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雑談三昧  作者: カトーSOS


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家庭内外食文化の違い

食事は、生きていくうえで最も身近な行為だ。

それなのに、家庭によって、あるいは個人によって、

驚くほど価値観が違う。


外食が好きな人もいれば、面倒で仕方がない人もいる。

雰囲気が大事だという人もいれば、

腹が満ちれば十分だという人もいる。


同じ「食べる」という行為であっても、

人によって“そこに何を見ているか”がまるで違う。


私は、長年、自分の外食観こそ普通だと思っていた。

しかし結婚してから、日常の食卓や週一の外食を通じて、

「家庭内外食文化の違い」というものが、

いかに根深く、そして面白いテーマであるかに気づいた。


このエッセイは、

そんな私と奥さんの日常から生まれた、

いわば“食の価値観のすれ違いと折り合い”の記録である。

私は昔から、外食というものに価値を感じにくい。

「雰囲気がいい」とか「非日常が味わえる」とか、

そういう言い方をされても、正直よくわからない。


腹が満ちればいい。

うまければなおいい。

時間と手間と金額が釣り合えば文句はない。


それ以上に必要なものが、私には特に思い当たらない。


だから外食は、面倒でコスパの悪い行為だと思ってきた。

家で作れば早くて安いし、片付けだって慣れたものだ。

料理というものは「目的達成の手段」であって、

わざわざ外で食べる必要性は薄い。


一方で、私の奥さんはまるで逆である。


育ちは良いが、実家の食卓は質素だったらしい。

普段の食事は私が作ったものを喜んで食べてくれる。

そのあたりは合理的で、似た者同士だ。


しかし外食となると、明らかに“文化”が違う。


彼女にとって外食とは、

料理だけではなく、

店に入る瞬間、席に通される時間、

照明、器、店員の立ち居振る舞い、

隣の席のざわめき、

そして「外であなたと食べている」という事実まで含めた、

ひとつの“体験”なのだ。


私は長年、それがまったく理解できなかった。


しかし結婚生活が長くなるうちに、こう思うようになった。


「外食が好きなのではなく、“外の時間”が好きなのだろう」


家の空気からのリセット、

自分のために誰かが料理を運んでくれる感覚、

そして私と外の景色のなかで話す時間。


それらが彼女にとって“外食”の価値なのだ。


対して私は、

外食の優位性をまったく感じない。


例外がひとつだけある。


焼肉食べ放題。


家で焼肉をしようとすれば、

匂いは残るし、油は飛ぶし、換気は追いつかない。

肉もタレも全部揃えれば高くつくうえ、

サイドメニューまで用意しようと思えばもはや外食より高い。


店ならばそれらがすべて解決されている。

火力も道具も換気も完璧で、

好きなだけ食べても値段は一定。


唯一、外食が家より優位に立つジャンルだ。


夫婦で生活していると、

こうした“家庭内外食文化の違い”が浮かび上がる。


私は実利重視。

奥さんは体験重視。


そのどちらが正しいというわけではない。


だから我が家では、

週に一度だけ外食の日を作っている。

私にとってはやや面倒で、多少の出費を伴うが、

奥さんが嬉しそうにしている姿を見ると、

それはそれで悪くないと思えてくる。


その週一の外食が焼肉ならば、

その日は私にとっても“当たり日”になる。

私はルンルンだ。奥さんは嫌がるかと言うとそうでもない。

奥さんはできた人で雰囲気を包括的に重んじるのだ。

焼肉の日は、焼肉モードに入る。


夫婦とは、価値観の違いを埋める作業の連続だ。

食事ひとつにしても、文化が違う。

でも、その違いを擦り合わせていくことこそ、

家庭の味になるのだろう。


夫婦で暮らしていると、

価値観の違いは想像以上にあちこちに顔を出す。

食事の好みひとつとっても、

自分の当たり前が、相手にとっては当たり前でない。


だが、その違いを否定したり正そうとする必要はない。

ときには折り合いをつけ、

ときには譲り、

ときには相手の喜ぶ顔に合わせる。


それらの積み重ねが、

気づけば家庭の“味”を形づくっていく。


私にとって外食の優位性は、

相変わらず焼肉食べ放題しかない。

だが、奥さんの嬉しそうな横顔を見ると、

外食にも悪くない価値があるのだと、

最近は思えるようになった。


文化は違っても、

一緒に食卓を囲むことで見えてくるものがある。


この小さな違いの積み重ねこそ、

家庭という場所を豊かにするのだと、

今は素直に思っている。



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