道案内2
ヒースがアキに裏を見るよう促した。そこには、やはり見慣れた文字が書かれていた。
『この者たちをラインハート侯爵家までよろしく。礼は侯爵に。 ジョージ』
「うわ、最悪だ。Jからだ」
アキは頭を抱えた。
「ジョージさんらしいといえば、らしいけどな」
ヒースは腕を組んで頷いた。
「ジョージさんを知ってるんですか?」
「ああ、まぁ……」
「僕ら、結構頻繁にお茶しに行くんです。いつもよくしてもらってて」
「この地へ来ることになった時に、何か問題が起きたらこの場所へ行けって紹介されて」
代わる代わる2人の青年が口を開いた。
「ヒース、案内してやりなよ。どうせ今日はここに来るつもりなかったんだろうし。僕もあとから行く。ランチぐらいは振るまえよ」
最後の言葉は、こっそり耳打ちで。アキは、捜索中の2人が戻って来てから帰るという。
ヒースは、仕方ないかと声をかけた。
「ご案内しますよ。うちでの買い物はよろしいですか?」
「えっ、すいません。気にはなるんですが、僕らそんなお金持ってないですから」
うちの石たちとは縁がなかったのだろう。ヒースは、あわてて首と両手を振る青年たちを促して店を出て行った。