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第125話 歴史の超克者達(進化?進化なのこれ?)

「どうやら私達も進化したみたいだ」


 何と、お婆ちゃん達に続いてお爺ちゃん達までダンジョンで進化して帰って来た。


「リドターンさん達も進化出来たんですね!」


「ええ、この年まで進化出来なかった事を考えると、やはりスキル同様レベルの影響が大きいのかもしれません」


 と、ストットさんがウッキウキで言葉を返す。

 スキルと進化がレベルに影響してるかぁ。確かにあり得るかも。

 ゲームとかでもクラスチェンジとかで職業を変える時には能力値とレベルが条件になる事があるもんね。


「それでどんな進化をしたんですか?」


 リドターンさん達はガチファンタジーな世界エーフェアースの住人だしルドラアースよりもファンタジー感強い種族に進化してそう。


「私は『ナイト』に進化した」


「え?」


「俺は『スカウト』だ」


「私は『プリースト』ですね」


『儂は『ソーサラー』じゃ』


「え? え?」


 ちょっと待って、進化したんだよね?


「何で職業になってるんですか!?」


「「「「さぁ」」」」


「さぁって、自分達が進化したんじゃないですか!?」


「そう言われてもな、我々も進化なんて初めての事だからな」


「他に進化した奴の話なんて聞いた事もないしな」


「状況から察するに我々がこの世界で初めて進化した者なのではないかと」


「というか、進化について一番詳しいのは間違いなくお主とそこの妖精だと思うぞ」


 私達が!?


「リューリは何か知ってるの!?」


「ん? 進化? 魂に力が満ちると存在が昇格するって精霊王様から聞いたことあるわよ」


「じゃあリドターンさん達の進化が職業なのは何で?」


「さぁ、この世界の人間はそうやって進化するんじゃないの?」


 んんー? つまりエーフェアースの人達はジョブチェンジで進化するって事?


「でも私はこの世界で進化したけど妖精になったよ?」


「姫様は特別だからじゃないの?」


 そうなのかなぁ。でも職業と種族は違い過ぎるでしょ。

 って言うか私は前世の記憶はあるけど別に特別な存在じゃ……いや神様から直々に使命を賜っていたわ。


「それでも私だけ進化の仕方が違うのは何でなんだろ?」


 私の肉体は神様が作ったものだから、どっちかの世界で生まれた訳じゃない。

仮に両方の世界の進化が出来たとして、それなら最初の進化はエーフェアースのルールに沿った進化をする筈だ。


「んー、ゲームなら特別な条件を満たしたからとか?」


ゲームで上位の職業に就くとき、特別なアイテムや条件を満たすとレアな職業に就くことが出来る。それにモンスターとかを育てるゲームでも通常の進化ツリーから外れたレア進化をする作品もあった筈。


「ってことは私が妖精に進化した理由は……」


 ちらりとリューリを見る。

 やっぱりこの子に関わったからなのかなぁ?


「って事はリドターンさん達もリューリみたいな妖精と関わったら妖精に進化するのかも」


「勘弁してくれ」


「この年で背中から羽が生えるとか晒し者にするつもりか」


「私の事そういう目で見てたんですか!?」


 衝撃の真実っ!!


「いえいえ、私達年寄りが可愛い格好をするのはどうかという話ですよ」


「そういうのが似合うのは子供のうちくらいじゃからな」


「立派なレディです!!」


 誰が子供か失敬な! あっ! 鼻で笑ったなキュルトさん!


「まぁまぁ、それよりもリドターンさん達の新しい力について聞いてみましょう」


 と、ヒートアップする私をタカムラさん達が窘める。

 むぅ、仕方ない。ここはお婆ちゃん達に免じて引いてやるとするか。それはそれとして鼻で笑ったキュルトさんは許さん。


「我々が進化で得た力は『ジョブ』というものだ。ナイトの私なら剣や槍を使った戦いへの威力の上昇、扱いの補正、金属鎧の防御力の上昇といった騎士としての能力が向上するものだな」


「俺達も同じようなもんだ。あとはジョブ固有のスキルが使えるようになった」


「固有スキル?」


「俺の場合『索敵』のスキルだな。気配察知の効果を上昇させ、ゴーレムのような無機物系の魔物を探知する事が出来るようになった」


「え? 気配察知で探知できない魔物がいるんですか?」


「ああ、ゴーレムとかの魔物は生き物じゃないからな。そういう奴は気配がないんだ」


成る程、ゴーレムってロボットみたいなものだもんね。


「でもそれなら気配以外を察知するスキルとかありそうですよね」


「あるぞ、探知系のスキルだな。ただ生き物の気配を察知するより習得難易度は高い」


「それだと進化出来れば探知は要らなくなりません?」


「いや、索敵スキルは既存のスキルの効果を上昇させるものだから前提条件のスキルを持っていないと効果を発揮しない。あと探知は本来隠された物を探す為のスキルで、たまたまダンジョンの構造物に擬態していたゴーレムに気付いた事で気配察知にかからない魔物を見つける事が出来ると分かったんだ」


 あー、冒険ものの映画でよくある神殿の彫像が動き出すみたいなやつかー。


『メッセージが届きました』


 と、その時だった。突然目の前にメールの着信画面が現れる。

このタイミングにもしやと思ってメールを開く。


『お友達の進化おめでとうアユミちゃん! 遂に二つの世界の人間達が進化したわね!』


 やっぱり、進化に関する話題だった。


『本当なら二つの世界の進化は人間達の基礎能力が世界に馴染んでから新生児から進化する予定だったのだけれど、アユミちゃんのお陰で多くの経験を得た者から進化する事が出来るわ。ありがとうお陰で私達の懸念が一つ払拭できたわ』


 懸念? 人間が進化する事に何か不安があったんだろうか?


『説明しておくとね、赤ん坊を最初に進化させた場合、その子供達が異分子として差別される心配があったの。人間って自分達に似ていない子供が生まれると途端に不安になるでしょう?』


 いや、それは違う意味なんじゃないかな……


『だから既に社会にある程度認知された者達が進化する事で、進化はこれから先誰にでも起きる事と受け入れさせやすくなったのよ。人間って自分の立場を護る為なら凄く口が上手くなるしね』


 ねぇ女神様、もしかして人間ディスってる?

 ともあれ、確かに経験も知恵もない小さな子供達よりは、大人が進化した方が自分達が納得できる理由をでっち上げるのが上手いのは事実だろう。


『という訳でこれで世界が、いえ人間達が新しいステージに上がりました。彼等の魂の影響を受け、こちらの世界も一気に動き出すでしょう。その分大変かもしれませんが』


「いやさらっと不穏な言葉残さないで!」


「ど、どうした急に黙り込んだと思ったら叫んで!?」


「あ、いや何でもないです」


 いけないいけない。女神様のメッセージが見えない皆からしたら思いっきり不審者ムーブになってたよ。

 ともあれ、今後この世界でもルドラアースのように進化する人達が現れるようだ。


「そうなればダンジョンの攻略も飛躍的に進みそうだね」


「ああ、そうだな。速くこの力を使いこなせるようにならないとな」


「ええと、それだと私達はますますおいていかれる事になるんですが……」


 やる気に満ちていたお爺ちゃんと対照的に、フレイさん達はガックリ肩を落としてしまったのだった。

 まぁ、くじけずに頑張ってね。

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