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雑談三昧  作者: カトーSOS


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23/28

合気道の痛みはストレッチだ

合気道をしていた頃の話をふと思い出した。

技の名前や段位より、もっと身体の奥に残っている感覚がある。

「痛いのに、気持ちいい」という、あれだ。

武道をやったことがない人には説明しづらいが、

合気道には独特の“快感の痛み”というものがある。

今回は、その不思議な世界を少し書いてみようと思う。

合気道を高校大学社会人と十年ほど続けていた。

よく「痛くないの?」と聞かれた。

正直、痛い。

練習では無茶なことはしないので

“関節が壊れる痛み” じゃない。

“伸びて気持ちいい痛み” に近い。


合気道をやっていた人間にしかわからないと思うが、

あの関節がギューッと持っていかれる感覚、

実はほぼストレッチだ。


二教で手首から肘にかけて伸びていくときなんて、

ここ数年で味わったことのないような深いストレッチが入る。

「あーそこそこ、そこ伸ばしたかったんだよ」という場所を、

相手がピンポイントで押してくれる。

まるで整体だ。


小手返しも同じだ。

痛いはずなのに、前腕がほぐれて軽くなる。

投げられたあと起き上がると、なぜか腰がスッとする。

合気道は武道であると同時に、体を整える技でもある。


そう思うと、合気道の面白さは、

「力で壊さないで、原理で動かす」というところにある。

だから技をかけられても、どこか安心して身を預けられる。


一回だけ実戦で使ったことがある。

近所で親子喧嘩(お父さんVS息子)が始まって、お母さんがうちにヘルプを求めに来た。

リビングで暴れている息子を見つけたので、わき固めでキュッと制した。

まさか私が取り押さえるとは思ってなかったみたいで皆が唖然としてる中、

しばらく抵抗していたが、おとなしくなった。

私はお母さんを見上げて、もう離していいですか?と聞いていた。


道場にはもう行っていない。

正直、面倒くさい。

合気道の稽古で一番難しいのは、技でも体捌きでもなく、

「道場へ行く」という行為だ。

そこを突破できるかどうかで、続くか続かないかが決まる。


十年続けると、技は自然に出る。

入り身とか、崩しとか、そんなこと考える前に体が動く。

たぶん技は一か月も練習すれば戻る。

残念ながら戻らないのは体重だけだが……


でも思い返すと、あの“気持ちいい痛み”は懐かしい。

技が決まった瞬間に走る、あのストレッチの感覚。

武道なのに、整体みたいなあの感覚。


合気道って、不思議で楽しい。

人を傷つけない武道でありながら、

自分の体がいちばん楽になる武道でもある。


またいつか、どこかの道場の畳で、

あの「痛気持ちいいストレッチ」を味わってみたくなる。

振り返ってみれば、十年という年月は長いようで短い。

技はすぐに戻るのに、体重だけは戻らない。

そんな笑い話を交えつつ、

合気道という武道が自分の中でどう生きているのかを書いてみた。


いま道場へ行く気力はないが、

合気道の身体感覚は、ふとした瞬間に蘇る。

あれは技の記憶というより、

“生き方の癖”のようなものかもしれない。


もしまた畳の上に立つ日が来たら、

昔みたいに痛気持ちいいストレッチを味わえるだろうか。

そう思いながら、今日も少しだけ体を伸ばしてみる。

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