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序
「ジェム・マスターの名のもとに、我が願う。浄化の炎を。緋炎鎌!」
振り下ろされた鎌から緋色の熱なき炎が、細身の若者へと向かっていく。
「ぐっ……、うわあああ」
若者を覆っていた妖しのものが、炎に包まれ、消えた。
「思ったより時間食うてしもうたな」
「彼、どうする?」
「気を失っているようですし、本来なら家まで送るのがよいのでしょうが、彼の場合は、自業自得ということで放っておきましょう」
「そうだな。前金で、もらっててよかった」
長身の影が二つ。それより少し小さめなのが一つ。さらに、極小が一つ。白く霞む空気の中を歩いて行った。