魔蝶の生態系を分析します
「駄目なんです!アゲちゃん!まだ、あまり動いちゃいけないんです!無理しちゃいけないんです!」
見てみるとアゲちゃんどうやら強引にアマミちゃんの手から抜け出そうとしている。アマミちゃんが蝶の背中を押さえているので動けなさそうだけど、動こうとしているのは間違いない。
と言うより、力がまた動き始めた件。これ、メガアゲハまた何か振り撒くつもりだぞ!
「アマミちゃん?!アゲちゃんしっかり押さえておいて?」
「分かったんです!無理しちゃいけないんです!大人しくするんです!」
アマミちゃんがアゲちゃんを胸元で押さえて、僕が羽を押さえる。するとアゲちゃんは恨みまがせで僕とアマミちゃんを交互に見てきた。いや、厳密には魔物とはいえ蝶なんだから表情なんてないけどそのように見える。
なんか違和感がある。現状確かにアゲちゃんに魔力が流れている。だけど効率は分速魔術師0.01人分程度。胸元だろうが胸だろうが対して変わらないので魔力吸収力は変わらないはず。それにある程度動けてるんだから吸う力も戻ってきているはずである。それなのにこの違いはなんなのか。
うーん、現状を整理してみる。確か僕が見た限り、メガアゲハが恐ろしい魔力を回収していたのは2回。アマミちゃんが風呂場にいたときと、シャロルさんが風呂場にいたとき。風呂場が原因か?…いや、場所が風呂場だから吸える量が増えるならばまるで人間の魔力を吸うために生まれたようなもんじゃん。人間の前に余り姿を表さない理由にならない。
で、仮に運悪く会えば魔力枯渇で死んでいるからレアケースとかだったら、流石に超危険魔物と言った形で世間一般に広まっているはずである。人間の情報網は尋常じゃない。会った人間のみを確実に仕留めるなんてこと不可能だろ。
とにかく、なんでこんなに力の回復力が弱いんだ?原因は…原因は…あ、ちょっと待って!確か、風呂場の現場検証の時…若干ザラザラしていたような?もしそれが、あれなら…分かった!それなら間違いない!分かった!メガアゲハの生態系が完全に分かったぞ!
「アマミちゃん!分かった。アゲちゃんが暴れようとしている理由も、さっきなんで粉を飛ばそうとしたのかも全部!」
「それどころじゃないんです!アゲちゃんがまた暴れようとしているんです!これ以上だと魔法で強制的に押さえつけるしかないんです!アゲちゃんを傷付けたくないんです!嫌なんです!」
「了解。ちょっと待ってね?」
瞬時にアゲちゃんは大人しくなった。完全に硬直している。理由は簡単。僕が力を完全に奪った。それだけである。
「ギャー!お姉ちゃん!アゲちゃんが動かなくなっちゃったんです!回復魔法も聞かないん…です!死ん…じゃっ…たん…です!」
「アマミちゃん、落ち着いて。緊急処置。一時的にアゲちゃんの力を全部奪ったから。」
「酷い…んです!どうし…てですか!お姉ちゃんは力の…吸収は誰かを…殺すために使わ…ないって言って…いたんです!駄目なんです!約束は守る…んです!」
「逆。アゲちゃんが暴走しちゃってる。今アゲちゃんを押さえておかないと僕もアマミちゃんもアゲちゃんだって皆不幸になる。全員を助けたいなら僕の話を聞いて?」
アマミちゃんの目をこれでもかと言うぐらいじっと見つめる。アマミちゃんの性格としていつも明後日な行動ばっかだけどやるときは恐ろしいぐらいしっかりする子である。それこそ別人レベルで。だから僕は絶対アマミちゃんを見捨てない。他のアマミちゃんを理解できない奴らが全員捨てたとしても。
「話すんです!助けるんです!手段は問わないんです!魔女として、アマミとして助けれるものは助けるんです!手段は選ばないんです!」
いや、そこは選んで?今回の対策は最悪アマミちゃんにめっちゃ負荷掛かるからね!
「いい?アゲちゃん…要はメガアゲハは相手の魔力を吸収して生きている。これは間違いない。で、普段は植物の魔力を吸っているとか言っていたけど、おそらくそれだけで生きるなんて到底無理だと思う。第一、魔力を持っている植物自体がレアだと思うし仮にいたとしても普通の生き物の方が遥かに効率がいいはず。」
「そうなんですか?!」
「アマミちゃんは僕の能力を知ってるはず。僕は全生き物の力を把握出来る。生きてる植物で生き物より魔力持ってるなんてそれこそ魔物とか妖怪とか自分で動けるやつだけだよ。メガアゲハがターゲットとしている安全な植物にそんな魔力を持ってるものなんていない。」
「よくわからないんです!アゲちゃんはどうすれば戻るんですか!」
「まあまあ、落ち着いて。順番があるから。とにかく植物だけでメガアゲハは絶対生きれない。だからメガアゲハは必ず何かしらの生き物にとりつく。」
「取りつくとどうなるんですか?アゲちゃんみたいにおかしくなっちゃうんですか?!」
「うーん、もともとそういう生き物なのかな。メガアゲハは生き物に取りつくと魔力を吸いとれる。だけど効率よく魔力を吸うためには2つ条件がある。」
「条件って何ですか?!アゲちゃんは魔力不足でおかしくなっちゃったんですか!」
待てい!答え言っちゃったよ!早すぎるよ!とにかく僕の流れに持っていくことにする。
うつ病で瀕死になっていました。復職復帰取り組みとして投稿を再開します。なお、在庫はまだありますが…キャラクターが10年前ぐらいに誕生したキャラクターため今の私ではもう制御出来ません。その為、冒険者編が完了次第…次はあるのですが…こちらからの投稿は長期中止といたします。