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たぶん絶対大丈夫

作者: 明日朝明日
掲載日:2026/01/11

主人公になってみよう。

僕の世界の主人公に、僕の人生の主人公に。


今からは、僕が僕のためにやることだ。

決して誰かに強制されたり、唆されたりしてやったことではない。

断じて。


それでも、やっぱり怖い。

誰かに言ってほしい。

命を下してほしい、とも思う。

それが一番楽だから。


でも、そうしていては僕の人生ではなくなってしまう。

自分じゃない気がする。

だから、やる。


たぶん。

絶対。

大丈夫。



その手紙は、床に置かれていた。


僕の部屋には何もなかった。

生活の跡は薄く、使われていない空間の匂いがした。

あるのは椅子と、天井から垂れたロープだけだった。


静かすぎる部屋だった。

音がないというより、

音が起きるのを待っているような静けさだった。


椅子は壁際に寄せられている。

脚の一本が、床を少しだけ削っていた。

いつ付いたのかは分からない。

ただ、その傷は新しかった。


ロープは揺れていない。

結び目は固く、ほどかれた様子もない。

それでも、部屋全体は奇妙なほど落ち着いていた。


手紙は、今は机の上にあった。

きれいに畳まれ、角が揃えられている。

その上に、伏せられたマグカップ。

中身は空だが、

指を近づけると、かすかに温もりの名残があった。


窓が開いている。

冷たい風が入り、カーテンを揺らす。

遠くで車の音がした。

誰かの話し声が、途切れ途切れに聞こえる。


世界は、何事もなかったように続いている。


玄関を見る。

鍵は掛かっていなかった。


僕は、手紙をもう一度読み返した。

乱暴な言葉も、強すぎる断言も、

全部、僕らしかった。


紙をそっと机に戻し、

ペンを取る。


空いていた余白に、短く書き足す。


また、どこかで


インクが乾くのを待ってから、

手紙を折り直す。


部屋を出るとき、

なぜか振り返らなかった。

振り返る必要がないと、

分かってしまったからだ。


外は、少しだけ暖かかった。


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