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第三話「森林にて」

 入隊試験を致命傷を負いながらも何とか突破した私は今、魔物討伐連盟からの指令を受けてダンジョン攻略の為の遠征を行っていた。今回の目標は奇しくも私が転生して最初に降り立った山にあった洞窟の攻略だ。32人の遠征軍と共に例の洞窟を目指して進軍中である。


 連盟本部から出立して二日、例の洞窟へ向かう途中に巨大な森林があり、そこを突破して目標地点に向かわねばならなかったので、森林の入り口で準備を整えていざ、森林に突入した。


 森林内部には多くの賊や魔物が潜んでおり、我々は防御陣形をとりながら森林を進んでいった。一歩一歩歩くごとに足音が反響し、魔鳥の鳴き声が聞こえて、大変不気味であった。剣を構えながら周りを警戒しつつ進む、進む。昼間だと言うのに丑三つ時のような暗黒世界が広がっている森林は最早地上のダンジョンである。木漏れ日すらも許さない暗さは恐怖を掻き立てる。暗がりから赤い眼がこちらを見ているような、そんな気がしてならない。


 そうして周囲を最大限に警戒しながら進んでいくと突然、ふと自分の周囲から強い憎悪と殺意を感じた。誰も口に出さないがおそらく敵に囲まれている。敵の存在を察知した瞬間に円状に固まって防御陣形をとって敵を迎え撃つ準備をした。


 案の定、円になった瞬間に敵が闇を切り裂いてかかって来る。山賊であった。敵が人間だと知って多少の安堵を憶えるがそんなことお構いなしに斬りつけてきた。数を見て見るとかなり多く、四方八方を囲まれている為、四面楚歌であった。円陣を崩すわけにもいかないので敵の縦振りを剣を横に薙いで敵剣にぶつけて敵の攻撃を避けるも敵は間髪入れずに剣を突いて来た。それを鈍い身体を何とか横にずらしてその攻撃を躱す。そしてその瞬間に下から剣を振って敵を斬った。鮮血が私の鎧にベッタリと付着した。しかし攻撃した瞬間というのは隙が大きいものである。敵を斜めに斬った瞬間、敵の凶刃が私の身体を裂き、そして倒れた。


 敵を殺すことには成功したもののまたも致命傷を負った。じんじんとする痛みが私をひどく苛つかせる。しかし周囲ではまだ凄惨な山賊との戦いが繰り広げられており、一人を倒して、一息つかない内にまた一人が私に切り掛かって来た。


 抉られた脇腹が苦痛を訴えるも止血している暇は無い。私は剣を構え直すと右斜め下から斬り上げた。

「ガチンッッッ!!」という金属音がして剣が激しくぶつかった!再び剣を構え直すと、今度は上から剣を振り下ろす。しかし、またも防がれた。だが、満身創痍の身体で奮闘していたためか私は体力を消耗していたのか、敵に私の斬撃を弾かれた時、手から力が抜けて剣を落としてしまった。


 私は剣を落とした瞬間に一瞬眩暈がしたが、直ぐに立て直した。敵の懐に突っ込んで左手は神速の早業で腰の短剣を抜く、そして敵の腹を横に薙いで敵の身体を横に切り裂く。そして腹を蹴って敵を地面に叩きつけた。しかし、虫の息の筈の奴は隠し持っていた矢をこちらに投げて来た。私はそれに気付いた瞬間躱そうとするも間に合わず、腹に矢がぶっ刺さる!


「グハアッッ!」


血反吐を吐いて膝を地面についてしまうがそんなことはお構いなしに敵は次々と切り掛かって来る。あちこちに切り傷を受けて、三国志で曹操を守って立ち往生した典韋の如く消耗した御身は満身創痍で、私に動ける体力は最早無かった。徐々に目の前が霞んでいって私は遂に意識を失った。



 私が次に目を覚ました時、ベッドに横たわっていた。


「ここは・・・・、それに私は、無事・・・なのか・・・・?」


「無事な訳無いだろ、我らの中で貴様が一番満身創痍だ、しばらく休んでな」


そう返すのは遠征軍の隊長、ルヴァヌだ。

私は自分の身体を見てみると、包帯でぐるぐる巻きにされていて、でもその包帯には決して少なく無い血が滲んでいた。


「そういえば山賊はどうした?」


「あれから長い時間戦っていたが、敵も消耗していたのか撤退して行ったよ。我々も甚大な被害を受けたがな」


「被害?」


「3人死んで15人負傷した、その内5人が重症だ。しばらくここで休息して立て直すしか無いだろう」


「此処は何処なんだ?」


「魔物討伐連盟の拠点だよ。この森林はよく通るから連盟が建設した補給基地だな。」


「なるほど、此処で立て直してダンジョン攻略に備えようってことだな」


「ああ、しかし装備を揃えたり傷の回復ができても死んだ人員は補充出来ない。だからなるべく道中で死者は出したく無かったんだが。」


「死んでしまったもんはしょうが無い、なるべく装備だけでも整えよう」


「とりあえず貴様は休んでろ」


とりあえず傷を回復させる為、私は幾日か休息した。森はまだ抜けれてないのに早々に死者がでてしまったことにこれからを憂いた。しかし、“案ずるより殺すが易し”とかなんとか言うし、今は装備を整えて傷を癒すことに注力しよう。


 数日して、戦傷が治癒して来た頃、私はベッドから起き上がってダンジョン攻略に向けての準備を始めた。私が一番酷い怪我だったので、他の隊員達より遅れた。


 まずは防具と武器を整えるべく武器庫を見てみたら大量の武器が入っていた為、その中から自分に合った武器を選ぶ事にした。長い時間悩んだが、メインウェポンはリーチの長い戦斧にした。腰には三日月刀と短刀を携えた。防具は連盟のシンボルが刻印された銅の鎧を着て、武器と防具は整った。背負い鞄には包帯や傷薬、薬草と食料を入れて、三日位で準備が整った。仲間に助けられたのも早く準備を整えられた理由の一つである。


 そうして我々は森の拠点から出立し、再び森林を越えるべく進軍を続けるのであった。32人の隊列は29人まで減っていた。フィクションのダンジョンは大抵6人くらいの少数精鋭で挑むものであるが、3人の減少はどれくらい作戦に影響を与えるのだろうか・・・・?私は憂う気持ちあれど、ただ進み続ける他無かった。

更新速度はかなり遅いですが、ご容赦くださいm(_ _)m

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