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らいむらいと

「改めて。僕がチェイン・アキ・ラインハート。こっちにいるのが執事のヒース・イルミナード。そこにいる女性が沙羅で、もう1人がファイだ」

「よろしくお願いします。僕は、芳野はるかです」

 長めの髪は茶色く、多少傷みが目立っている。少し背が高く、細めのジーンズがよく似合っている。もう一方の男は、アキよりちょっと大きいくらいの身長で、短めの黒い髪には天使の輪が出来ていた。

「僕は、小松原敦です。2人で『らいむらいと』という名で歌を唄っています」

 アキとヒースは、丁寧なお辞儀につられて頭を下げた。

「プロの歌手?」

「まぁ、一応。デビューしたてだけど」

 はるかが、くるくるとした眼を細めて、照れたように言う。

「へぇ、すごいな。路上でやるだけでも厳しいオーディションに受からなきゃいけないのにな」

「え? そりゃあ、路上経験はあるよ。でも、うるさいとか邪魔だとかはよく言われたけど、勝手にやってたから」

 はるかの言葉に、そうなのか? と答えたとき、カスミが紅茶とサンドイッチを持ってきた。ついでに、その辺の事情を知っているかと聞くと、少し考え込んで口にした。

「ここでは、道でパフォーマンスを行うことを職業のようにやっていますでしょう? それで生計を立てていたり。オーディションに合格したバスカーと呼ばれている彼らだって、もちろんデビュー出来れば良いのでしょうけど。アマ・プロ関係なくパブなどでも歌っていますし。でも、日本ではデビューすることが第一で、利益というものは存在しないのではないでしょうか? ライブハウスで歌うのにだって、赤字覚悟だって聞いたことがありますわ。今の時代はわかりませんけど」

 カスミは、一番の情報ツウだ。どこで情報を仕入れているのかはわからないが、日本のことも、この土地のこともよく知っている。そんな彼女は、ごゆっくり、と去って行った。

「この国では資格が必要なんですか」

 真剣な眼をして敦が呟く。

「受けに行ったことはないが、かなり門が狭いと聞いた」

『やめてくれ。そんなことをされたら侯爵家に傷がつく』

 ヒースのぼそっとした声は、アキに届き、キッと睨みが入った。


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