第一幕 1
元東方の二次創作です。
ですが色々考えていくうちになんかもう独立しちゃった作品です。
あと少々クトゥルフ神話をかじっていた時期があり、それも混じっている部分も多々ある作品になりました。
誹謗中傷、無断転載、アンチなどはご遠慮願います。
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黒い空、ぼくを見下すように立っている高い木々、そしてぼく自身も、全てクレヨンで描いたような世界。だけど赤い絵の具のようなものが地面に広がる。それにその赤の中から、黒い空に溶けるような大きな人影がいくつも出てきた。
ぼくは怖くなって人影と赤から逃げる為に走った。息を切らして必死に逃げた。
「来ないでーーーー!」
そう叫んでも赤は広がり、ぼくを追い続けてくる。もう嫌だよぉ・・・怖いよぉ!
そんなところで、ぼくの目が覚めた。
「夢・・・よかったぁ・・・」
ぼくは寝袋から這い出て背伸びをした。
「んにゃ~~~~~~~!」
林の少し開けた場所、そこで野宿をしてたから空気がおいしいし、
鳥の声が心地いいし、空は青くてきれいだった。夢の空とは違って怖くない。
「おはよう、無心。はいこれ、食べたら行こうか」
ぼくのお兄ちゃんがぼくを呼んで、皮が剥いてあるリンゴを渡してきた。
そう、ぼくの名前は無心、そしてお兄ちゃんの名前は心理。
ぼくはまだこどもだからよくわからないけど・・・ぼく達は人間って言う怖いモノの中で生きていくしかないってお兄ちゃんが言ってた。
あと大好きなパパとママとおばあちゃんはとってもいい場所にいるって。
「ほら無心、着替えよう。ほら手上げて」
お兄ちゃんは僕の服を脱がし、黒い服とズボン、ブーツや手袋を着させて、
黒いコートを着せて、フードも被らせた。
「お兄ちゃ~ん!フードは暑いよぉ!」
ぼくはフードを外そうとしたけど、お兄ちゃんはその手をつかんだ。
「だめだ、頼む無心。お前の為なんだ」
ぼくは口を尖らせながら頷いた。するとお兄ちゃんはなんだか苦しそうなほほえみを見せて、フード越しにぼくの頭を撫でた。
「覚えているよな?無心」
「お兄ちゃん以外と目を合わせるな、でしょ?」
「そう、お前は感度が強いからすぐに底まで見えてしまう、だからダメだぞ?」
「はーい」
そしてぼく達は歩き、次の町へ歩き出す。
ぼくはこの旅が、このゴールが見えない旅がいつ始まったのか覚えていない。
「お兄ちゃん、この旅っていつ始まったの?」
ぼくがそう聞くと、お兄ちゃんは少し考えた後に答えてくれた。
「たしか一年前だったかな・・・」
ぼくは質問を続ける。
「じゃあ・・・いつお家に帰るの?」
お兄ちゃんは伏し目がちに言った。
「・・・もう帰れないよ・・・」
ぼくも伏し目がちに言った。
「たぶん・・・終わらないんだよね・・・この旅は・・・」
お兄ちゃんは答えてくれなかった。