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山賊の対処方法も色々あるらしい

「ミズハ君。君は僕に負けないスピードがあるし、早期に決着をつけたいから前線に来てくれないかな。」


 ミカオさんからよくわからないけど期待されているらしい。


「ちょっと待つんです!お兄ちゃん行っちゃうんですか!駄目なんです!お兄ちゃんは戦っちゃ駄目なんです!死んじゃうんです!駄目なんです!」


 アマミちゃんが騒ぎはじめて僕にしがみつき始めた件。


「と、とは言っても…」

「ムー、お兄ちゃん連れていくなら箒出してお兄ちゃんとどっか行っちゃうんです!絶対お兄ちゃんから離れないんです!」


 よく分からないけどアマミちゃんの甘え癖がここで暴発してしまっている模様。甘やかしすぎたからの副産物かな?


「ミネガルさん?アマミさんを説得する方法とか有りませんか?」

「それを考える余裕があるなら人員を変えた方がマシだ。第一、荷馬車を商人達とアマミだけと言うわけにはいかないだろう?元々数名荷馬車に冒険者は配置する予定だったんだ。アマミとミズハ君、後は2人位出した方がいいかもしれないね。出すなら、ミズハ君が近距離である以上魔術師…あーいや、ミズハ君はまだ経験が浅い。前衛と後衛一人ずつがベストだね。」


 何か、アマミちゃんの我が儘発端でどんどん話が進んでいってしまっている件。これはもう任せといた方が良いかな。


「確かに、荷馬車の方の護衛も必要です。うーん、ちょっと惜しいところもありますけどその方針でいきましょう。」


 と言うことで、最終的に僕とアマミちゃんは荷馬車の中で待機するメンバーになりました。


「アマミちゃん?話をまとめると、僕達はミネガル先生達が山賊と戦っているうちは荷馬車で待機みたいだよ。」

「お兄ちゃんと一緒なんです!計画通りなんです!」


 何?何か悪巧みでもしてたの?!


「戦っちゃいけないんです!怪我しちゃうんです!穏便に会話するんです!」


 それは無理じゃないかな。山賊だって好きで山賊やってるやつは稀で大抵は金欠で、仕方なく相手を襲ってるわけだし。そういう事情持ちに話し掛けて情が移るなんて到底考えられないけど。


「お兄ちゃんがやるんです!出陣なんです!」


 えええ…!さっきアマミちゃんは一緒にいたいと言っていたよね?!で、今度は出陣なの?!訳がわからないよ!とか何とか言いながら僕らは荷馬車に乗り込んだ。ミネガル先生の指示である。何でも、商人達は一ヶ所の荷馬車に集めて僕達商人を守るチームもそこに乗り込めとのこと。他の荷馬車は全て敵と対当する冒険者が乗り込んでいる。何でも、敵が来たときいち早く駆けつけたいとか何とかなんだって。勿論、御者は各々の荷馬車を運んでいる。襲われたらいざこざに紛れて商人がいる荷馬車の隣の荷馬車に乗り込むとのこと。これによって、残る冒険者が守るべき荷馬車は2つに抑えられるからね。と言うことで、荷馬車は出発した。で、僕らがいる荷馬車は商人5人に冒険者が4人と結構キツキツである。まあ、置いてあった荷物は他の荷馬車に移動したから余裕はあるんだけど。


「じゃあ、俺らは俺らでどのように護衛するか作戦会議といこうじゃねえか。」

「そうね。どうしましょう。」


 残った冒険者4名は僕とアマミちゃんほか、3つめのパーティリーダーと…確か登山初日の時、僕やアマミちゃんが入浴中に小屋に乗り込んでしまった女性である。話によると、リーダーの男性は槍、女性は魔術師とのこと。女性は前もそういっていたと思う。多分。


「まあ、無難に考えると…あれだな。襲われたらアマミ以外は外で待機で良いんじゃね?取り分け君は魔法で仲間援護してえだろ?」

「そうね。仲間が山賊なんかに負けるのを薄々見るのは御免だわ。」


 僕とアマミちゃんは置いていて、残り二人はどっちも別々のパーティ出身らしい。リーダーの方はミカオさんでもミネガル先生の方でもないのは予想がつくので女性の方はどちらかの方のメンバーと言うことになるね。


「我々商人も荷馬車の中で待機で問題ありませんよね?」

「そりゃそうだな。まあ、山賊が前からやって来て数ですら俺らが勝ってるんだ。外に出なきゃ問題ねえさ。勿論万一の場合は逃げるぞ?その際は俺らが時間稼ぎするが…最も万一そうなるときには逆にすでに降参してしまっているかもな。」

「降参ですか?山賊に降参なんて通じるのですか?」

「効かないことはねえ。山賊が商人や冒険者を毎回毎回皆殺しにしてみ?そのうち誰も通らなくなるか国が動くぜ?連中もあまり派手に動くと自滅するのさ。だから、戦意喪失を訴えれば命は助けてくれることが多いと聞いたな。」


 へえ、闇世界も色々奥が深いみたい。あまり使えなさそうな知識だけど。


「聞いたと言うことは被害者にあったりしているのですか?」

「俺の同期がな。くっそ弱ええからな!あいつ最早、負ける前提で挑んでるらしいぜ?」


 なんじゃそりゃ!ドMじゃん!


「そんな負けたりしていたら依頼も来なくなっちゃうんじゃないの?よく生きているわね貴方のお友達。」


 魔術師の女性まで横目で見ている始末。個人的だけど、この人前お風呂場で見た時よりもズバズバ言っている感じがする。あれかな。はじめの頃は初対面だったから控えめに話していたけど、数日パーティと共に過ごしてきて慣れて来たから素が出始めたということかな。


「あいつは依頼なんて受けてねえよ。適当に森の中に入って素材かき集めて売ってるだけさ。未だに冒険者ランクはDだぜ?恐らく、そこの女の子を見せつけたら失神するんじゃねえの?」


 リーダーの男性は声に出さないまでもニヤニヤしている件。完全に他人事だなこりゃ。


「どうして失神するんですか!なにもしていないんです!この、飲んだ瞬間夢の世界に行ける薬を飲ませるはずがないんです!お兄ちゃんにまだ試していないんです!」

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