表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/18

第九話

遅くなりました。

 一方、その頃風哉は凍ったドラゴンの下敷きになっていた。その姿はまさに、罰を受けているとある猿の様であった。


「……誰かー、騎士以外の人-、助けてー」

 騎士に捕まれば、牢屋にとんぼ返りの風哉は大声で助けを呼ぶことも出来ない。とりあえず、風哉はこのドラゴンを除去しに来るであろう者達を待つことしか出来ない。

 風哉にとって、重さも冷たさも大丈夫であったが、風哉の体勢が悪く、うつぶせ状態なので、手が使えないため、氷から抜け出すことも、氷を持ち上げる事も出来ない。


「今、夜だよ? 寝転んでたら眠くなるに決まってるじゃないか」

 と、言って、風哉は顔を伏せた。。そうしていると、一人の鎧を着た屈強そうな男が風哉に近づいてきた。


「あー誰か助けてー」

「良いよ。今、助けるよ」

男は、持っていた槍で氷を突くと、氷は槍に刺さるのではなく、吹き飛んでいった。


「え……?」

「大丈夫かな? 君。俺はこの街を守っている聖騎士なんだ。

よろしく!」

 風哉は突然現れた男に戸惑ったが、とりあえず立ち上がって、


「僕は月村風哉です。……たまたま氷の下敷きになってしまっただけの唯の旅人、ですかねぇ」

「それは災難だったね。ここは俺が処理するから、早く避難してくれ……って、旅人なら、もしかして避難場所が分からないのかな?」

「いえ、それは大丈夫ですよ」

「そうか、それじゃあ早く避難を。ここは危ないからね」

「避難するわけにはいきません」

 風哉が、そう言うと聖騎士は困った顔する。聖騎士は頬をかいた後に、再度避難するように言ったが、それも風哉は断る。

 すると、聖騎士は近くに居た騎士二人を呼ぶ。


「その少年を避難場所に連れて行ってくれ。抵抗するようなら、

危害を加えないように拘束しろ」

「「了解!」」

「勝手に言ってくれちゃって……」

そして、風哉はボソッと、それにその騎士二人で拘束できるわけ無いじゃん。と呟き、女騎士の居た方向へと走り始める。


「待てッ! ここは、通さん!」

「大人しくするんだ!」

「やーだよ、まだ仲間が向こうに居るんだ。通してもらおうか」

 風哉は、近くに居た方の騎士の肩を踏み台にして飛ぶ。踏み台にされた騎士はバランスを崩し、転ける。もう一人の騎士は風哉の動きを捉えられず、立ち尽くしたままになっていた。

 風哉が騎士の後ろの方に着地した頃、やっと騎士は振り返り、

風哉を追い始める。

 しかし、風哉のスピードに鎧を着た騎士が追いつけるはずもなく、風哉と騎士の間の距離はどんどん広くなっていく。そして、もう一人の騎士も立ち上がり、風哉を追いかける。


「あの動き……、只者じゃないな。凄いスピードだ。唯の旅人にしておくには勿体ないぐらいの少年だな。あれなら、大丈夫だろう。それよりも、俺が考えなきゃならないのは、親のドラゴンについて、か」

 そう言って聖騎士はため息をつく。


「ああ、あの少年、何処に向かったんだ? もしかして、親ドラゴンの所に向かったのかな。そうだなぁ、あの少年が親ドラゴンを何とか出来るぐらいならば、我が天野家に欲しいな」

 期待しすぎか、と言って聖騎士は笑う。その笑い顔を、風哉に逃げられてしまった騎士二人が見て、恐怖を覚えたことを聖騎士は知らない。






 


あけましておめでとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