日本は一度落ちると、戻れない国である
仕事を失う。
収入が途絶える。
家賃が払えなくなる。
住所を失う。
この瞬間から、
人は制度にアクセスしにくくなる。
生活保護は「最後のセーフティネット」と言われるが、
現実には、ホームレスになってからでは遅いケースが多い。
住所がない。
身分証がない。
連絡手段がない。
結果として、
「働けますよね?」
「まず住居を確保してください」
という言葉が返ってくる。
つまり、日本の制度は
落ちる前までは比較的優しいが、落ちた後は急に厳しい。
だからこそ、本当に重要なのは
「落とさない設計」だ。
賃金を下げすぎないこと。
雇用を不安定にしすぎないこと。
言語能力や意思疎通を、軽視しないこと。
外国人労働者の問題は、票になりにくい。
だから政策は、企業の声を中心に静かに進んできた。
しかし、貧困が続く日本で、
これ以上、雇用の不安定化と賃金低下が進めば、
いずれ不満は噴き出す。
それは、排斥や憎悪という形で現れるかもしれない。
それは、誰にとっても不幸だ。
差別を生まないためにも、
制度で覆い隠すだけではなく、
現実を直視する議論が必要だと思う。
名前を書かなくなった領収書は、
単なる事務手続きの変更ではない。
それは、
日本の労働現場が、
言語、効率、賃金、雇用、制度のバランスを
どう保とうとしているのか。
その痕跡が、
静かに紙の上に残ったものなのかもしれない。
制度は、問題を解決する。
同時に、問題を見えなくもする。
だからこそ、ときどき立ち止まって、
「なぜ変わったのか」を考える必要がある。




