依頼の完了
そんなこんなで村についてその日は宿に泊まって次の日になる。その日の夜は実を言うと僕の方からアマミちゃんに頼んで一緒に入浴した。理由は二つ。アマミちゃんの頭や背中を確認して青アザ等傷が残っていなかったかの確認と、ズタボロにぶん殴られたこともあり精神的に大丈夫か気になったからである。結果としては体に傷は全くそこは安心したが、なんだかアマミちゃんの性格そのものが変わってしまった気がする。なんだか山賊に襲われた前後で物凄く落ち着いた気がする。いや、やっぱり所々抜けているところはある。ただ、なんというか…うーんとにかく落ち着いているのである。頭を強打したということもあるから性格が変わってしまったのかもしれない。ただ、頭を数十回鉄の棒でぶん殴られたら普通死ぬ。だから、それだけ殴られて殆ど無傷だったアマミちゃんがそれで性格が変わるか疑問であるが…まあ、変わってしまったからはしょうがない。だからと言ってアマミちゃんを捨てるつもりはないし却って前よりも大人びたと考えれば良い兆しである。原因が山賊に半殺しにされたというのは頂けないけどね。そして、村を出て数時間後王都についた。
「皆様。今回は誠に有り難う御座いました。お陰様で我々は無事またこのように王都に足を付くことが出来ました。」
冒険者の声は少ない。まあ、確かに商人や御者は誰一人欠けることなく王都に帰ってくれたのだからそれは間違えない。ただ、それを行うために失った冒険者の犠牲が多すぎた。何せ行きに比べ半分程度しか残っていないんだからね。
「これより荷物の整理を持って解散になります。報酬に起きましてはこちらからギルドに通すようにしてありますのでそちらから受け取ってください。」
と言うことで整理を始める。
「アマミちゃん?確か商人から色々荷物を預かっていたよね。」
「はい!持っています!」
「じゃあちょっとこっち来て?」
「分かりました。」
と言うことで、商人の方に向かう。後ろでは冒険者や他の商人が荷物の搬出を行っている。あれだけの激戦があって荷馬車や荷物も尽く燃えていたのに今では完全に元通りである。アマミちゃん様々である。
「どうしたのかね?」
「荷物については大半がアマミちゃんが持っていますので、何処に荷物を持っていけば良いか教えて貰おうと思いまして。」
「うん?あ…ああ、そう言えばそうだったな。いや、色々ありすぎてその事をすっかり忘れていた。」
まあ、本当に色々ありすぎたからね。ここまで滅茶苦茶な護衛依頼もないと思うよ!
「えっと、出発前に荷物を置いておいた倉庫があっただろ?そこに出してくれ。」
「分かりました。アマミちゃん?行くよ?」
「はい!」
そう言って、僕は倉庫の方に向かう。アマミちゃんはその後ろについていく。アマミちゃんの被っている魔女帽子の上には毎度恒例アゲちゃんが陣取っている。
「アマミちゃん?この辺りで良いんじゃないかな?荷物を出しちゃって。」
「分かりました。」
倉庫の入り口につくと声掛してアマミちゃんが倉庫の奥の方に手を伸ばす。一瞬で倉庫は荷物で埋め尽くされた。行きに比べると量は減っているが相手がドワーフの鍛治屋と言うこともあり金属製品が多い。量が少なくても相当重かったはずである。アマミちゃんが異空間魔法を習得していたがゆえに楽さである。
「ふう、これで依頼終了かな。全く、もう絶対護衛依頼なんてするもんか。どんだけ命懸けなんだよ。」
「ミズハさん。まだ、荷物が残っていると思います。取りに行った方が良いんじゃないんでしょうか?」
「あー、そうだね。行こうか。」
やっぱり性格が著しく変わっているなー。やっぱり頭は大事だよね。僕は殴られないように気を付けなくちゃ。最もそれが原因にしても若干気になるところはあるんだけど。と言うより、僕の人見知りの性格とか人間嫌悪の性格も殴られたらもしかしたら変わるかもしれない…あー、でも山賊にぶん殴られていたアマミちゃんを想像する場合おそらく性格が変わる前に死にそうだから考えものかな。とか考えているうちにアマミちゃんが倉庫を出て冒険者たちの方に行ってしまうので僕も追いかけることにする。アゲちゃんは毎度恒例アマミちゃんの帽子の上で休んでいるはず。…いや、違和感があるけどだからこそ休んでいるんだと思う。その後暫く往復して…と言うより、冒険者の手に余る荷物はとっととアマミちゃんが全て運んでしまいあっという間に荷物を全て倉庫へ運んでしまった。倉庫に荷物を運んだ冒険者も、最後に運んだアマミちゃんや僕も倉庫を離れ商人のもとへ向かう。
「いやはや、ここまで早く終わるとは思っていませんでした。これも貴方型冒険者のお陰です。以上で依頼内容は全て終了です。依頼結果等の報告はこちらより一括で行いますので明日以降ギルドにお聞きください。」
あー、やっと終わった。全く本当に懲り懲りである。帰った帰った!
ネタはまだごまんとあるのですが、流石に10年前の物語のキャラクターを今の私は制御出来ないのでこの章でこの物語は終焉とします。他のネタは別のストーリーで流用出来そうならしてみます。