第三話:愛と違和
クルトロは案内役の男と共にこの店を去って行った。
案内役が来た時クルトロは暗い顔をしてたけど大丈夫かな。
そんな事を考えていると話が終わったようでクピエとボンシェが駆け寄ってきた。
「ラヴァー!!あの人ほんと怖いー!」
ボンシェが体当たりするみたいに抱きついてくるから俺は思わず避けてしまった。
ボンシェは勢いを殺せずそのまま地面に滑ってて行った。
「痛い!ひどいよー!」
と文句を言われるがそもそも体当たりされたら痛いんだから抱きつくって言ってもそんなことしないでほしい。
そう言うとボンシュは
「おばちゃんが怖かったんだから仕方ないだろ〜」
とブーブー文句を垂れてきた。
ボンシェは変わらずいつもと同じ。
クピエの方を見ると少し顔色が悪かった。
「どうした?何かあったのか?」
そう聞くと
「いやお前、妹とちゃんと一緒にいろよ」
とだけ言われた。
どういうことだ?おばちゃんと何を話したんだ。
「あとラヴァ、アレいつでも出せるようにしとけー」
アレってのは銃のことだよな?
すごく何かあったのか気になったけどそれ以上何かを言うつもりはなさそうだった。
おばちゃん、この2人に何話したんだ。
そう思っておばちゃんの方を見ると
「……ここら辺の様子がおかしいって話だ。これ以上はまだわからん。お前も早く帰れ。妹とちゃんと一緒にいろよ」
とクピエと同じようなことを言われた。
「……わかった」
「ラヴァ、送ってやるからさっさと行くぞ」
俺はそうして家にシークィラがいるところまで帰った。
「お兄ちゃん!おかえり!」
いつものようにシークィラが出迎えてくれた。
その笑顔は相変わらずでなんだか安心した。
「おう、ただいま」
でもあんなことを言われたせいでなんだか変な感じがする。
「お兄ちゃんどうしたの?」
そんな気持ちがシークィラに伝わってしまったみたいで心配された。
……こんなんじゃいけないな。何が起こるとしても今気にしてても何にもならない。
俺がすべきなのはこいつを守ってやること。
こいつを安心させてやること。だから……
「ふっふーん、実はだな……」
俺は懐に手を入れてあったものをバッと取り出した。
「じゃじゃーん!りんごのシュワシュワのやつ〜!」
「おぉー!!それって舌がパチパチするやつだよね!昔飲んだやつ!」
シークィラが目を輝かせて笑う。
「そうだ!」
「私も教会の人からもらったやつあるんだ!」
そう言ってシークィラは透明な袋から白い団子を取り出した。
「これで宴ってやつ、できるんじゃない?」
「!」
俺は水器を2つ取り出してその中に炭酸水を注いだ。
「かんぱーい!」
「ぷはぁ、パチパチだー!うまー!」
シークィラは炭酸水をごくごくと楽しそうに飲んでいる。
見てるだけで俺も幸せになってくる。
シークィラが教会のやつからもらったという団子に手を伸ばした。
食感はモチモチしてたけど噛むとなかから液体が溢れてきた。
「うわっなんか中になんか入ってる!」
「ほんとだ!外だとこういう食べ物があるのかな?」