魔女を領地へ勧誘しないでください
「朝食がまだでしたわね。それでしたら時間的に既に出来ていますわ。準備が出来ましたら向かうのですわ。」
と言うことで、服を着替えて朝食にいきます。なお、漸く僕は男装を許されました。まあ理由が…
「あの服装を朝からデコるのは大変ですわ。とは言え物凄くお似合いでしたから一式ミズハさんにお渡ししますわ!」
とか言う理由なんだけどね。結局、パジャマ一式まで貰っちゃった件。金持ちの懐の多さである。でもなあ、寝巻きは女子ものかあ…うーん、見てないとは言え…どうせマジーラさんにはバレてるとは言えどもなあ。まあ、アマミちゃんが寝るときパジャマに着替えるのは良いことなので良しとします。僕は男物のパジャマを買うまではそれで我慢と。
「皆さんをお連れしましたわ。」
「おはよう皆。…あら、そこの男性は?」
「ミズハさんですわ。ミズハさんはいつもこの姿ですわ。昨日は無理を言ってドレスを着ていただきましたわ。」
「え?と言うことはミズハさんではなくミズハ君が正しかったかしら?と言うより、シャロルは男性を自室で寝かしたの?!」
話がややこしくなってきたぞ?!
「ミズハさんは女性ですわ。訳有りで普段男装しているだけですわ。」
「あ、あらそうでしたの。」
「おはよう諸君…うん?この方は誰だ?」
さっきはシャロルさんのお母さん、今度はシャロルさんのお父さんから同じような疑問が飛んできたよ!で、このループがシャロルさんの弟まで続いたのは言うまでもない。メデタシメデタシ。めでたくないか。
で、朝食時よくわからないけどアマミちゃんはとっとと食べてアゲちゃんと何処かへ出掛けてしまった件。絶対何か企んでいる気配しかしないけど悪いことしない限り自由にしているので放っておくことにする。
「アマミさん何処かへ行ってしまわれましたけど大丈夫か心配ですわ。」
「放っといて大丈夫だよ。行方不明になったら連れ戻すから。」
「何処へ行ったかわかりますの?」
「大体何しそうなのかは予想つくからね。」
厳密には、何考えているか全くわからないけどアマミちゃんの力を認知できるから何処にいるか直ぐに分かるだけなんだけどね。
「悔しいですわ!私も早くアマミさんのことを理解できるよう努力しますわ!」
なんかシャロルさんには大変申し訳ないことしまくっている気がする。魔力だってどんなに頑張ったってアマミちゃんに勝てる可能性無いし…アマミちゃんと僕の繋がりも僕の特殊能力で成り立っているものだからね。
「シャロル?確かミズハさんもアマミさんもオラクル領は初めてなのだろ?折角だし時間があるようなら案内するのはどうだ?」
「それはよいアイデアですわ!ミズハさん、お時間は宜しくて?」
「うーん、まあ今受けている依頼が明日の夕方再開だから時間はあると言えば有るけど…」
「でしたらご案内いたしますわ!折角ですしオラクル領にある大規模な商店街を案内いたしますわ。私達オラクル子爵家の自慢の商店街ですわ!」
商店街自体を子爵家が完全管理してるのか?なんかやりたい放題だな。とは言え、本音で貴族と商店街ってなんか違和感があるんだけど。領地管理するのが貴族であって店管理するのは貴族の仕事じゃなくね?
「うふふ。是非見てください。最も商店街を企画したのは私の夫ですが、経営自体の管理は既に私達から離れているのですけどね。」
「それは言ってはいけないお約束ですわ!ミズハさんやアマミさんを驚かす要素が減ってしまいますわ!」
「嘘は良くないぞ?まあ、我々の領地も是非楽しんでくれ。出来れば住み着いてもらっても構わないぞ?通学のことならシャロルと一緒に通学すれば問題ないしな。」
おい!間接的に魔女を領地に誘い込むな!何したいか丸分かりだよ!と言うことで、この後は暫くシャロルさんと共に行動することになりました。で、アマミちゃんは…シャロルさんの部屋に戻っているね。
「じゃあ、1回シャロルさんの部屋に戻って身支度かな。そのまま出発できるように。」
「分かりましたわ。ところでアマミさんは何処ですの?お声掛する必要性が有りますわ。」
「それはそのうち伝えれば大丈夫だよ。と言うより直ぐに伝わるよ。」
「そうですの?良く分かりませんわ。」
とか言う、お嬢様を連れてシャロルさんの部屋にいきます。
「おかしいですわ?鍵が空いていますわ。来るときは戸締まりいたしましたわ。」
シャロルさんの部屋って鍵かけれる辺り凄いよね。シャロルさんの弟の部屋も鍵あるみたいだし。なお、弟さんはアマミちゃんを食卓で見かけた瞬間出ていってしまった件。ありゃ恋しているか、魅了効果に耐えられなくて逃げ出した感じだよね。本当に申し訳ない。
アマミちゃんの魅了効果は刺さりやすい人とそうでない人の差が結構激しいんだよね。慣れちゃうとマジーラさんみたいにある程度冷静に対応できるんだけど。