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ギャルもどきはいいことをしてくれる! ~エセ優等生があなたのために手間をかけてくれた当日の話!~

作者: 栗野庫舞

ハーパン好きな方へ。お待たせしました。本作品には、ハーパンチラがあります。

 窓から見える外の景色は、夕焼けとグラウンド。


 放課後、男子高校生のあなたは、同級生の女子と二人だけで教室にいた。


 あなたの前にいる女子は、地味でおとなしそうな生徒に見える。眼鏡をかけていて、長い黒髪は左右に分けて三つ編みにしていた。


 彼女の着る紺色のセーラー服は長袖で、襟に白い線が二本入る。同色のスカートは、膝丈(ひざたけ)。胸元のスカーフは赤だった。


 この女子は以前、自分のことをだらしないと言っていた。しかしながら、彼女の今の見た目に、だらしなさは微塵(みじん)も感じられない。


 だらしないんじゃなかったっけ? そうあなたは彼女に問いかけた。


「だらしないよ。でも、中学までは制服、普通に着てたんだよ。あっ、高校の最初の頃もか。なんか見た目固いから、着崩(きくず)してって言われてね。あいつに」


 あいつとは、彼女の友人の女子だ。


 少し前に話は(さかのぼ)る。


 たまたま彼女の友人女子に、この子は今はギャルっぽいのに、中学の頃はまじめそうだったんだよと、あなたは聞かされた。それで、あなたがどんなだったのかぜひ見てみたいと頼むと、彼女が承諾してくれたという次第。


 だが、単に中学時代の写真を見せてもらう……ということにはならなかったのである。


 週明けの今日、あなたが教室に着いたら、すごく驚いた。


 彼女は普段のギャルっぽい着崩した制服姿なのに、長い髪の色が薄い茶色から黒に変わっている。


 それに、彼女のカバンがいつもより大きいものになっていた。どうも、一着分の別の制服を中に入れて来たらしい。


「後で中学ん時のカッコ、生で見せてあ・げ・る」


 黒髪の彼女は、あなたが今まで目にしたこともなかった。髪の色が違うだけで、これほど印象が変わるのだろうか。全く見慣れないため、別人と接している気さえもした。


 そうして――、話は放課後につながる。


 彼女が着替え終えるまで、あなたは教室の外で待っていた。少し経って、彼女に呼ばれて教室に入った。――この時に見た彼女の雰囲気がまるで違っており、あなたは本当に彼女本人なのかと疑ってしまった。


