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ねこキャン 異世界転生がネコ様達により、いつのまにかキャンセルされていた件

リアル異世界転生キャンセル 3「ミケさま温熱治療の奇跡」 

※交通事故だけでなく、実は「帯状疱疹」の話がありますので

苦手な方はお避けください。


ランクインとポイントなどの御礼です。

皆様、よろしければご笑覧ください!

 腕がうごくってありがたいな、…。


 ぼけぼけとおもうのはそのことだ。

 帯状疱疹になって一週間。抗ウイルス薬は見事に成果を上げ、発疹は痂皮となり、何とか周囲に感染させる危険もなくなった。いや、それはともかく。

 問題なのは、左腕に痛みが残っていることだった。

 背中から、左腕――脇の下から前胸部。

 刺すような痛みとしびれがこれは、左の人差し指までにある。

 見事なくらい、教科書通りの後遺症である。


 何で突然帯状疱疹かというと。


 

 教科書通りだなあ、…――――。


 しみじみとしてしまう。

 何をしみじみとしているのかといえば。

 

 このエッセイは交通事故体験記を書いていく予定でいたのだが。

 そこに突如割り込んだ襲来者!

 その名を、帯状疱疹!!!


 ――――いや、まじで痛いですよ。…


 半端なく痛いですよ。

 焼け付くように痛いといいますが、まじです。

 そして、予防できるなら帯状疱疹、予防ワクチン高い方の奴、一回二万二千円×二回、自費扱い。予防接種無料対象にはならないため、それだけかかるのだけれど。

 整形外科に事故の後いっていたとき、妙にそのポスターが気にかかっていた。

 ――帯状疱疹予防ワクチン受けられます、―――。

 高いけど、何故か妙に気になっていた。

 こうなってみると、何故、自分、そのとき打っておかなかったんだ、といってやりたい。妙に気になるときはその勘を優先した方がいいことってあるものなのだ。

 うん、本当に。

一回でも打っておけば、重症化が防げる確率は高くなる。

いや、それこそ発症せずにすんだかもしれない。

 このつらさ。

 これが避けられるもんなら、自腹で22000円だろうと、絶対に打つ。

 だがしかし、すでに遅く。

 ぴりぴり、妙な痛みがあってしんどいなと思っていたら。

 ようやく安静が済んで、リハビリに入れて、―――――。

 うれしくなって、リハビリをしていたら。

 帯状疱疹は、発症する際に、宿主の状態に左右される。

 つまりは。


 本当に、教科書通りだなあ、…――――。


 教科書通りに、発症したのである。

 帯状疱疹。 

 疲労、ストレス、――事故後などの。

 つまりは、そうした大きなストレスが掛かった際に、免疫が落ち発症することが多いのだ。

 年齢は、高いほど危険だが、若年層でも上記のような状況が続けば発症しうる。

 まじで本当に教科書通りである。

 そして、現在。

 リハビリで治りつつあった右手のしびれ等と握力低下は持ち直してきて上機嫌になっていた処に。

 多分、動きすぎたのだろう。

 リハビリって、つかれるのだから。

 動けるからって、歩きすぎもしたのだろう。

 ――いきなり、二万四千歩も歩いてはだめだろう、自分、とか。

 色々いいたいことはあるのだが。

 ――動ける――!となって、あれもこれもと動き出して、筋力衰えてるからあるかないとね!とか。散歩だよ、さんぽ!とか。

 原稿もあげなきゃ!とか。(…―――)

 やりすぎたことは確かだろう。

 そして、いま、現在。――――


 左腕から胸にかけて、見事に発疹が発症していた。

 ――痛い。踊り出したいくらいには、いたい。

 割と、痛みには鈍感なはずだ。

 けれど、発疹が発症した瞬間に、焼け付くような痛みにがっ、と顎から胸をつかまれたかとおもうくらいに痛かった。おもわず、時間までいえるくらいである。

 ともあれ、それがGW。――――

 間の悪いことに病院がどこも休みの為、当番医も検討したが遠いのであきらめ。

 ようやく、連休明けに皮膚科を受診して。

 体質的に使えない薬が多い為、痛み止めも使えないものが多く、交通事故の際はあきらめてひたすら痛みに耐えていたのだが。

 (ちなみに湿布もかぶれてつかえなかった)

