厄介なラーメン屋だぜ
周はラーメンブログを運営している。様々なラーメンを食べてきた。自分はラーメンに詳しいという自負もある。
やってきたに銀杏町の一角にあるラーメン屋だ。名前は小力という。古びた建物だ。木造で汚れてヨレヨレになった暖簾が目につく。
周はほくそ笑んだ。あたりの店だ。なぜなら長い間生き残っていた店だからだ。生き残ることが出来た理由があるはずた。
周はそう考えると自分の頭の中にあるデータベースを検索した。立地、銀杏町の文化から察するにあっさりとした魚介系のスープに加えて汁によく絡むストレート麺がこの店の主力に違いない。
周は店に入った。
「いらっしゃい」と店長がカウンターの向こうで出迎えた。
周は券売機の前に立った。周の予想通り券売機のボタンが一際大きいのは魚介系のラーメンだった。お金を入れてボタンを押し、券を買った。
周はカウンターについた。店主に券を渡す。店主は机にマグカップを置いた。
周はそれに驚いた。お冷は普通、透明なガラスかプラスチックのカップだろう?
店主は周の驚いた様子を見て目を細めた。周は店主の様子に気づく。
(こいつ、只者じゃない)
周はこのラーメン屋を脳内でよりランクの高い店に設定した。想像を超える店主の行動に周は身構えた。一体どんなラーメンが来るのだろう。
空腹が進み、腹が鳴る頃合に店主は周の目の前にラーメンを出した。
周はラーメンの外観を観察した。中々のものだと周は品評した。醤油のスープと黄色の中華麺を基調として菜と卵、メンマがアクセントとして盛り付けられている。
次に周は香りを嗅いだ。周は生唾を飲み込んだ。魚介の旨みの匂いが鼻腔いっぱいに広がった。
次にスープを飲んだ。塩の尖った味に魚介の出汁の深みが包み込んでいる。麺をすすった。やや固めであり、主張が強いが出しの深みを十二単衣も裸足でかけ出すような絡み具合だ。
周はラーメンを食べ切ると店主に礼を言って店を出た。
周は虚空を殴りつけた。素晴らしいラーメンだ。