 眼鏡と三つ編みの、おとなしそうな女子。


 驚きで混乱していたあなたでも、彼女の今の姿もかわいいと直感した。


「このメガネは伊達(だて)ね」


 度が入っていないレンズをはめたフレーム。それの横を右手で少し上にして、彼女は眼鏡の存在を強調する。


 次に彼女は両手を下げて、軽く広げた。ゆったりと上半身を左右に動かして、紺色のセーラー服をあなたに注目させる。その際、黒い二本の三つ編みが一緒に揺れた。


「制服は当時のだけど、私、目が悪くないからメガネはかけてなかったし、三つ編みにもしてなかったよ。これは、より真面目に見えるようにっていう演出。似合ってる?」


 彼女の問いにあなたは、うん、と素早く肯定する。


「それじゃあここからは、お楽しみタイム。これをやるために、わざわざ着替えたんだからぁ~」


 彼女はさっそくセーラー服の裾を持ち、めくり上げた。


「下は体操着。おへそは見えないぞ」


 白い体操着で隠されていたのをあなたに確認させた後、彼女はセーラー服から両手を放す。


「さらに下は、こんな感じだよ」


 今度の彼女は、長めのスカートの下のほうを持った。


 大胆に持ち上げた。


 あなたは理解した。


 彼女が穿()いていたのは、紺色のハーフパンツだった。ハーフパンツの両端には、白と緑の細いラインが入っている。


「どう? いつもの短パンじゃなくて、中学時代のハーパンは」


 聞かれてあなたは困ったけれど、こっちも好きだと答えた。


「これ、中学のだから、いつもの短パンより古いよ? つまりアンティークだよ?」


 アンティークと呼ぶならハーパンじゃなくてブルマじゃないだろうかと、あなたは語った。


「ブルマ見たいとか言っててキモいんですけどぉ~」


 そんなこと言ってないとあなたは反論する。キモいなんて、その言葉をとても使いそうにない容姿の女子が口にしている。これをギャップ萌えと言うのかと、あなたは思った。


「今はブルマじゃなくて、短パンでもなくて、ハーパンを堪能(たんのう)したら?」


 とのお言葉を受けたあなたは、見ていられるだけずっと、ハーフパンツを眺めた。彼女に恥ずかしがる様子はない。


 彼女の体操着の裾がハーフパンツの内側に入れられていたこともあって、ハーフパンツが見える面積は大変広かった。


「今の私にはもう、ギャル要素はないっしょ?」


 心も広いらしい彼女に聞かれ、見た目だけなら……と、あなたは答えた。性格は、当然ながら変化を感じられそうにない。


「……そろそろ、終わりにするね」


 長かったスカートのたくし上げが幕を下ろした。


「じゃ、いつもの制服に着替えるから」


 彼女は早くもセーラー服のスカーフを外そうとしていたので、あなたは慌てて教室から出ようとした。


「いいよ、ここにいて。下に体操着、着てるから、見られてもへーきだよ」


 セーラー服の裾を片手でたくし上げて彼女は言うと、本当にあなたを気にすることなく、セーラー服やスカートを脱いだ。その度にあなたの感性は高まった。


 完全な体操着姿になったら、次は本来の制服を着始める。


 ブラウスは一番上のボタンまで留めた。


 赤いリボンもきっちりと襟元につける。垂れ下げたりはしない。


 最後にベージュのカーディガンを着た。伊達(だて)眼鏡も三つ編みも、そのままにするらしい。


「どう? いつもと違うでしょ~」


 制服を着崩さずに着た彼女は、やはり以前と別人に見えた。


 唯一だらしないと思えたのは、着用したままのハーフパンツがミニスカートから大幅にはみ出ているところだった。


「スカート短いから、めくらなくてもハーパン見えるんだよねー」


 彼女もそこについて言及(げんきゅう)した。


「ふふっ」


 いやらしい顔を彼女に向けられたので、あなたはすぐに顔を()らした。


 この後、あなたは彼女といつもの喫茶店へと行くことになった。彼女とは時折、そのお店で一緒に過ごしている。初めて二人で行った際、あなたが彼女のお気に入りのメニューを()めたことで、好感度が上がったのだ。


 教室を出て、あなたは彼女と並んで廊下を歩く。普段よりも彼女を意識してしまう。


 彼女はコーヒーと同じ薄い茶髪にしていると、あなたは以前、本人から聞いたことがある。その髪色をやめさせたことを気にしていると、あなたは済まなげに話した。


「そんなの気にしないでよ。髪の毛は飲めないんだよ? まー、ブラックコーヒーっぽいか」


 彼女は三つ編みの片方を左手で持って、前方に出して回転させる。


「黒いホースからコーヒーが出ますよー。飲むー?」


 わざとらしく彼女が言い、あなたは飲むと冗談で答えた。


「バカじゃねーの」


 素敵な笑顔を目にした。


 校舎を出てからは、彼女があなたの右腕にくっついてくる。まだ高校の敷地内なので、残っていた他の生徒の視線が気になってしまった。


「だいじょーぶ。今の私はいつもと全然違うから誰にも分からないよ。君以外は」


 三つ編み眼鏡に変装中の彼女に小声で言われた。


 あなたは喫茶店にたどり着くまでの間、腕の自由が与えらることはなかった。ずっとあった緊張が、ただただ好ましかった。


 喫茶店内の先払いのレジでは、今日は手間をかけたので、自分が払うとあなたが申し出た。


「いつも通り、自分の分は自分で、だよ」


 それでは悪いとあなたは引き下がらない。


「いいことしてあげて、しかも、お金も節約させてあげる私って、超サービス精神旺盛じゃん」


 三つ編み少女は満面の笑みを見せてくれた。


 あなたは結局、彼女の主張に折れた。今日、あなたは得をし続けている。


 店内では、美味しい味を楽しめるだけではないことも分かった。


 彼女はハーフパンツのお尻で椅子に座っている。あなたの視線に気づくと、彼女はミニスカートの裾を少しつまんだ。


「ハーパン見えたままだけどさ、ちょっとめくるだけで、かなりそそるでしょ?」


 あなたは心の中で、全肯定する。それに、彼女のハーフパンツを見ると、教室でのたくし上げも思い出す。興奮が全然()めない。


「今から言うの、どっちがいいか選んで。気持ちわりぃ目でハーパン見んなよって、言ってほしい? それとも、あわわぁ~、はぁふぱんつを見ないで下さ~いって言ってほしい?」


 彼女の二択に対してあなたが答えると、それはそれは素晴らしい声で彼女は言ってくれた。


 未だに、彼女からの好感度は高止まりのままらしい……と言うよりも、逆にあなたの彼女への好感度が、高いのかもしれない。


                    (終わり)

めっちゃいい子との()れ合いでした。タイトルのエセは、漢字で似非(えせ)と書きます。


最後までお読み頂き、ありがとうございます。


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