 だがしかし。―――

 これは、耐えられない。

 おとなしく処方された痛み止めを分量通り呑んでしまうくらいには、痛い。

 そうか、これが帯状疱疹――――。

 神経ブロックが保険適用になるわけだなあ、とおもう。

 まず、ねむれない。

 そもそも、痛い。

 動けないし、今度は左手にものを持つのがつらくなってしまった。

 ――まあでも、右手がいまは使えるからなんとなるか。

 そこは幸運なのかもしれない。

 そもそも、普段右利きで右ばかり使っていたのを、事故の後、ずっと無理して左手をつかっていた。左腕に相当の負荷がかかって、その為ここが発症したのかもしれない。

 うん、そうかも。

 そして、見事に大きく出た発疹は、教科書通り帯になっている。

 これは、あれだ、身体に帯を描いてT2とか、なんとか書いている教科書に載っているやつだ。

 本当に、その通り。

 これが広がらないでいてくれれば、重症化を免れて入院とかにならずに済むだろう。生命維持を願いたい。

 懸念は微熱が続いていることと、頭痛が多少することだが。

 突然死しないように祈りたい。

 何故なら、うちにはネコがいるのだ。

 ねこさまが、三匹もいらっしゃる。

 全員、飼うつもりではなく、いつのまにか保護して病気を治療していたりとするネコ様達なのだが。…――――

 ―――ここで、突然死したら、ネコ様達が飢えてしまうから無理。

 安静にして、いのち大事に。

 水分をとり、何とか72時間以内には間に合ったような抗ウイルス薬をおもう。

 これが効いてくれれば、何とか生き延びられるはずだ。


 そういえば。―――

 このお薬を手に入れるにも、紆余曲折があったのだった。

 ――先生、…――――。


 しみじみと、思い出す。

「あれ?これ、だめかもしれない」

投薬に選ぼうとした薬が、出てこない、といって先生が無邪気に画面をみせてくれたのを、しみじみとみつめていた。

 皮膚科の診察室。

 先生に向き合って座り、これは帯状疱疹だねーということで、薬を選ぼうということになったとき。

「この画面にないと、選べないから投薬できないんだ、―――」

先生が、ほら、とわざわざ画面を此方に見えるように向けてみせてくれた画面には、確かに選択できる中に話していた薬はない。

 しかし、みせていいんですか、先生、これ。

 カルテが映し出された画面に入力されているのは、自分の診断状況画面だから、いいのか。―――いいのか?

 それはともかく。

すこしこまって見返していると、先生が!と気がついたようにうれしそうにいった。

「あ、申請してなかったんだ!」

 ――え?

