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006 アルミナのピンチ

新たな登場人物等

 宿の大将:年齢不詳。知る人ぞ知る隠れ家的な宿の大将。愛称:黒髭のサンタ。




006 アルミナのピンチ




「アルミナったら、どこで油を売っているのかしら?」


(まさか、私を置いて一人で実家に帰った?)


シンシアは、アルミナの帰りを待っていたが、夕食時を過ぎても帰ってこなかった。

不安が爆発したシンシアは、アリスに相談することにして、部屋を出て一階へ降りて行った。

シンシアが階段を降りていると、ちょうどお風呂上がりの『海の支配者』のママリーとすれ違ったので、一緒に話を聞いてもらうことにした。


シンシアが食堂で話し始めると、ちょうど宿の大将も片付けが終わったらしく一緒に話に加わった。

シンシアは、アルミナが午後に一人で稽古するって出て行ったきり、戻って来ていないことを告げた。


「・・・・・」


その場にいたみんなは、押し黙っていたが宿の大将が沈黙を破った。


「攫われたんじゃないか?

 あんたもべっぴんさんだがまだ少し幼い。ちらっとみたがあの子もべっぴんさんだったよな。

 ちょうど人攫いの狙いそうな歳だったし。」


「・・・・・」


「ど、ど、ど、どうしましょう?」


シンシアが不安気につぶやいた。


「・・・・・」


「あたいは、昔、人攫いにあって、ここの大将に助けられたから、今ここにいるの。

 この国じゃ獣人は人間以下だから、獣人の両親が攫われたって訴えても誰も助けてくれない。

 私の場合は、両親が目の前で殺されてたから訴える人もいなかったけど。


 でも、人間の子どもなら探してくれるんじゃないの。ねぇ大将。」


アリスは自分のことをさらっと告げながら、宿の大将の意見を待つ。


「今、獣人解放軍が王都目掛けて進軍中なのは知ってるよな。

 情報は入ってないがもう王都に到着しているだろう。

 そのどさくさに紛れて人攫いが横行しているみたいだそうだ。


 奴隷って言うのは、30年分の給金を前渡ししていると虚偽の契約書をでっち上げ、

 売られた獣人や人は、30年間無給で働かされる。

 その間の食事代、宿代も借金にさせられるので、結局一生タダ働きってこった。


 たちが悪いのが、すでにでっち上げとはいえ契約書ができている場合だ。

 下手に助け出すと、こっちが人攫いにされるってこった。


 まあ、安全に助けるなら、

 言い値で買い戻すって手もあるにはあるが、、、」


「・・・・・」


「いいわ。私が買い戻すわ!。

 何よ。高い勉強代だと思えば安いものよ!」


ちょっと言葉が乱れているが、シンシアの言いたいことをみんなは理解した。


「嬢ちゃん、足元みられんようにはするが、金貨30枚はいるぞ。金は用意できるのか?」

「今は、金貨が少し足りないです。

 ・・・・・

 あっ、二人でキャラバン隊の護衛任務が終われば、金貨は返せると思います。」

「じゃ、私がその金貨貸してあげるわ。」


ママリーの一言で、金策の目処がたった。


「それじゃーわしが明日、古い知人頼みになるが奴隷商人とコンタクトを取ってみる。

 歳は14才くらいか? うす緑の髪で、目は何色じゃったかな?」


「歳は12才、うす緑の髪でおんなじ色の瞳だったよね。」


アリスがきっぱり答えた。


(やっぱり発育よくみられるのかー。胸かー。胸なのかー。)


解決の糸口が見えたことで少し安心したシンシアは、不謹慎なことを考えていた。


「みんな、ありがとうございます。相談できてよかったです。

 私は、明日の朝一でギルドでお金を下ろしてきます。

 大将、明日は頼みます。

 ママリー、金額が解ったらよろしくお願いします。」


「ああ、任しておけ。」

「大丈夫、今日一日だけだけど、あなたは私とナターシャの弟子よ。

 弟子のピンチを師匠は助けるものよ。心配しないで。」


大将は、これから深夜の酒場で古い知人を探しに行くと言うので、あとは明日にしようとなった。

シンシアは、大将はサンタクロースのような容姿を想像していたが、実際は黒髭のサンタクロースだった。




シンシアは、一人みんなと別れて部屋に戻ると窓を開けた。

彼女は月を見ることはできないが、探索魔法で秋空に浮かぶ月を感じることはできた。

彼女は、月に向かって両膝をおり、両拳を胸の前で組むと祈っていた。


(アルミナ、あなただけ先に大人の階段は登らせませんわ。

 ・・・・・

 うそ。

 ・・・・・

 必ず助けるから無茶はしないで、生きていてほしい。。。)




窓から祈るシンシアの姿を誰も見てはいなかったが、それは、月に願いを捧げる天使のような姿だった。




続きが読みたくなったよね。たぶん。

ブックマーク、評価☆☆☆☆☆など押したくなったよね。たぶん。


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