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地獄の始まり

 力を展開し、どんどん範囲を広めていく。自ずと戦闘状況は見えなくても感覚で優勢か劣勢かはわかる。うーん、戦っているであろう場所だと大体20名ぐらいの力がある。皆どんどん力を消費しているからやっぱり戦闘中の模様。知っている力の数の方がまだ多いから、優勢のまま続いているのかな?まあ、放っとけば何とか…って、なんだなんだ?!この異常な人間の反応?!ど、どう言うこと?!半径1km以内で僕らや向こうの戦いを包囲するかのように複数の人間が迫ってきてるぞ?!恐らく…40人はいる!確かミカオさんは10人ぐらい…って、あれか。ミカオさんは臭いで判断したんだっけ?どんなに狼の嗅覚がよくても流石に数キロ先は無理ってこと?いや、確か警察犬は犯人が通った軌跡の臭いから判断してるとか言っていたな。と言うことは、ミカオさんが判断出来たのは偶々そこいらを10人ぐらいの山賊が通っただけと言うことか?じゃない!確実に連中こっちに来てる!もし山賊が計算してここまでやってるなら本腰は40人の方だよね!10人は劣りか!ど、どうする?!


「お兄ちゃん?どうしたんですか!顔色が悪いんです!」


 荷馬車の中に戻るとアマミちゃんに即座に気づかれた。


「え、えっと…」


 完全にパニックなんだけど!仮に伝えたら何でわかるか説明しなくちゃいけない。アマミちゃんならまだしも他の奴に伝えるには信用が無さすぎる。だからって、伝えないと…いや、伝えても少したてば連中が到着してしまう。相手はおとりも込みで50人。こっちは20人。勝てるわけがない。


「あー…えっと…うーん…」


 最早絶望的すぎるんだよ。何と言えば良いか全くわからない。


「落ち着いて?深呼吸…スーハースーハー…ちょっと落ち着いた?」

「え…す、少しは…」

「何を見たの?」

「……い、いえ…何も…あ!」


 そうだ!見たことにしてしまえば良い!


「すいません。ちょっと回りを見てきても良いですか?大丈夫です。ここから水平方向にはそんなに離れませんから。」

「え?どう言うことですか?」

「アマミちゃん?箒出して!」

「空飛ぶんです!デートなんです!行くんです!」


 颯爽アマミちゃんは箒を出して外に出て箒に跨がった。


「アマミちゃん?横乗せて!」

「ハイなんです!」


 アマミちゃんの後ろに横に座る。


「ちょっと貴女達何をして…」

「大丈夫です。すぐ戻ってきますから。アマミちゃん。上へ!」


 と言うことで、ほぼ垂直方向に飛び去ります。


「高いんです!もっと高く飛ぶんです!」


 だから飛びすぎだよ!雲の上にもう届いちゃうじゃん!


「御免アマミちゃん。ゆっくりで良いからもう少し低くして?」


 あまり高すぎると人間が見えないからね!とか言っても急に降りてしまうと微調整が効かない可能性があるのでゆっくり降りてもらう。数分が経って大分下に戻ってきた…って、マジかよ!確かにここから遠方はまだ少々遠いところにいるけど、近場だと直ぐそこじゃん!ってか、既に弓や杖を…って、そっちは荷馬車の方!


 バーン!


 一気に荷馬車が燃え上がった。その後、先に到着した山賊連中が荷馬車を包囲し始める。


「ギャー!大変なんです!助けに行くんで…!」

「ストップ!僕らじゃ力不足だよ!ミカオさん達に先に伝えるべきだよ!」

「わ…お兄ちゃんに任せるんです!私はお兄ちゃんの物なんです!」


 その言い分は全く意味がわからないよ!ただ、とにかく援軍を求めるために箒に乗ったまま移動する。


「う…うそ…」


 ミカオさんの戦場もカオスなことになっている件。恐らく初めは相手10名と冒険者15名でやりあっていたんだと思う。ただ今は、完全に挟み撃ちにされてしまっている。取り分け、後ろから不意打ちが来たのだろうか?一部の冒険者には背中に弓が刺さっている。


「い、今の爆発音はなんだ?」

「なんだろうねえ?それより身の安否の方が優先じゃないかい?」


 下でそんな声が聞こえたかと思うと、再戦が始まった。冒険者15対山賊20…いや、援軍がチョコチョコ到着して、山賊が更に増えつつある。取り分け増える度に不意打ちから始まるため尽く不利な状況。ある意味で鬼畜な連携である。


「お、お兄ちゃん!どうするんですか!このままじゃみんな死んじゃうんです!早く回復させないと助からないんです!」


 アマミちゃんも相当パニクってる様子である。アマミちゃんが飛び込む際は大抵数人の事象が殆ど。取り分けさっき飛び込まないように注意しているため完全に空中で止まっている状態。最早誰も頼れる人がいない。全員が戦っているため…しかも戦況が不利すぎるため援軍要請なんて出来っこない。


「…こっちは先生達を信じよう。向こうは戦力が少なすぎる。向こうから先に処理する。」


 向こうもこっちもキャパオーバには変わらないけど緊急度が高いのは明らかに向こう。先に商人の方を何とかしなくちゃ!最も、この方針が正しかったか間違っていたかは分からない。ただ、僕は最終的に地獄を見ることだけはなんとなく直感でわかった。

 シリアス展開が始まります。ぶっちゃけこの方が書きやすいです。

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