うんうん、とにこやかに先生が実にうれしそうにおっしゃっている。

「申請してなかったから、処方できないよ!どうする?民間なら、出してもらえると思うから、いってみる?」

 あ、そうだ、―――。

 ここから近い皮膚科なら、○○○○○か、××××か、――――。

 連休明け。

 ようやく、交通事故で掛かった総合病院――公立のそこに辿り着き、これは帯状疱疹だろうと皮膚科を受診したのだが。

 そこでまさか、先生からそんな言葉をきくとは思ってもいなかった。

「…せ、先生、――――」

「別の薬でも、こう工夫すれば使えないことはないんだけど」

体質的に色々使えない薬が多い為に、それもあって総合病院の皮膚科に来たのだけれど。まさか、使える薬が登録されていないとはおもわなかった。

 ――というか、先生、――――。

 申請、しておいてください、…――――。

 申請わすれてたって、そんな。

 国公立の病院では、使えるお薬とかそういうものは、申請制になったりするものらしい。申請して予算を通って、――という手順がいるから。

 新しい薬で、その方がいいとわかっていても、すぐにつかえる状態になっているとは限らないということなのだろう。

 というか。

「わかりました」

先生には帯状疱疹との太鼓判をおしてもらい、民間――つまり、民間なら処方箋は自由に出せるというわけで――尤もそれで薬局にその薬があるかどうかという、すぐに手に入る状態であるかはまた別の処なのだが、―――先生自ら勧めて頂いたクリニック数軒から近い処を選んでいくことになった。

 ―――…先生、…。

腕は良い先生なのだ。と、他の科の先生からも聞いている。唯、なんというか、色々と、独特な処のある先生なのだ。

 多分、先生がついていて入院加療をする場合なら、細かなコントロール――状態をみながら、投薬量を調節するなど―――はできるのだろう。というか、それができるから面倒で申請していなかったのだろうか。

 前の薬でも使えるし、とか?

 まあ、新薬がいいものばかりではないので、…―――うん。

 だがしかし、体質的に色々とあって、先生が申請し忘れていた薬がこの場合はベストチョイスだった。

 ―――しかし、先生、…。できれば、登録しておいてください、…―――。

 思いながら辞去して、教えてもらったクリニックへといく。


 そして。

 事情を話すと。

「申請、されてなかったそうなんですよ」

「――――そうなんですか?」

それで、と納得されてしまう。普通、一日に二軒同じ用件で同じ科をハシゴしたりはしないものだが。しかも、先の先生が一応出してくださった処方箋までみせてるし。…

「なので、…―――はい。」

「それでですか、―――」

「はい、まさか、そういうことがあるとは思いませんでした」

確かに、先の病院で申請されてなくて使えなかった薬がベストチョイスであることを確かめ、さらに処方箋についても話し合う。

「…こちらで処方していただけるなら、これは別に使わなくてもいいそうです」

「そうですか。なら、抗ウイルス薬を出しますから、この軟膏は使わずに、別のものを出しますね、それから、―――」

 結論として。

 こちらの先生が改めて出してくださった処方箋をもって薬局へ行くことに。

 最初から、こちらにくればよかったのかもしれない、とおもいながら。

 何とか、加療に入ることができたのだった。――――


 いや、悪い先生ではないんです、先の病院の先生も。

 何度かお世話になったこともあるんですが。

 癖は強い先生ですが。

 

 でも先生、できれば申請しておいてほしかった、…―――。

 登録しておきましょうよ、先生?

 使える幅が広まりますから、―――とかおもいつつ。


 以前、ある先生から、いわれたことを思い出す。

 ―――あれなんだけど、腕は良い先生だから、と。悪気はないから、と。

 うん、先生に悪気はない。

 悪い先生ではないんだけどなあ、…―――と。

 しみじみしながら、家路につき。


 お昼を食べてから、はやく薬をのんでくださいね、と。

 いわれた通り、一度目の抗ウイルス薬を呑み、効くことを祈るのであった。

 本来、時間勝負の投薬だから、はやい方がいいのだ。

 72時間が効果の期待されるリミットである。


 そして、また安静とたたかう日々がしばらく続くことに。――――



 帯状疱疹は、以前感染していたウイルスが身体に潜伏して弱ったときに発症するわけですが。

 これって、野生のときだったら、発症後に体内潜伏していたウイルスが体表に出ることで、易感染性になって。

 つまりは、ヒトの体内に潜伏していたウイルスが、播種する――移動して、他に居場所を移す――この場合は、他の動物などに感染することを目的として、宿主が弱体化したときに離脱する為にこうした症状を引き起こしているのでは、とか。

