よく分からないけど奇想天外が起きるとは思う
「確か初日に荷物をいれるときもこの女の子が全部運んでしまっていたな。こんなことなら荷馬車や御者を雇わなくても良かった気がしてならないんだが間違いだろうか?」
「ま、まあ…こんな感じで雨宿りになっていますしこれはこれで良かったんじゃないでしょうか?」
なんか商人内でもアマミちゃんの異常さに反応し始めちゃっている件。こりゃ、以降護衛は本当に止めた方が良いかもしれない。マジーラさんとの目立たない様にって言う約束がおかしなことになっちゃってるし。現状、荷馬車の荷物を片付けて全員何処かしらの荷馬車に避難している。
ゴロゴロ…ドーーン!!
「キャー!!何かが投下されたんです!きっと、世界破壊爆弾なんです!死んじゃうんです!」
なんだその物騒な名前の爆弾は?!しかもどっかのアニメで聞いたことあるような名前だし!なお、ご存知ただの雷である。…相当近い気はするけど。
「ミカオさん。念のためですが、ここに雷落ちたりしませんよね?」
「そればかりはなにも答えられないね。神様に祈るのが得策かな?」
「じゃあお願いするんです!雷さんと友達になるんです!一緒に帰るんです!」
何?雷そのものを連れて帰る気?!第一その願い雷ここに来るじゃん!落ちるじゃん!みんな焼けちゃうじゃん!ダメじゃん!取り消し取り消し!
「とは言っても、このままでは今日一日何も進めないですね。護衛依頼が延長になりますが問題無いでしょうか?」
「問題だぞ?私は教師だ。振り替えの先生はいないし、当日までには帰る必要性が出てきているしな。アマミだって、休暇申請はその日までだ。アマミは実力は認められているとはいえ学校でかなりやらかしていることもあるから無断欠席は止めた方がいいと私は考えるな。」
もうそんなに目をつけられているのか…。やっぱりアマミちゃんを学校へ連れていくのは間違えたかな。
「そんなにアマミちゃんダメですか?」
「誰がバカですか!酷いんです!今日はお兄ちゃんと…お兄ちゃんと…どうしてくれるんですか!」
結局何をさせたかったの?!
「あ、いや…ちょっと目立っているだけだから気にしなくていいよ。」
相当目立っていると言うことは僕もわかっていますよ!
「とにかく、遅れるのは極力避けたい。」
「ですけど御者をこの天気で御者台に行かせる訳には行きません。それはミネガルさんもご理解していただけると思います。」
結局、荷馬車の中で議論が白熱し全然先に進まない結果になってる件。聞いているこちらも馬鹿らしくなってきたので、アマミちゃんに相談してみる。
「アマミちゃん?早く帰りたいんだけど何か案はない?」
「箒で帰れば一瞬です!」
それは知ってるよ!だけど置いてけぼりは不味いよ!
「うーん、それって僕らも濡れないかな?それに皆を置き去りはダメだよ?荷馬車の中に僕達はいなきゃいけないと言う条件は欲しいな。」
「面倒くさいんです!荷馬車を飛ばせば終了なんです!」
おい!それは反則だろ!
「えっと、浮遊魔法?」
「そうなんです!飛ばせば良いんです!」
「えっと、飛ばすのは良いとしてそれで運べるの?」
「お兄ちゃんなら可能なんです!頑張るんです!」
他人任せかよ!僕のイメージだけど、浮遊魔法は浮かせることは出来ても…多少は何処かに飛ばすことは出来ても…目的地まで飛ばし続けるのは至難の技なんだよね。浮遊魔法は対象を飛ばすのである。となると、浮遊魔法で短距離ならまだしも長距離を運ぶには面倒すぎる。第一僕は外に出てるじゃん!と言うより、浮遊魔法で遠くに飛べるなら木の棒持ってきてそれにまたがって浮かせれば遠くに行けてしまうからね。はっきり言って浮遊魔法は直近へ飛ばすためのものであって遠征は不可能である。魔力が糞有っても無理だから!出来るなら空飛ぶ箒要らないし。
「うーん、理論上不可能かな。その方法は。」
「どうしてですか!やってみるんです!私は出来ないんです!お兄ちゃんならワンちゃんなんです!」
おい、魔法系統はアマミちゃんが出来なきゃ僕も無理だよ!魔力一般人の1000000倍で不可能で僕が出来るわけないだろ!
「他の方法は…あー、そうだね。御者が馬を率いるのをやめて僕が強引に操るとか?」
僕は自身の力を相手に押し付けることにより相手を意のままに動かすことができる。ただし、与えすぎは暴走してしまうので微調整が物凄く難しい。
「駄目なんです!お兄ちゃんが入り込んで良いのは私だけって相場が決まっているんです!」
勝手に変なルール決めないで!なお、アマミちゃんは僕のこの能力を知っているんだよね。と言うか、この能力を取得するためにアマミちゃんに何十回手伝って貰ったか分からないし。なお、言い方がなんか違和感あるけど無視します。
「まあ、僕にも負荷がかかるから止めようか。後他には…何かあるかな。うーん、御者に雨の中馬を引けとは言えないし。いや、多少の雨なら雨避けはついてるから何とかなるんだろうけど。」
「雨に当てなければ良いんですか!」
「え?うん、まあそうだけど。」
「言い方法があるんです!考えたんです!お兄ちゃんと今日どうやって一緒に寝るかを考えるのと同じくらい考えたんです!」
比較対象が意味わからないよ!第一何だかんだで勝手に潜り込んでくるじゃん!何も考えていないに等しいんじゃない?
「えーっと、で、どうするの?」
「はいなんです!先ずは雨避け魔法陣を展開するんです!」
アマミちゃんが出入口から手を出して何か呟いている。これは詠唱魔法か?アマミちゃんが詠唱するとなると規模がヤバイぞ?
「出来たんです!来るんです!」
「了解。」
「違うんです!馬さんと一緒にいる人全員来るんです!」
一緒にいる人?御者全員ってこと?とか言っているうちにアマミちゃんは先に行ってしまった。