↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑談三昧  作者: カトーSOS


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
116/121

説明ミッションは成功している〜キュウべい〜

あの説明シーンは、感情的には最悪だ。

人間を家畜に例えるなど、反発を招くに決まっている。

視聴者も、鹿目まどか自身も、

「なんてやつだ」と感じた。


だが、説明という観点に限って言えば、

あの場面は完全に成功している。


重要なのは、

まどかが納得したかどうかではない。

受け入れたかどうかでもない。

「理解したかどうか」だ。


答えは、明確にイエスである。


まどかは幼い。

抽象的な理論や宇宙規模の熱力学を

理解できる年齢でも立場でもない。

だからキュゥべえは、

難しい話をしなかった。


彼が選んだのは、

人間がすでに知っている構図だった。


人間と家畜。


非対称で、

利益が一方的で、

感情が共有されない関係。


この比喩は残酷だが、

同時に極めて分かりやすい。

説明としてのコストが、ほぼゼロに近い。


この瞬間、まどかは理解した。

自分たちとキュゥべえは対等ではないこと。

自分たちが「守られる側」ではないこと。

そして、この関係が

善悪では測れない構造であることを。


だから彼女は怒り、泣いた。

理解できなかったからではない。

理解できてしまったからだ。


人は、分からないものには怒らない。

怒るのは、

分かってしまったときだけだ。


もしキュゥべえが、

「宇宙のため」

「仕方のない犠牲」

「君は特別だから」

といった言葉で説明していたら、

感情は和らいだかもしれない。


だが、理解は成立しなかった。


あの説明が拒絶を生んだのは、

冷酷だったからではない。

誠実すぎたからだ。


キュゥべえは、

人間の価値観を理解しようとし、

人間が理解できる言葉を選び、

それでも構造を歪めなかった。


その結果、

もっとも嫌われる説明をしてしまった。


だが説明という役割だけを見れば、

あれ以上に正確で、

あれ以上に短く、

あれ以上に誤解の余地が少ない表現はない。


感情のケアは失敗した。

だが、説明ミッションは成功している。


鹿目まどかは理解した。

視聴者も理解した。


だからこそ、

あの場面は今も語られ続ける。


説明とは、

相手を納得させることではない。

相手に現実を見せることだ。


あのシーンは、

その意味で完璧だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。