 そして、多分、かたつむりのように操られているんだ、きっとニンゲン、とおもいつつ。

 帯状疱疹はヒト→ネコには感染しないことをまず確認して、安心してねむりについていたり。

 とりあえず、重症化せずに突然死することなく、ねこさまたちのお世話がきちんとできますようにと祈って。

 気になったときは勘を大事にした方がいいよ!と。

 ネコ様の容赦のないフライング・ボディアタックを受けたりとしながら、おもうのでありました。

 ―――しま王子、…帯状疱疹で痛い方の腕にフライング・ボディアタックはやめて、…。



 

 そうして、ぼけぼけと思うわけである。

 腕がうごくってありがたいな、…、と。


 72時間リミットの抗ウイルス薬は効いた。


 無理せず、痛みを堪えつつ痛み止めを飲む為に食事をして。

 その間もゾンビのようにねこ様達のお世話を行い。

 何とか生き延びて。


 帯状疱疹の痛みは、焼け付くようなというのが一番あっている。何というか、焼きごてに突き刺され続けている様な感じといおうか。

 抗ウイルス薬を呑んでいた一週間は、身動ぎするのも難しい痛みだった。

 消耗して、動く処ではない。

 物も考えにくい。ひたすら、寝て、食べて――薬を呑む為には食べないといけない――何とか生きている。熱も出続けていた。最高で三十八度越え。ウイルス、潜伏水疱瘡、そして発症した帯状疱疹恐るべしである。

 よろよろとしながら生き延びる。

 そう、生きてるし。

 ―――…でも生きてるし、…。

 入院する人もいるというが、理解できるつらさである。

 何とか発症した箇所の清潔を保ちつつ、ほとんどゾンビのような状態で生き延びる。

 一応、交通事故のリハビリも再開するが、負荷に耐えられないので温熱療法だけ。それも施術後は疲れて間隔をあける始末だった。もっとも、体表にウイルスがいなくなったというだけである。無理をしていい時間ではない。

 それから、痛み止めを頓服でいいといわれていたので飲んでいたが。

 ―――痛みが続いたらきてくださいねー。

皮膚科の医師にいわれていたのを思い出しながら。あきらめて、再度皮膚科にかかる。そこで、「痛みは我慢しない方が治りがいいですよ」と説得され、痛み止めをもらい我慢せずに呑むことにして、それから。

 リハビリで温熱療法――つまり、患部に赤外線をあてて、血流が良くなることで老廃物の排出等がうながされ、血流が増すことで治癒が進むことを期待する療法――を受けていいかをたずねたときだが。

「温めるのは、帯状疱疹にもいいですよ。熱いかもしれませんが、カイロとかを服の上からあてて、――」

リハビリで当ててもらうなら、腕にもあててもらうわけにはいきませんかね?と。いやそれは、交通事故の対象になる場所ではないので、―――といったら先生は残念そうな顔をしていたが。

 それはともかく。

 ともかくとして。

 痛みに関しては、二、三ヶ月は最低かかるという。個人差があり、もっと長引くこともあるということだ。

 ――――注意一秒、怪我一生。…

 注意はしても来るときは来る(いやだ、それ、…)

 いや、注意はしていたし青信号だったし、…。真っ昼間で青空だったんだけどね?

 何故、他にも複数人がいる横断歩道へ、車を前進させてきたのか。あまりスピードが出ていなかったのが救いだったけれど、何故そこで前進する、としみじみ聞きたいものではある。

 いや、他にも人はいたんだよ?晴天の視界良好で人通りの多い交差点だよ?

 何故進入してくる?

 そして、何故、立ち去るのか、…車よ、…。

 まあ、というわけで、どれだけ注意していても本当に過失ゼロでも事故に遭うときは遭うんだな、と。

 いくら注意しても仕方の無いことはあるものなのだなと。

 そして、それにしても車は凶器だな、と思う。

 車にしたら、殆ど接触したのかわからないくらいの速度で軽く当てたとしても、鉄の塊が鎧なんて着ていないニンゲンの身体に直接当たるわけで。

 怪我をしないわけがないのだった。

 それから、当てたかも?当たったかも?というときの義務。

 相手の車が背を見せて去って行くのを思わず見送ってしまったときには。

 ―――ええと、…?こういうときって、止まる義務なかったっけ?…?

