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超オマケ 魔王の反省記♪

前書きと後書きに挟まれたアホガキが書いたかのようなオマケ短編です。

本編のどれより長いのでくれぐれもご注意願います。

 幼少の頃より闇より出でし魔王の息子と持て囃されちやほやされてきたのだが、魔界学校と言う義務教育に入学した途端に崩壊してしまった。


 周囲の期待を一身に背負い入学をしたが、同級生と比べて見れば強くもなく弱くもない魔力の持ち主だと言うことがはっきりした。


 この身に背負い込んでいた皆々様の期待は春一番の強風に塵も残さず吹き飛ばされ、後に残った物は裏切られたと嘆く大人たちの邪念ばかりである。


 勝手に期待して勝手に裏切られたなどとほざく周囲の大人に心底愛想を尽かしたのはこの時からであったが、それでも私は歯を食いしばって義務を全うした。


 名前ばかりが独り歩きしている私は思いほか弱いので同級生からちょくちょくからかわれいたが、それほど意に介すことなく学生生活満喫していた。しかしある時事態は一変する。


 私は恋をしたのだ。


 酷く整った出で立ちの彼女が予てよりいけ好かなかった上級生を闇の炎で消し炭にし、その炭でバーベキューを足しなむ姿はなんとも感慨深いものがあった。。そして私は彼女に大変心を打たれたのである。

 後で聞いたことだが、彼女は炭に拘る無類のバーベキュー好きらしい。


 彼女を思う度に私の脳内で日に日に妄想が膨れ上がった。彼女と人生を歩んだらどれほど有意義であるか。あれやこれやと妄想が脳味噌を巡り、とうとう現実と妄想の区別が出来ないほどの病に陥った。


 無論、恋の病だ。


 妄想が脳内の七割ほどを占拠したところで何を血迷ったか私は彼女に思いをぶつけると言う一大決心してしまった。恋は盲目と言うが盲目どころか錯誤錯乱であるように思えてならない。


 決心の結果は大惨事であった。


 当たって砕けろとはよく言われるが私の僅かなプライドと多大な妄想はパンパンに膨れ上がった風船に針を刺したかのように勢いよく弾け飛んでしまった。


 しかし彼女に浴びせかけられた残忍無比な言葉が弾けてしまったプライドと妄想と怠慢で構成された穴空き風船に火を付けることになる。


 点火された火種は周囲の大人、あるいは同級生などその他諸々の恨み辛みを燃料に黒々しい煙を吐き出しながらゴウゴウと燃え盛り、どこからともなく力が湧いて来るように思えた。


 直ぐ様自宅に直行し、頭を地面に擦り付け「同級生を見返したい」と生みの親に稽古を懇願。


 その言葉を待っていた、生みの親はそう言って力使い方の指導を快く引き受けてくれた。


 春一番に吹き飛ばされたと思っていた私の期待はこんな身近なところに残っていたことに気付き涙した。


 一念発起した私は元々血筋の良いことも手伝いメキメキと力を付けていった。それはもう付け過ぎなくらいで、生みの親の実力の三十倍ほどに達していたのである。


 これでみんなを見返せると思い意気揚々と同級生を返り討ちしたが、今度は所詮親の七光りと揶揄されるようになった。


 何をどうしても上手くいかない春期真っ盛りの私は完全にやさグレた。有り余る暴力を駆使して名のある実力者を片っ端から消し炭にし、その炭を意中の彼女に送り続けて数年。


 何年間そうしたかは不明だが、いつしか私は魔王と呼ばれるようになる。名実共に絶対強者になった私の元に同窓会の知らせが舞い込んだ。


 参加するべきではなかったと後悔しても遅い。


 寝耳に水とは正にこのことだろう。愛しのあの子に子供がいることが発覚した。彼女にとって私とは良質な炭を支給してくれる供給源でしかなかったのである。


 いよいよ絶望した私は魔界最大の禁忌を犯すことを決意した。万物の創造主たる神にこそが諸悪の根源、私は神に責任を取ってもらうべく宣戦布告するのである。


 手始めに神の子である人間を苦しめ悪の限りを尽くした。少々心が痛んだが神を誘きだす為であるので悪しからず。


 見兼ねた神とうとう行動を起こしたように思われる。勇者一行が週四回のペースで我が城を訪れようになったからだ。私は勇者一行を次々となぎ倒した。量産型の勇者はあまりにも弱く脆い……。


 そんな中で不死身とも思える勇者一行誕生したことに気が付いた。倒しても倒してもひょっこり現れる勇者一行。間違いなく神に祝福されているだろう。


 何度も訪れるので次第に親しくなっていく私と勇者一行。戦闘を開始する前に一杯の紅茶と洋菓子を足しなむのが日課となり「そろそろ殺られてくれよ」「そっちこそ」なんて冗談も飛び出すようになった。


 実際、もう私の支配はここら一帯しかないので勇者一行もそう急ぐ話ではないと言うのも事実である。


 飽きもせず遊びに来る友人(勇者一行)が私の心を緩やかに癒していった。神がどうの恨みがどうの、もうそんなことはどうでも良いほど満たされいたのである。怒りや恨み辛みを糧にここまで来た私だがもう燃やす燃料がない。


 私はそう、弱くなったのだ。


 私の最後の瞬間、勇者一行の目に涙が浮かんでいたが、それでも私を倒さなけれならない。


 勇者一行最大にして最強の奥義。

 私に痛みを与えぬまま葬ろうと言うのであろう。


 宿敵でありながら私を気遣う真の友愛。


 これが神が私に学ばせたかったことだ。如何せん手遅れ感があるが、私は最後の最後で――――本当の思い遣りを学んだのである。

お付き合いのほど、ありがとうございました。

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