なんとか収拾がつきました?
「1つ目の条件は相手の急所を見抜くこと。まあ、どの生き物もお腹回りとかそこら辺が急所であることは自明だから余り考えないと思うけどね。」
「そこから魔力を吸うんですか?!」
「そう。だけど、それだけじゃ足りない。いや…そもそも生き物は気を許した相手じゃないと急所なんて見せないけど信頼を稼ぐなんてすごく大変だし以前問題それだけじゃ足りない。」
「ジャラジャラジャラジャラダン!パンパカッパッパパー!」
そんな効果音は要らないよ!
「と、とにかく…2つ目は相手を安静にさせること。どんなに相手が急所も見せたとしても自然体じゃないと駄目なんだよ。要は安静状態…睡眠状態にする必要がある。」
「…あ、そうなんです!シャロルさんが倒れていたときもアゲちゃんが乗っていたんです!シャロルさんは寝ていたんですか?アゲちゃんはシャロルさんから魔力を吸っていたんですか?!」
「うん。で、相手が寝るまで待てるなら話は別だけど…そこまで待っていられない…要は自身が力不足…お腹が空いて我慢できないときはリンプン…要は眠り粉をばら蒔く。
おそらくシャロルさんが倒れたのはそれが原因。実際にシャロルさんがいた床は若干ザラザラしてたし。まあ、シャワーが流れてちゃったからほとんど痕跡がなかったのが欠点だけど。」
「と言うことは、あの粉は眠り粉なんですか!」
アマミちゃんが瓶に突っ込まれた大量の粉を指差す。
「うん。しかもちょっと吸っただけであっという間に昏睡させることが出来る強力なもの。じゃないと風呂場に粉らしい粉が殆ど無い状態だったのにシャロルさんが今でも全く起きないことに説明ができないし。
で、ここからの推論だけど…おそらく今までの経緯からアゲちゃんことメガアゲハは他にも粉系のものを振り撒けるんじゃないかなと勝手に思っている。現に蝶のなかにはリンプンが毒のものもあるし。伊達に魔物として呼ばれているわけじゃないと思うんだよね。」
暫く沈黙が続く。
「最強なんです!色々な粉を集めれば色んな薬が出来るんです!眠らすことも麻痺らすことも、逆に治療薬になるかもしれないんです!大発見なんです!凄いんです!アゲちゃん使いたい放題なんです!アゲちゃんを助けるにはどうすればいいですか!」
魔女の欲求が出てるぞ!助ける目的変わっていない?!
「えっと、それは勿論魔力を吸わせることだし…眠っている時に吸わせればより強力だし。」
「それをなめればゆっくり眠れるんですか?!」
「それはそうだけど…ってアマミちゃん?!」
急にアマミちゃんが粉が入った瓶を取りに行くと服を脱いだままベットに寝転んだ。
「これをなめて私が寝たらアゲちゃんを乗せるんです!よろしくお願いしますなんです!」
「ちょちょ…まだ、それが眠り粉と決まった訳じゃ…」
というのもつかの間、瓶をあけ粉を指につけると瓶を閉めたあと枕元において舐めてしまった。瞬時にアマミちゃんは倒れた。
「アマミちゃん!!」
近づいてみると完全に昏睡している。相当な効果だなこれ。そこいらの毒物より影響力多すぎだろ。まあ、推理が正しくて助かった。これで本物の毒物ならたまったものじゃない。
僕は、力を解放しアゲちゃんを起こす。アゲちゃんはキョロキョロ見回すとご馳走にありつくかのようにアマミちゃんの胸元に飛んでった。毎度恒例分速魔術師1人前で魔力を吸っている。
観察していると、もはや15分経っても離れる気配がない。仮にマジーラさんが吸われる立場だったとしてもそろそろ限界レベル。一般的な魔法使いでは既に命に関わるレベルである。まあ、魔力枯渇程度で死にやしないけどオーバーキルは命に関わると勝手に思っているから僕は。
流石にシャロルさんなら大変なことになっていたはずである。風呂場で早期発見出来て本当によかった。まあ、シャロルさんも一向に起きないんだけど。魔力枯渇が原因かそれともメガアゲハの眠り粉が原因かは分からないけどね。
そして最終的に30分間…もはや僕の知っている限りアマミちゃん以外なら致命傷どころの騒ぎじゃないレベルの…魔力の吸引を吸い終えたアゲちゃんは漸くアマミちゃんが寝る直前に横においた魔女帽子の上に止まって大人しくなった。
念のためアマミちゃんを調べているけど、若干の魔力消費…いや、あくまで相対的だからね!…だけで特に問題はなさそうである。仕方ないのでアマミちゃんに服を着させて僕も寝ることにする。アゲちゃんが何か仕出かすと厄介だけど、既に眠ってるようだし平気でしょ。とりわけどんなに眠っていてもちゃんと服を着ていれば害は起きないはずだし。
ということでよりにもよって、シャロルさんはベットの奥、アマミちゃんはベットの手前で眠っているため…僕は間に入って眠ることにしました。二人の女の子の間に挟まれて眠るのはなんだか落ち着かない。まあ、僕も女子だから別に良いっちゃ良いんだけどさ。