確か相手に怪我がないか、救護義務とか、そのとき何もないとか大丈夫とかいわれたとしても、後から何かあってはいけないから何にしても警察に連絡してとか、そういう義務ってなかっただろうか、…?と。

 そうだと思ってたけど間違っていたろうか?と。

思わず思ってしまうくらいには。当然のように笑って会釈しながら手を振って去っていってしまった車、――――。

 いや、そのとき距離もあったし、そもそも大丈夫という処か会話なんて交わしてもいないのだが。

 足が既に痛かったので何もなければそのまま進む処を、何とか痛みを堪えてもといた歩道へと下がった処だったのだが。その場に留まって他の車にさらに轢かれるのがいやだったのだ。信号がかわるから。

 ――うん、大丈夫だったら、関係なく前に進んでいたと思う。

 と、それはおいて。

あまりにも当り前に救護義務とか何もかもすてて、そのまま笑顔で走り去っていってしまった車を思い返すと。

 本当にナンバーみててよかったな、…とおもう。

 四桁は大事です。

 そして、それでも今回相手が無保険車とかでなく、任意保険にも入った車でまだよかったと思う。

 それだけは本当に幸運だった。

 最悪、全部自費で自分が入っている車の保険で賄う処だったのだから。

 それはともかく。

 事故のときの痛みは、とんでもなかった。

 安静を仰せつかり、コルセットをはめて生活した。

 骨折――というか、ヒビが微妙に入りかけていたらしいのだが、―――その場所が微妙で、コルセットをはめて安静にして治るのを待つ。そして、痛み止めを飲むくらいしかできることはないとのことだった。

 対症療法しかないんですよね、というのは後で先生から聞いた話だが。

 後遺症が残っても嫌なので、必死で安静にして過ごし、さらに安静追加。

 一ヶ月がまずつぶれた。

 さらに、問題が残るのは右腕だと判明する。

 頸部に神経が通る箇所で一部が狭くなっており、衝撃に弱くなっていたらしい。

 そこへ、右手首への車からの打撃。

 後からみると外套が汚れていたので本当に接触はあったのだろう。

 頭が真っ白になって、その瞬間は憶えていないのだけれど。

 まだ寒さもある季節でクッション性のある外套――間に空気とかが入っている――を腕に抱えていたのは幸いだったのだろう。

 ともあれ右手がまともにつかえず、親指、人差し指、中指にしびれがあり、握力が落ちてものがまともにもてない状態が続いていた。

 時間経過とともに握力等が回復してくれたのはとてもありがたいことだとおもう。

 うん、腕が動かせるのってありがたい。…

 手が使えるってすごくありがたいことです。

 回復してくれてありがとう、身体さん。

 けれど、そうした小さくみえる衝撃でも人体にそうした影響を与えることを考えると車に乗って運転するというときには、とても気をつけなくてはいけないとおもう。 一見、何もないようにみえても、その場で痛くなくても後から痛みが感じられるようになるというのは本当に本当だったから。

 人類が過去、草原に生きていたときには危険に陥った際には痛みを感じずに逃げる、あるいは動きを止めて脅威――肉食獣など――が去るのを待つ。そうした頃から受け継がれてる仕組みが、交通事故の際にも発揮されるということなのだろう。

