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003 ハンターギルド

新たな登場人物等

 魔力測定の水晶: (魔力小) 赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色、白色 (魔力大)

 シンシアの魔力:規格外。薄い金色。

 金貨:  約¥100000円

 銀貨:   約¥10000円

  (大) 銅貨: 約¥1000円

 小 (銅) 貨:   約100円




003 ハンターギルド




シンシアとアルミナは、王都のハンターギルドへ来ていた。

そこは王国を逃げ出そうとする人々で溢れかえっていた。さらに、そこかしこで誰かが何かを叫んでいた。

シンシアとアルミナはここから逃げ出したい衝動に駆り立てられていたが、じっと我慢していた。


「お嬢様、これからの旅で必ず必要となりますので、

 ギルドカードはなんとしてもここで作っておきましょう。」


アルミナは、ハンターギルドが混乱している原因を知っていた。

ギルドカードの登録地には、ハンターの収入の1割が税金として収められるため、

どこの国もギルドカードの登録地を、そのハンターの母国として扱うことになっていた。

なので、ギルドカードは簡単なパスポートとして利用できるのだ。


(ギルドカードさえあれば、たとえその日暮らしになったとしても、シンシア様と二人ならきっと切り抜けられる。)


アルミナは、これから向かう隣国リベルナ王国のことも不安に考えていたので、ギルドカードは何としても欲しかった。


「アルミナ、

 これから、お嬢様と呼ぶのはやめて。シンシアでいいわ。

 ここからは対等の仲間よ。あなたは剣士として、私は魔道士として、

 同じパーティーとして、ともに困難に立ち向かっていきましょう。」


(我ながらすんなり言えたわ。たぶん。)


シンシアは、ハンターギルドへの道中で考えていた言葉をアルミナに伝えて、にっこりと微笑んだ。


「そ。そ。そうですね。」


アルミナは、一瞬戸惑ったが、これからのことを考え納得した。

二人が登録用紙に記入して列に並んでいると、前の方から悲痛な叫び声が聞こえてきた。


「なんで登録してくれねーんだよ。どーしてだよ。」

「申し訳ございません。明らかにハンターでは無い方には、ギルドカードは発行できません。

 今は、緊急事態であることから、多少目をつむっていることもありますが、ご理解ください。」


ギルド職員も疲れているのか、大きな声で答えていた。

ギルド職員の声を聞いて、順番待ちから離れていくものたちもいた。


「大丈夫かしら?」


「おじょ、シ、シンシア。あなたは魔力があるので、検査されても大丈夫です。

 私は、剣士と言うより魔道士の護衛ですから、おじょ、シンシアが通れば大丈夫です。」


シンシアから先に登録する作戦で、二人は頷きあって、順番を待っていた。

二人ともドキドキしながら待っていることは、お互いに知っていた。




「次の方どうぞ。」


シンシアたちの順番となった。少女の二人組に言及することなく、ギルド職員は声をかけた。


「魔道士ですね、、、シンシア、10才、推薦状は、えっと、無しですね。希望クラスは無記入っと。

 こちらは剣士、、、アルミナ、12才、推薦状無し、クラスは無記入ですが最低のFとなります。

 パーティー名は『誓いの絆』、代表はシンシアさんですね。

 魔道士の方は、魔力を測定しますので、魔力量でDクラスからのスタートも可能です。

 それでは、魔力測定しますので、その水晶に魔力を込めてください。」


剣士の登録は12才からだが、魔道士は実際には直接戦うことが少ないので10才からの登録が可能だ。

二人とも、年齢的には最年少ギリギリでの登録となる。

先程の職員が多少目をつむっているというのは、たぶん、この年齢的なことだろう。


「えっ?、こ、これは、、、いったい、、、

 ちょ、ちょっとお待ちください。」


ギルド職員は、慌てて奥の部屋に駆け込んでいった。

アルミナは、先程まで魔道士の魔力検査を後ろから見ていたが、ほとんど赤色に光っていた。

たまに黄色く光る人もいるようだが稀であった。

しかし、シンシアが手を乗せた水晶は薄く金色に光っていた。明らかに先程までとは違う。




「お待たせいたしました。水晶は特別な魔法陣により、魔力量を色で表示できます。

 普通は、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色、白色と言う具合に虹色のように変化します。

 これまで、金色を目にしたことがなかったので、他のギルド職員に聞いてきました。が、わかりませんでした。

 当支部のギルド長とも相談しました結果、黄色と言う判断にさせていただきますが、よろしいでしょうか?」


ギルド職員は、戻ってきてすぐに説明し、黄色の判断でよいか聞いてきた。

普段なら、別の検査をするのかも知れないが、混んでいる現状では仕方がないのだろう。

シンシアは頷き返して、次の言葉を待つ。


「ありがとうございます。では、黄色でしたら、Eランクからスタートできますが、

 それでよろしいでしょうか?」


シンシアは一瞬迷ったが、パーティーの活動の幅が広がると考え再び頷き返した。


「魔道士の登録と同時の剣士の登録ですので、これで問題ないでしょう。

 Dランク以下の登録料は 銀貨1枚、年会費も銀貨1枚です。

 あっ、それとEランクパーティーとなる『誓いの絆』にも同じ料金が必要です。」


アルミナは、巾着袋から全ての硬貨を受付の机にぶちまけた。

ギルド職員は、その量に驚きながらもじっと見つめていた。

アルミナは、そこから金貨1枚と小銭的な扱いの銀貨、銅貨を巾着袋に戻した。


「この中から、必要料金をお支払いしますので、残りはシンシアの口座に入れてください!」


アルミナは、自分でぶちまけた硬貨を指差してそう告げた。

そう、アルミナは迷わない。真っ直ぐな信念の人なのだ。


「わ、わかりました。

 そのまま、お待ちください。」


そういうとギルド職員は下がっていった。




混雑している時は、後ろでお待ちくださいなどと言うことはしないようだ。

役割分担して、待たせながら処理するのもよい方法だが、その管理のため人員が必要となる。

一人の職員が最初から最後までを行うことで多分間違いが減るのだろう。

シンシアは、前世での携帯電話の受付を思い出しながらそんなことを思っていた。


「先程の金貨は、29枚ございました。料金として銀貨6枚を頂戴いたしました。

 残金の金貨28枚、銀貨4枚は、シンシアさんの口座でお預かりとなります。


 では、こちらがシンシアさん、こちらがアルミナさんのギルドカードとなります。

 後ですぐに、この魔法陣に、血判をお願いいたします。

 そうすることで利用者の魔力の波動が登録されますので、

 以後の不正利用ができなくなります。


 本日は、ハンターギルド ヒルデンブルグ王国 王都支店

 ご来店、ありがとうございました。

 またのご利用、お待ちしております。」


ギルド職員は、戻ってきてすぐに必要事項を伝え、ギルドカードを二人に渡すと、

定型句の挨拶を述べながら一礼することで、私たちの対応が終わったことを告げた。




ギルド職員は、「はー」、と声に出してため息をついた後、長い列の次の人を呼んでいた。




続きが読みたくなったよね。たぶん。

ブックマーク、評価☆☆☆☆☆など押したくなったよね。たぶん。


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