魔王の気持ち♪
最後はやっぱり魔王でしょ! ……です。
「ついに魔王を倒したぞ!」
勇者達は戦利品を求め魔王城を探索した。
やめておけば良かった――――後悔しても、もう遅い。
魔王の手紙。
『勇者へ
うぬ達がこの手紙を読んでいると言う事は、余はもうこの世にはおらないのであろうな。
まずはうぬらには礼を述べなければならん。
余を屠ってもらい感謝の限りである。
意味がわからんか?
だろうな。我輩は魔族でも一際強大な魔力を保持しておってな、なんと言うのか、小さい頃から仲間外れであったのだ。強大な魔力ゆえ、妬む者が多かったのだろう。
強大な魔力で全員焼き払ってやったが、後に残る物は虚しさだけであった。
強すぎるゆえに、余は全力で事を成した事がない。何をするでも、全力はだせなんだ。
余は全力を求める。好敵手を求め西へ東へ、いつの間にか、魔王となっていた。
この世には余に敵う者がおらん。
そこで、好敵手を育てる事を思い付いたのだ。
そしてうぬらが余の目に止まったと言う訳である。
余はうぬらを好敵手にすべく、全力でうぬらに助力した積もりである。
うぬらの村の怪物が弱いのが良い例であろう。
徐々に強くなるよう配下の者を配置したのである。
うぬらが着実に実力をつけていると、報告を聞くのが余の楽しみであった。
親心にも似た感情が芽生えつつあったのだろうな。
今となっては、もう遅いが……。
見事にうぬらは成長した。この魔王を遥かに凌ぐ実力であったのだ、胸を張るがよいぞ。余は全力で抵抗した筈であるのだからな。全身全霊を込めて――第二形態やらを存分に駆使して――負けた筈だ。
うぬらとの別れは名残惜しが、余は行かねばならん。
去らば勇者達! 去らば魔王と言う肩書き!
闇より出でし魔王より』
「『「魔王!」』」
勇者一行の後悔の叫びはいつまでも止むことはありませんでした。
最初に出来上がったので改めて読むと寒い……けれどまあこんなもんです。