献していたわけで……
複雑ですが、今の技術を少しだけ早めたと思えば
なんだか、ちょっとだけ得した気分にもなりますね。