 実際に体験したいと思ったわけではないけれども。

 そして。

 何とか回復してきた身体にリハビリを開始することになり。

 そのリハビリが無茶だったのだろう。

 内容ではなく体力的にリハビリを開始するのがだが。

 リハビリをすると、疲労してしまうという人は多いらしい。

 まあ、慣れないことをするものでもあるし怪我とかで安静にして動かさずにいた箇所を動かすのだから負荷がかかるのは当然でもある。

 その疲れを、帯状疱疹に突かれたのだろう。

 事故や何か大きなストレス後に発症する、ということが帯状疱疹には多いとのことだが。

 真面目にその通りだった。

 左腕や首にピリピリと痛みがありつかれてとてもしんどい感じがしたため、リハビリをキャンセルして。

 そして、見事に発症した。

 今度は、左腕が利かなくなった。

 幸いなのはリハビリの成果か右腕の妙なしびれ等がなくなってきていたことだった。

 同時でないのは本当にありがたかった。

 右手も使えなかったら大変である。

 そして、同時に両手が普通に使えることがどれだけ得難いことなのかを感じる。

 物をもつ――例えば、水道から水を出してコップに水を汲むといっただけのことにさえ。

 右手で水道の栓をひねる。

 水が出るのを左手でコップを持ち受ける。

 それだけのことが、怪我をするとできなくなる。

 最初は右手がうまく動かなかったので、左で栓を捻り水が出てからコップを持ち水を受けて、コップを置いて水を留めるという動作をしていた。

 水が勿体ないがどうしようもない。

 次は、右が戻ってきたが左がダメになった。

 なので今度は逆だ。

 水道の栓は右側で操作しやすくできているのでそこはたすかる。

 栓を捻り水が出ると、次はコップを持ち水を受け――これを逆に右手だけでやるわけだ。

 ――やりにくいよね、うん。

右手が怪我してリハビリで治るまで、最初の頃は重さに耐えられないので水が入ったコップを持ち続けられないのだ。持つと重さにまけて手が垂れる。ある程度持つ形にはなれるのだからまだましだが。

 下手をするところん、とコップが落ちる。

 それが、今度は左手だった。

 いや、左手というか腕というか。腕から片方の胸全体といおうか?

 痛みは衣服がすれるだけでも痛いが。

 何か持とうとすると、ひきつれが続くようにして発疹が出たのと同じ箇所全体が痛むのだ。

 ふふ、という奴である。

 つまり、痛みのあまり笑っちゃうよ、というあれである。

 イタい、というのがいかに身体を精神を消耗するのかよくわかる。

 本当にひたすら、耐えて横たわっているしかできない。

 できないのだ。

 痛みは本当に消耗する。何もできない。

 人生でこれだけ痛み止めを飲んでいるのは初である。

 それでも痛みはあるし、何なら本当に切れてくる時間がわかる。痛み止めがきれてきたのがわかるのだ。これは依存症になるわけだ、とおもう。

 痛み止めがいかに危険なのかがわかるというものだ。

 効果の高い痛み止めを飲めない体質の自分ですらそうである。しかも、痛み止めの副作用――というか、薬である以上は絶対に身体に対してよくない影響は必ずある――をできるだけ避けたい、と考えている自分ですら呑んでしまうのだから。

 そして、消耗が激しく何も殆どできない時間がすぎていく。

 帯状疱疹の場合、痛みが激しいまま後遺症として残ることもあるという。

 実際にどこまで残るかはともかく、いま現在痛みの激しさが抗ウイルス薬でウイルス自体が表皮等からいなくなっても続いていることは確かだ。

 事故の怪我自体は治りつつある。

 ありがたいことに、生きている。

 足の痛みはとれてきて、自分で歩ける。

 何とかなりそうだ、との実感を得てきていた処にこの帯状疱疹。

 きつい、とおもう。

 それでもまあ、生きているし。

 右手が回復してきてから左手がダメになっているんだから、同時でないだけまだましだし。

 痛みは最盛期よりはましである。

 …――痛いけど。…

 リハビリもする。

 できるだけ無理をせずに焦らず養生しつつ、―――。

 疲れるのでリハビリも少しにしつつ。

 温めをしてもらい、――そして。


 もしかして、ネコ様にのってもらえば、温熱療法になるんじゃね?と。

 ふと思ったある夜のことであった。


 

