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雑談三昧  作者: カトーSOS


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アメリカが犯した地政学的ミス〜太平洋防衛バリア構想〜

歴史は、人間の意思よりも地形によって動く。どれほど壮大な理念を掲げ、どれほど軍事力を積み上げても、海と陸の形が変わらない限り、国家の行動範囲は決まってしまう。地図を開けば、国際政治の裏側が丸ごと見える。それなのに、政治家も外交官も、時にその“あまりにも当たり前の前提”を見落とす。アメリカが太平洋をどう守り、中国とどう向き合うべきだったかを考えると、そこには地政学的な盲点がはっきりと浮かぶ。太平洋の境界線は、本来もっと単純だったはずだ。もし日本列島、台湾、そして北方領土の三点が揃っていたなら、アメリカは太平洋を完全に掌握できた。理屈ではなく、地図がそう示している。本稿では、そんな“地形が語る現実”を、少し丁寧に辿っていく。

大国の威容や歴史的な正統性をどれほど語ろうとも、地形というのは嘘をつかない。結局のところ、国家の進路は地図に縛られている。中国がどれだけ近代化を進め、軍事力を伸ばし、太平洋への道を切り開こうとしても、日本列島と台湾という二つの島がそこにある限り、自由に外洋に出ることはできない。これは思想でも外交でもなく、物理の話だ。太平洋に出るための出口が限られている以上、それを塞がれている国の宿命は決まってしまう。


台湾が独立国家かどうかという議論も、結局はここに戻る。中華人民共和国が台湾を国と認めないと言い張ったところで、それは当事者の主張にすぎない。国際法的には、国家の三要素――領域、住民、政府――を満たしていれば国家であるし、国家の成立に国連は要らない。そもそも常任理事国が拒否権を振りかざすような前時代的な仕組みを“国家認定機関”のように扱うほうが無理筋だ。実際、台湾は国家として機能している。承認する国が増えれば、それだけで国家としての輪郭ははっきりする。中国がどう言おうと、それは中国の都合だ。世界の標準ではない。


面白いのは、アメリカと日本が台湾を正式に国家承認すれば、中国の「台湾は国内問題だ」という名分は一撃で吹き飛ぶということだ。長期的には台湾有事など起こりようがない。独立国を攻めれば、それは明確な侵略になるからだ。国際世論も制裁も軍事的反応も、一切中国を庇わなくなる。しかし、皮肉にもその“承認の瞬間”こそが最も危険だ。中国にとっては、独立を国際的に固定される前に既成事実を作りたい誘惑が最大化するからだ。火薬庫は、火をつける前が一番よく燃える。だから米日は曖昧戦略で現状維持を続けている。安全保障とは、正義より安全を優先する現実の学問だ。


それでも、日本と台湾が並んで存在していること自体、巨大な意味を持つ。地図を見れば一瞬で理解できるのに、政治の議論になると急に見えなくなる不思議な事実がある。日本列島という長い弧が第一列島線を構成し、その南端の要石に台湾がある。この二つが揃っている限り、中国海軍は太平洋に出られない。アメリカにとって台湾が“生命線”と言われるのは感情論ではなく、自国防衛の計算式の中に台湾がガチガチに組み込まれているからだ。日本はその中でも最大級のバリアであり、太平洋の入り口を塞ぐ城壁のような存在だ。中国から見れば、これほど厄介な地形はない。


ここでふと思うのは、北方領土がもし日本に残っていたら、という仮定だ。今ごろアメリカはもっと楽ができただろう。ロシアの太平洋への出口を日本が抑え、オホーツク海の“聖域”戦略を事実上崩せたはずだ。アメリカは冷戦初期にソ連の対日占領を許したような形になったが、あれは地政学的には自爆に近い。日本列島、台湾、そして北方領土。これがすべて揃っていれば、中国とロシアの太平洋進出は完全に封じ込められ、アメリカにとって太平洋は“内海”同然になっていた。それを逃したのは歴史のいたずらというより、アメリカ自身の判断ミスだ。


結局、国の運命は主張ではなく地形が決める。誰が何を認めるかより、どこにどの国が立っているかのほうがはるかに重い。台湾が国家であるかどうかを巡る議論も、日本がバリアとして存在する意味も、北方領土の価値も、すべては同じ線の上にある。本当に危険なのは思想や制度ではなく、海と陸の形だ。地図を一枚広げれば、すべてが書いてある。人間が忘れても、地形は忘れない。


国家の戦略は、信念や理想よりも、最後は地図に戻ってくる。台湾が独立国家かどうか、北方領土がなぜ重要なのか、中国が太平洋に出たがる理由、アメリカがなぜ台湾を手放せないのか――そのすべては地形を見れば説明がつく。私たちはしばしば“外交は難しい”と思い込むが、地政学というレンズを通せば、むしろ驚くほど単純で、むしろ優しく理解できる。アメリカが太平洋を守り損ねた理由も、今の緊張が消えない理由も、本質は海と陸の配置にある。未来の安定を考えるとき、必要なのは感情論でも、国連の決議でもない。ただ、地図をもう一度広げてみることだ。世界の形は動かない。だからこそ、そこに書かれた答えを読み取れるかどうかが、国の未来を左右する

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