あるアイドルは前を向く
私の名前は海匙箔音、まだアイドルをやっている。
才能がないと思ってはいても夢を諦めることができなかった、そんな時に伝説のプロデューサー霧月さんの指導を受けることが決まった。
私は千載一遇のチャンスと思って張り切っていた、しかし彼女の指導についていく力は私にはなかったのだ。
それでも夢を諦めきれない私は無理をして毎日吐きそうな想いを隠してレッスンなどに励んでいた。
ある時、撮影会社の所長さんである村生さんに心配そうに声をかけられた。
私は心配させまいと自分の心に区切りをつけるつもりでそれを跳ね除けた
そう…跳ね除けてしまったのだ…
私も実力をつけ、今日はライブの参考にするために先輩アイドル2人のライブを見に来た。
困難な状況でもライブを敢行する2人のライブはきっと私にいい影響がある、そう思って見ていた。
しかしその最中、霧月さんが殺されてしまった。
私は気づいてしまった、きっと村生さんが関わっていると、あの時の険しい顔を想起してしまって私は駆け出した。
村生さんにあった私はすぐに堰を切ったように捲し立ててしまった、そして村生さんから全てを聞いてしまった。
私の…私のせいだ、よりにもよって過去を想起させてしまって犯行に及ばせてしまった。
そして探偵さんによって全てが暴かれ村生さんは逮捕されてしまった。
それからというもの私は何も手につくことなく日々を過ごしていた、いっそアイドルをやめようかと思ったくらいだ。
そんな折誰かと肩がぶつかった
私は謝ろうかとおもった矢先にその相手は何かを見定めるようなことをしてから唐突にビンタしてきた
針音「アンタここ最近すっかり腑抜けてるわね、アイドルやめたら?」
海匙「……ッ!諦めるわけないじゃない!!アイドルは私の!友達の夢だったんだから!」
そう大きく宣言したところ、針音さんは急にお辞儀をしてきた。
針音「いきなりごめんね、覚悟を見るのにはこれが一番だってあのアホが…」
鬼沙羅「んーー?」
ここで私はこの2人が件のライブのアイドル達であることに気がついた
針音「ごめんね、こんな出会い方になっちゃったけどどうしても気になってさ」
鬼沙羅「私たちでよければ力になっても、いいかな?」
私はその差し伸べられた手に久しぶりに泣いてしまった
そして年月が経ち…
私は新たなプロデューサーと先輩達の支えでこのライブ会場に立っている
そして自分の番、壇上に立とうとしたところに…
弱い私「いいんですか?貴方は周りに無自覚に巻き込み、そのツケを何一つ払っていない。貴方にあそこに立つ資格はあるのかしら?」
海匙「……いえ、それはこれからのアイドル活動で返していくわ。私はもう迷わないよ」
弱い私「そう…強くなったわね」
まとわりつく影は消える…
私は下を向いてばかりだった、でも今は違う…
私は前を向いている
そこに私を支えてくれるファンがいるのだから