 

 ミケさま、ありがとう、…。




 ミケさま温熱療法が実施されての感想である。

 本当に、感謝しかない。

 家にはネコ様が三匹おられる。

 皆、いわゆる保護猫である。

 ニンゲンが必死になって痛みに耐えながらも生きてこられたのは、このネコ様達のお世話をせねばならぬという、根底に根付いた気迫のようなものがあった為なのかもしれない。―――下僕生活というのは、交通事故に帯状疱疹が重なる不幸が起きようとも、けしてその程度で負けるものではないのである。

 …何かが大きく間違っている気がとてもするとはしても。

 そう、何はともあれ、ニンゲンにはお世話をしなくてはならない三匹の御ネコ様達がいた。

 三匹共に家に来た経緯は違うが。

 庭で怪我をしていたり、飼い主であったご高齢の方がコロナ下で戻って来なくなり家を失うなど。色々あって二匹がいた処に、昨年ボロボロで大声をあげる三毛猫を迷いに迷ったが保護したことで、家には三匹のネコ様達がいた。

 ちなみに、ボロボロの仔を保護したころは本格的な冬になる前で、保護してネコが鼻水垂らしているのを初めてみて慌てて病院に連れて行き、お薬をもらい温かい部屋に保護してよかったと、ほっとしたこともあったりしたのだが。

 それはともかく。

 下僕としてお世話をさせていただいているネコ達は三匹。

 そして、当然ながらネコ様達にも序列がある。

 一番エライのはミケさまである。

 昨年保護された新入りも三毛猫なので紛らわしいが、おそらく親戚だろうとおもわれる。

 ミケさまは、女王様だ。

 この辺り一帯を制覇していた女王様であり、周囲を圧倒する美猫である。

 色々な経緯があり、いまはこの家で一番偉い立場となっている。

 次に、しま王子。

 猫王子のかれは、ミケさまの息子である。

 気が良い。近所の小学生にでろーんと伸ばされてもちあげられても、抵抗せずにいてあげるくらいにはおとなしく気が良いにゃんこだ。

 ちなみに、ミケさまには絶対に負ける。

 最後に、新入りのボロボロだった三毛猫。

 多分、まだ子ネコだったろう新入りは片方の耳がカットされた桜猫だった。

 毛皮がぼろぼろで、ジャンプ力はあるのだが、まったくごはんをあげたり世話をする人がいない状態であったようだ。

 あまりのぼろぼろさ加減に、庭に現れたときに迷いながらも保護し、お世話をさせていただいた結果、いまは毛皮もつやつやで、ふくふくとした――もしかしたら、もうミケさまより大きくなっている――にゃんこと化している。

 ちなみに、まだ人がこわいのだが、ごはんをもっていくところん、と転がってまずなぜてもらおうとする。お気に入りは額とあごのしたをなぜてもらうことである。

 それはともかく。

 交通時の痛みや帯状疱疹の攻撃に耐えられたのは、これらのネコ様達のお世話をしなくてはならないという下僕としての義務感からであろう。

 本当に。

 というわけで、三匹のネコ様達のお世話をしているのだが。

 自分の動きがおぼつかなくとも、ネコ様達のお水を替え、常に新鮮な水を用意し、ごはんを一日二回新しくお出しして。お手洗いを綺麗に常に保ち掃除をしてネコ様が寒くないようにお世話する。

 たとえ、痛む腕の方にフライングボディアタックをかまされようと、一緒にねよー?と、甘えたのしま王子が痛めたコルセットの上に乗ってこようとも。

(しかし、考えてみればこれで温めてもらい、傷の回復にはよかったのかもしれない?)

