大きなお墓が出来てしまいました
「アゲちゃん。御免なさい。魔女としてどうしてもアゲちゃんの羽の粉が欲しいんです。」
うそーん!!ある意味容赦なかったよこの魔女!結局のところペットと言えど、死んだら調合のための薬に成るらしい。魔女よ…恐るべし。とは言いながらも、アマミちゃん…スプーンで羽を擦るときは真剣な表情である。途中からは涙を流しながら作業をしていた。僕もマジーラさんも何と声を掛けて良いのか全くわからず沈黙が続く。
「…これで、弔いは出来たでしょうか?」
アゲちゃんの羽は破れていない。ただ、キラキラ輝くリンプンが完全に剥ぎ取られたため完全に死んだんだと言う印象になっている。リンプンはアマミちゃんが何時仕入れているのか分からないけどとにかく小さい透明な瓶の中に全て入っている。
「アマミ?それでそれはどうするのだ?」
「アゲちゃんです。埋葬するんです。」
そう言うと、アマミちゃんは外に出ていった。現状外は若干霧雨になっている。さっきまで天気良かったのに。僕もついていくことにする。マジーラさんも少し考え事をしていたようだが直ぐに付いてきた。
「何処が良いと思いますか?」
「うーん…」
そう言われてもよくわからん。第一ここはマジーラさんの家とか庭だから下手に荒らすとなんか言われそう。
「ほら、シャベルだ。…あ、ミズハ?その目付きはどうした。物置があるのを知らなかったか?」
知らなかったよ!一瞬どっからシャベルが出てきたのか疑問に思ったよ!
「昔、畑を作ろうとしたんだけどな。面倒臭かったから諦めた。まあ、そう言うこともあって物置にも色々おいてあるから使いたいときは見てみるんだな。」
話によると、家にある部屋の1つに物置があるらしい。実際僕は他人の家と言うこともあり物色は控えている。だから共通のリビングとかと自身の個室以外知らない。まあ、アマミちゃんと二人で一部屋使っているんだけど。マジーラさんの寝室の中も入ったことはない。
「アマミちゃん曰く何処に埋めるか悩んでいるようですが。」
「好きにしてくれ。別に困るところはない。」
「じゃあ、玄関の横にするんです。」
ええ…。ほら、マジーラさんもミスったって顔しちゃってるじゃん!とは言え、訂正したり避難したりはしないらしい。アマミちゃんはシャベルで穴を掘った。アゲちゃんは50cmもあるので掘るのに結構時間がかかっていたので実質途中からは僕もシャベルを持って手伝ったんだけどね。まあ、あくまで蝶なのでそこまで深く掘る必要はないんだけど、アマミちゃんは10歳位の体型なのでシャベルを思うように使えなかったのが遅くなった原因である。
「アゲちゃん。さよならなんです。私は忘れないんです。だからアゲちゃんも私のことを忘れないんで欲しいんです。勿論、ミズハさんのこともシャロルさんや…私の友達のことも忘れないんで欲しいんです。マジーラさんは気にしなくて良いんです。」
酷いな!シリアスに持っていきたいのかネタに持っていきたいんだかはっきりして?!アマミちゃんがアゲちゃんを穴に中に入れる。その時ふと僕はアゲちゃんと目があった気がした。いや、勿論生きてはいない。ただ、若干足が動いたような気がした。そして何かしゃべっている気がした。いや…多分死んでいるんだし第一魔物なんだから喋れるわけもないのだが…
(今まで楽しかったです…さようなら…この子は放っておくと危ない…私の代わりにちゃんと見張っていて…)
一番悲しいのはアマミちゃんのはずなのに何故か僕の方から一筋の涙が溢れることになりました。…元からそうするつもりだし、今後もそうする。僕を助けてくれた子を無下には絶対しない。心の中でアゲちゃんに誓う僕がここにいました。アゲちゃんを玄関前に埋めた後、アマミちゃんが適当に墓石を魔法で作ってアゲちゃんの埋まっている土の上においた件。結構豪華な上、「アゲちゃんの墓」とまで綺麗に掘ってある。大きさは何と1m位。蝶の魔物の癖に墓が豪華すぎる。アマミちゃんの魔法はやっぱりなんでもアリなんだなと思った瞬間である。マジーラさんはしばらくの間その墓を見るたびに頭を抱えていた。まあ、家の玄関の横にそんなもの作られたら誰だってそうなりそうな気がするが止めない本人が悪いので気にしない。僕的には出入りする度にアゲちゃんの墓が見えるので忘れないけどうーんと言ったところである。
物語自体はまだまだあるのですが…別のストーリーの方が今の自分には適性があるのでこっちは終了します。初めてキャラを作ってはや10年弱。過去の自分は一度捨て次の自分で運用していきます。
今はこっちをメインに実施していますので引き続きよろしくお願いします。
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