遊び人の気持ち♪
戦いに明け暮れてぼろぼろのみんなの痛い視線。
違うんだ、誤解しないでほしい。僕はみんなの気を紛らわしてあげようと思っただけなんだ。
そんな積もりはなかったんだ……。
数時間前。
「そろそろ休憩しようぜ。俺っち疲れちったよ」
「……そうだな。この辺りで野宿でもして夜を明かそう」
うんうん、みんなも連戦で大分参っているし、そうしよう。我ながらナイスムードメーカー。
「やったー休憩だ。それ燃えろやれ燃えろ」
魔導師は意気揚々と残りっカスの魔力で火を灯した。勿論、肉体労働派の諸君は薪を集めに行ったよ。
「いい夜ですね」
僧侶は分厚い本を開きながら言った。
「そうスッね。なんか和みますね」
僕は適当に相槌を打ち、続けて言った。
「僧侶っち、なんか最近技覚えた?」
「死人を復活させる技を少しだけ」
「前から思っていたけれど、それやっちゃうと人間死ななくなっちゃうんじゃん? いいのかな?」
「神の加護がある者だけが【生き返る】と言う事ですよ」
それだと、魔王軍にやられた農民とか戦士とかは、神に愛されていない計算になるけれど……。
「貴君は何か新しい技は覚えていないのですか?」
「とっておきのやつがあるッス。みんなが集まった時に御披露目するッス」
「それは楽しみです」
寝る少し前。
「そろそろ披露していいッスか?」
「いいぞー! やれやれ!」
「いきます!」
『遊び人は【口笛】を吹いた』
モンスターの群れに遭遇した!?
『モンスターに不意を突かれた』
!!!!!!!
必死の思いでモンスターを退治して、そのあとのみんなからの痛い視線と、僕は今戦っています。
せっかく覚えた特技なのに……トホホ。
遊び人って職業としてどうなんでしょうね。
遊び人の本分も定かではないし……。
なんでこんな職業の人が魔王を退治しに行くのでしょう。
「それはね。遊び人とは世を忍ぶ仮の姿で、本当は……。【悪党の方々】貧乏旗本の三男坊に気を付けて。成敗されてしまうから……」
永遠の謎だな遊び人ってヤツは……。




