表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/18

第一話

 勇者……それは、古来より伝わる救世主のことだ。あるは、世界を征服しようとする魔王と戦い、あるときはとらわれた姫を助けるために竜と戦い……またある者は、自国の技術の発展に力を入れて、

 国の経済、あるいは産業等は世界最低レベルからトップレベルへと躍進した。

 他にも、勇者の功績となっている、伝説を挙げればきりが無いだろう。

 此処にもまた、一人の世界を救った勇者がいた。

 その男の名は、月村風哉つきむらふうや。金髪に緋色の目、顔立ちには、まだ幼さが残っているものの、優しさを感じさせ、みた者を不思議と安心させる。本人はあまり男らしくないと気に入ってはおらず、身長が高くないのが悩みである。

 しかし、そんな彼は世界を救った後、居なくなってしまう……。

 そう、彼は異世界へと訪れていたのだった。


「ふう……ここは、森の中、か」

 そう呟いた風哉は、取りあえず、危険が無いかを確認するために、回りを見渡す。勿論何も無く、取りあえず一息つく。


「はぁぁ、こんな所にいきなり転移させられても、場所が分からないよ……目印も無いし、今の場所が分からなかったら地図も意味ないんだよね。もうちょっと人の居るとこにしてほしかったなぁ」

 風哉は一旦不満を口に出すと、すぐに切り替えて、取りあえず森から抜けるのに、どの方向に進もうか、考え始める。


「といっても、どの方向に進むのが人の居る場所に近いかなんて、分からないから勘で決めるしか無いんだよなぁ。

……頼むぞ。僕の第六感っ!」

 風哉はクルクルと回って、止まった方向に進もうと決め、回り始める。しかし、優柔不断な風哉は、なかなか止まることが出来ない。


「うっ……気持ち悪い。流石に回りすぎたか……仕方が無い、回るのは止めだ。木の枝が倒れた方に進もう」

 そういって風哉は良い感じの木の枝を見つけるために歩き出した。

 ……目的と結果が逆になっていることに、今の風哉は、気づいていなかった。木の枝探しに夢中になっていると、


「ちっ、魔物か……。こんな時に」

 勿論、風哉が木の枝探しに夢中になっている時だからこそ、攻撃してきたのだが、風哉相手に、というか普通の人が相手でも、通用しないような不意打ちであった。

何故なら、木の陰に潜んで様子を伺っていたため、飛び出してくるときに葉っぱに当たって、音がしているからだが、不意打ちを躱された犬に近い獣は、逃げ出した。


「くそ……逃げるなよっ! もう少し闘おうとしろよ!」

 逃げ出す犬の獣を追いかけずに、風哉は腰から短剣を抜いて、一旦大きく息を吸い、吐き出す。そして短剣を構える。


「喰らえ……“雷神の慈悲”」

 雷を纏った短剣は、逃げる犬の獣を一瞬の内に貫いたのだった。

 そのまま飛んでいった短剣は雷光を発し、それをみた者は、雷神様のお怒りだと騒ぎ出すのだが、その事を風哉は知らない。


 そして、これが風哉の異世界冒険譚の始まりであった。




見ていただきありがとうございます。

週に一度は、更新したいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