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第六話 【帰宅】

 ▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁






『……名倉くん』


 誰かが呼ぶ声がする。

 その声は僕が知ってる、あの泉で願った――――。






 ▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁






「うっ……」

「光……っ!!」


 目を開けると、真っ先に入ってきたのは涙を浮かべた姉さんの姿だった。


「ほた、る……ねえ……さん……?」

「良かった……本当に良かった……っ!」


 姉さんはずっと、僕の手を握っていてくれたのだろう。

 震える姉さんの手に、僕はもう片方の手を重ねる。


「心配かけてごめん、姉さん……」


 そう言って、安心させるように姉さんの手を握る。


「ところで、ここは……?」

「病院よ。覚えてる? アナタ山の中で倒れてたのよ」

「山……」


 そうだ。僕は思人(シビト)(モリ)ノ泉に行くために廃村に行って、それで……。


「山田くんって分かる? その子がたまたま見つけてくれて、私に教えてくれたのよ」

「山田が……」


 ――――そういえばあの時、僕を見つけてくれたのは……。


 確かに、あの独特の(なま)りと声は山田だった。


「それで、姉さん……山田は?」

「『門限があるから』って、私が来たらすぐに帰っちゃったわ。光によろしくっていって」

「そっ、か……」


 ――――今度、お礼言わなきゃな……。


「それじゃあ光、私は先生に光の目が覚めたこと伝えてくるから。少し待っててね」

「うん、わかった」


 そう言って姉さんは、病室をあとにする。


「……でも、どうしてあそこに山田が居たんだろ?」


 疑問に思いながらも、どうお礼をするか悩む。

 僕は昔から、人と会話をするのが苦手だった。

 それにここ数年は、()()()以外とまともに会話した記憶がない。


 そうこう考えているうちに、先生が来た。

 幸いにも僕の怪我はたいしたものではなく、その日のうちに家に帰ることが出来た。


「アイツなら、どうするかな……」


 僕はそうポツリと呟いて、寝返りをうつ。

 腕や足には、滑り落ちた時に軽い打撲や擦り傷ができており、ところどころに包帯が巻かれている。


 ――――あの泉の伝承……本当なのかな……?


 本当にもう一度だけ、死者に会えるのだろうか?


「本当、なら……あの、と、き……の……」




 今日一日の疲れもあってか、僕はそのまま深い眠りについた。

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