逃走します
「アマミちゃん!そのまま上空へ逃げて!」
「う…駄目なんです!お兄ちゃんを…置いていけな…いんです!」
で、こっちに来てしまった。う…、せめてアマミちゃんだけでも危険を回避させたかったんだけど…。
「アマミちゃん?散らばっている武器を回収して。」
両腕が塞がっているため、目で合図する。武器は恐らく冒険者2名の物のはず。
「もらって良いんですか!お宝なんです!」
別にそんな価値のあるものじゃないだろ!あと貰っちゃ駄目だろ!ただ、こんなツッコミしている余裕もないのでとっとと回収してもらいます。
「箒に乗るんです!」
ごめん、人間2人担いでるから無理だわ。
「やつらを捕まえろ!」
山賊連中が追ってたかって集まってきている。遠距離攻撃も飛んできている。
「アマミちゃん!僕に付いてきて!」
「あ、お兄ちゃん酷いんです!置いていっちゃ駄目なんです!今日は一緒にお風呂に入るんです!」
こんな緊急時に何言ってるの!僕はジャンプして現状空を飛んでいます。アマミちゃんは箒に乗って僕の後をついてくる。なお、これも僕の能力を応用している。アマミちゃんの箒から空を飛ぶという技術を借りて、空を飛ぶために必要な魔力はアマミちゃんから借りている感じである。
現状どちらもアマミちゃん経由のためオリジナルには勝てなそうであるが、僕はアマミちゃん以外からも魔力を奪えるので相対的にアマミちゃんも越えれる。まあ、普段はアマミちゃんが乗せてくれるのでこんなことしないんだけど…今回は4人の命がかかってるのでそんなことも言ってられない!
「待て!!」
下からこんな声が聞こえてきたけど待つやつはいないよ!…って、追撃来てる!どんだけ槍投げて矢飛ばして魔法ブッパなせば気がすむんだよ!
「水平結界!」
アマミちゃんがこっちに来ることを見計らいながらアマミちゃんの真下に結界を貼る。連中の攻撃は完全に飛んでいるアマミちゃん狙いだったため、アマミちゃんの真下で爆音がした。
「ギャー!お姉ちゃん!死んじゃうんです!皆さんが虐めてくるんです!うわーん!!」
「こっち!アゲちゃん!アマミちゃんに捕まって!」
既に僕はアゲちゃんのそばに来ているのでアゲちゃんに伝わるかよく分からないけど命令してみる。各言うアマミちゃんも追い付いた。アゲちゃんは羽ばたきながらアマミちゃんの魔女帽子に捕まった。にしても、やっぱりこの行動は蝶からかけ離れているよね。第一、ここに戻ってくるまで殆どここら辺から移動していなかったでしょ。やっぱりアマミちゃん優先で行動している旨が見られる。だから何処にも行かなかったか?
「一緒に付いてきて?」
下からはまだ攻撃が来ている気がするが大分高いところまで来ているし、結界も張ってあるので特に危険ではない。とっとと姿を眩ましてしまった方が得策な気がする。と言うことで、僕らは惨状から飛び立っていきました。
「お姉ちゃん!何処に行くんですか!箒に乗るんです!お姉ちゃんは私の箒に座らないとマジーラさんと一緒にお風呂に入らなければいけないと言う相場が決まっているんです!」
またよく分からないルールを勝手に作成しないで!マジーラさんは男性だよ!僕は男装していても女の子だよ!意味がわからないよ!
「こっち。降りよう。もう多分大丈夫だから。」
現状、大きな荷物を2つ抱えているのでアマミちゃんの後ろに座ることができない。普段楽していたので飛び続けるといい加減疲れる。と言うことで、襲撃があったところから崖を越えて反対側の雑木林のところに降りる。山賊が地上から見ていたとしても、崖を越えているので着地地点までは分からないでしょ。
「おいしょ。さてと、これからどうするか。」
「酷いんです!勝手に行っちゃいけないんです…じゃないんです!怪我だらけなんです!治療するんです!」
え?僕怪我したかな?…あー、二人の冒険者の方ね。女性の方は先程アマミちゃんが応急処置していたけどアマミちゃん自身まだ満足に治療していなかったようで治療している。
「う、うそ…あんなに痛くてダルかったのに完全に治っている。」
魔術師の女性はさっきまで色々唖然としていたけど、漸く言葉を取り戻したらしい。何か驚くことなんてあったかな?
「移動しましょう。アマミちゃん?箒に乗っても良いけど高く飛んじゃダメだよ?連中に気づかれると厄介だし。」
「お姉ちゃんは箒に乗るんです!」
「あー、今は歩きたい気分だからパスで。」
「ムー、じゃあ歩くんです!その代わり後でお風呂でお姉ちゃんに足を揉んで貰うんです!」
そんなに僕とお風呂入りたい??第一、僕が拒絶しようが一人で入っていようが大抵強引に狙ったのように必ず入ってくるよね!僕に拒否権はないのかな?
「アマミちゃん?傷んだ足を揉むと悪化するよ?」
筋肉痛の足を風呂場で揉んではいけません。酷い目見るからね?これ鉄則。
「じゃあ一緒に箒に乗るんです!乗らないと食べちゃうんです!」
と言うことで、煩いのでアマミちゃんの箒に乗ることにする。いつも通り前にアマミちゃん、後ろに横座りで僕が座る。リーダーの男性は僕が右腕で担いでいる。
「すいません。えーっと、歩いていただけないでしょうか?この箒は2人乗りなので。えっと、歩けそうですか?病み上がりなら僕が背負いますよ?」
「いえ、大丈夫よ。ここまで回復させて貰ったのに誰かに頼るなんて冒険者失格なんだから。」
という本人は何故か僕らを見ず横の方を見ながら言った。