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これが嵐の前の静けさって奴なのかな?

 アマミちゃん?それは比喩だから実際失神するかは分からないよ?…まあ、魅了効果で倒れる可能性はあるかもだけど。で、一応突っ込むけど僕はモルモットじゃないからね!毒物飲まして殺そうとしないで!僕は、万能生物じゃないよ!不老不死じゃないよ!


「お聞きしたいのですが、万一我々の護衛が負けるなんてことがあればどのようになってしまうのでしょう?」


 商人の中でも一番若そうな男性が不安な顔で聞いてきた。皆アマミちゃんの言っていることが分からず完全素通りである。


「ああ、あいつの言い分によると、奴らが気に入ったものは軒並み奪われるらしいぜ?あいつの場合、そこいらの鉄の棒を金メッキで塗っておいたものを常に持ち歩いているな。万一襲われたらそれを渡してトンズラするんだと。案外、純金とうまく騙せてるようでな。一種あいつの相棒になってるぜ。」


 逆に、その冒険者凄いな!悪く言うけど詐欺師でもやっていけるんじゃない?まあ、相手が犯罪者だからそれでも通用するのかもしれないけど。


「そうだな。俺も1回やられたことがあるが荷物をごっそり持っていかれたな。ただ、それを先輩に言ったら荷物を持っていかれただけで良かったなって言われた。

 何でも、何も持っていないと相手の逆鱗に触れて命を持っていかれることもあるらしいからな。教えて貰って以来、俺は必ず売るつもりのない品物を常に荷馬車に入れておく癖ができたな。万一があればこれを劣りにって寸法だ。そう言う意味ではその冒険者とあまり変わらねえな。」


 年配の冒険者からも意見が出てきた。成る程、俺も今度からそうするわ…と納得している商人もちらほらいる。


「万一の時には身代わりを出すと言うことね。参考になるわ。今度、ミカオさんにも伝授しておくわ。」

「ミカオさんですか?」

「ええ、一応私も自分のパーティーに共有すべきものは共有すべきと思っていてね。」


 話を聞いているとどうやら、この女性…僕らが山の中の小屋で入浴中に侵入してきた女性…はミカオさんリーダーの『獣人の会』の一員らしい。僕らが入浴し終わった直後はこの魔術師の女性、ミネガル先生とよく話していたし、ミネガル先生の方じゃないかなーと睨んでいたんだけど当てが外れた件。うーん、残念!


「なにしろ最近彼、その子に襲われることが多いらしくてね。相談しに来るのよ。」


 その子?…え?


「アマミちゃん?アマミちゃんってミカオさんの尻尾とか触っているの?」

「許可は貰っているんです!隙を見て触るように努力しているんです!逃げられちゃうんです!」


 努力するところ間違ってるよ!セクハラじゃん!もっと違うところ努力することあるでしょ!


「あー、えっとごめんなさい。後で伝えておきますので。」


 鉄板発言はする。最も、効力があるかは知りません。


「お兄ちゃんはどうして謝っているのですか!許可貰っているんです!」


 あれは貰ったと言うより、可愛いは正義で強引に動かしただけじゃん!どう見ても恐喝に近いよ!


「まあ、見ている私も面白いから別に構わないんだけどね。」


 結局のところこの女性もミカオさんの敵じゃね?


「ところで話を戻すけど、よく盗賊連中は人身売買も行っているって聞くけど…ってことは、私も連れ去られると言う可能性はあるのかしら?」

「…あー、そう言えばあいつ、今じゃ素材回収は1人で行っているものの昔は数名のパーティで行っていたみたいだったな。ただ、山ん中で山賊に会っちまったようで仲間の女子が連れ去られそうになったんだとよ。そんときだけらしいぜ?あいつが本気で戦って勝ったって言うのはな。」


 あれかな?守るべきものがあると言うと強さが変わる的な?


「その時死にかけたらしくてな。それ以降ろくに戦うのを止めたって訳さ。まあ、どうやら当日あいつらまだ17, 18だったらしくてな。山賊の方にしてみれば少女は良い素材だったんじゃね?最も、あいつらそれを切っ掛けに結婚したけどな。」


 またこのリーダーニヤニヤしている。絶対切っ掛け他にもあっただろ。ただ、商人の方は全員一致でアマミちゃんを見ている。そして魔術師の女性は…何と僕を見ている件。そう言えば、あの女性は僕らの入浴見ちゃってるから僕が少年ではなく少女であることを知ってしまっているんだっけ。


「ああ?ああ、まあ、そこの女の子なんて絶好の餌だろうな。しかも魔法も使えると来たもんだ。魔法を使える人間は限られる。人身売買なんてすりゃ高く売れるんじゃねえの?俺はそこんところは盗賊でも何でもねえからわかんねえけどな。」


 マジかよ。やっぱりアマミちゃん連れてくるの失敗だったじゃん!リスク高すぎるじゃん!しかもアマミちゃん、自己防衛魔法あまり強くないんだよ?攻撃魔法が殆ど打てないし!


「まあ、安心しな。俺はあいつとは違ってBランク冒険者だ。万一があれば守ってやるよ。」

「私も守ってくれるかしら?」

「20後半じゃあターゲットにされないんじゃねえの?」

「し、失礼ね!これでもまだ26よ!」

「かわんねえよ!」

「全然違うわよ!」


 客観的に見てるんだけど、この二人絶対馬合うと思うんだけどどう思う?


「ガハハハ。お前達仲良さそうじゃねえか。さっきの冒険者通しの結婚話じゃねえが、付きあっちまうのはどうだ?」


 おい、商人!何火に油注いでくれてるの!


「は?俺は独身だぜ?結婚出来るわけないだろ!」

「私もそうよ!結婚出来ないわ!」


 理論崩壊していると思うのは僕だけかな?


「結婚って何ですか!首閉めるんですか!」


 どうしてそうなっちゃうの!それは心中とかそう言う類いだよ!幸せとは無縁だよ!で、しばらく口論が続く中…荷馬車が急に止まった。

 全然静かじゃないと言うツッコミは抜きですよー。

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