 そして、激しい痛みのある帯状疱疹に襲撃されていようとも、頭が回らなくとも、ネコ様のご飯は差し上げねばならぬのである。何なら、カリカリだけでなくウェットも出さねばならないとか、色々ある。

 そうして、ふらふらになりながらもミケさま達のお世話を継続していたとき。

 ある日、朗報がもたらされたのであった。


 ミケさま温熱療法の奇跡である。―――


 先に先生が患部は温めた方がいいんですよ、と。何ならカイロとか貼ってといわれたことを書いた箇所は憶えておられるだろうか?

 リハビリでは直接そこに当ててもらうわけにはいかないため、ぼーっと、ネコ様にのっていただいたら温まっていいのでは、…――と、本当にぼーっと考えていたことを。

 かくして、奇跡は起きた。

「ミケさま、…――ありがとう、…―――」

 ぼけぼけという。

何と、ねている処にミケさまがやってこられて。

 しかも、上に乗ってこられたのである!

それも、帯状疱疹で痛みが残りこまっていた左腕の上にである。

(前にも書いたが、帯状疱疹は猫に感染しないため、そこは安心していいようだ)

ミケさまは、額やくびまわり、そして顎の下をかかれるのが大好きである。

何ならブラシも大変お好きである。家に世話になると決められた理由の一つにどうやらブラシがあるらしいくらいには、全身をブラシされるのが大好きでおられるのだ。それはともかく。

 左脇の下にすっぽりとおさまって、ふみふみをはじめられるミケさま。

 ―――あ、温かい、…―――!

 ぬくぬくである。

 さらに、もふもふである。

 ミケさまのお望みになられるままに、あごしたをかきかきさせていただき。

 耳のうしろ、額の上、と気持ちよさげに舌がぺろっと出ておしまいになっているミケさまのご満足なされるまで奉仕させていただく。

 さらに、そのままおやすみになられるミケさま。

 ―――温かい、…―――!これぞ温熱療法…!

 血流を増し、治癒を増幅する温熱療法。

 それを、配下のものである下僕に施してくださるとは、何と慈悲深い、…!


 そんなわけで、ミケさまの温熱療法施しにより、回復へと向かったのでした。

 うん、マジで有難いです。

 ミケさまがおやすみくださったら。

 翌朝、痛みがすこーし軽くなっているんだよー!

 ミケさま、有り難うございます。

 下僕も、ミケさまのお世話をきちんと出来るよう精進して参ります故、今後ともよろしくお願い申し上げます。


 何だかとっちらかっていますが、そんなこんなの近況でした。


 ミケさま、有り難うございます、―――――!!!



 そして、いま。

 徐々に痛みは引いてはきていて。

 なくなりはしないようですが。


 なんと!両手がつかえるようになっているんですよ、…!!!

 ミケさまのお陰です!

 こうして、ねこ様達のお陰で生きております。


 皆様のお陰です。

 本当に、皆様ありがとうございます。


 生きているって、すごいことだな、と。


 徐々に体力と相談しつつ。

 何より、両手が動くのがうれしくて。

 ブラインド・タッチができるんだよー!

 楽ですよ、楽!

 あんまり、無理しないようにやっていこうと思います。


 そんなこんなで、体験記として面白いとUPしたものに応援までいただいたり。

 本当に皆様、ありがとうございます。


 とんでもなく暑かったり、色々としておりますが。

 皆様も、無理なさらずにお身体大切に!

 そして、皆様。

 ご安全に!



 本当に皆様、ありがとうございます。




これで御礼になるかわかりませんが、

リアル異世界転生キャンセル3です。

大体この辺りで現在進行形でしょうか?


何はともあれ、皆様、本当にありがとうございます。

それでは皆様、ご安全に!

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― 新着の感想 ―
交通事故と辛いリハビリ、そして帯状疱疹のコンボ。本当に大変だったと思います。 ですが、猫様たちの愛の温熱療法で、お身体が回復しつつあるようで何よりでした。どうぞご自愛くださいませ。 私も帯状疱疹を経…
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