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69.手作りお菓子と女子力

多忙につき不定期更新になりました。そのうち季節が作中に追いつくかも……。

なんか、バレンタインにチョコを作ることになった。

……いやまぁ、お袋に乗せられた部分も大きいとは言え、俺が決めたことだ。別に誰かに知らせることでもないし、こっそり作ってこっそり真白に渡して、真白だけをびっくりさせてやればいい。うん。ちょっとしたサプライズだ。


とはいえ、最近料理に挑み始めたばかりの俺に、お菓子作りの経験などない。なんか簡単なレシピを探してやってみようとしたわけだが、あまりに「簡単」の幅が広くて困惑している。

小学生の女の子が作るような、溶かして型に入れて、やたらとデコレーションを振りかけたチョコレートから、どう考えても簡単じゃねぇだろっていう、トリュフとかガトーショコラのレシピまでひっかかる。

何これ。俺のレベルだとどこが正解なの?全然わからん。

夕飯を済ませてリビングでチョコレートのレシピを検索していた俺の呟きに、お袋が反応した。


「あら、名前は難しそうだけど、作業工程は簡単よ。特別な材料もないし、これくらいならできると思うけど」

「マジで……?」


俺の料理の腕前をよく知るお袋が言うならそうなんだろうけど……いやほんとに、ガトーショコラって、できんの?俺に?


「オーブン使うのに抵抗があるなら生チョコもいいけど、案外こっちのほうが気を使うところが多いかもしれないわよ?」

「そ、そうなの?」


いや全然わからん。生チョコがどうやったらできるのかもわからんのでどうしようもない。もうここは全力で乗っかるしかない。


「……じゃあ、ガトーショコラで」

「いいわね。製菓用のチョコレートと、バターは買い足しておいたほうがいいかしら。明日には準備しておくから……ああ、ラッピングの資材もいるわね。あなた、ラッピングのことなんて考えてなかったでしょ」


はい。

……いやもう、はいとしか言えない。

作ればいいやな気分だったけど、んなわけないよな。真白だってちゃんと小洒落た紙袋に入れてくれてるし。

そっかー、バレンタインに手作りチョコ渡すって、結構大変なんだな。デパートのイベント会場とかも人すごいもんな。百均行ってもラッピングとか、チョコ作る容器?みたいなの、色々売ってるもんな。


そして翌日。配信を終えて帰宅したのはいつもどおり、そこそこ遅い時間だ。とはいえ飯は真白んちで食ってきたし、宿題らしい宿題もないし、風呂入って寝るまでには時間がある。

お袋が用意してくれた材料を並べ、動画用に用意したエプロンを付ける。

……カメラ無しで料理すんの、ほんとにほぼ初めてだから緊張するな。


「道具は揃ってるから、片付けだけちゃんとやってね。あぁ、お手伝いが必要ならいつでも声かけて」

「うん。頼みます」


お袋はリビングでドラマを観たりネットショッピングをしたりの寛ぎ時間だ。いつでも手伝ってもらえるというのは心強い。


「よし。やるか」


レシピをよく読んで、調理に取り掛かる。

チョコレート……の前に、オーブンを温める。予熱ってそういうことだよな?電子オーブンレンジのオーブンモード、初めて使うけどこれであってるのか……?

……うん、大丈夫そうだな。

それからえーっと、チョコを砕いて湯煎……湯煎。あ、お湯いるんだな。じゃあ先にお湯沸かして……バターを計っておかないとだめか。えーと、スケールはこのへんに……あれ……?


「……ごめん。スケールどこ?」

「え?引き出しの上の段にない?」

「どこの引き出し……あ、こっちか!」


よしよし。んじゃ次はバターを計って、チョコを砕いてと。お湯が沸いたら湯煎してバターとチョコ混ぜて。次は……卵と砂糖か。


「あっヤベ」


卵の殻がボウルに入ってしまった。慌ててつまみ出して、なかったことにする。えーと、砂糖を計って入れるだろ、んで泡だて器で混ぜると……。

……えっ、これめっちゃ大変じゃね?勢いつけすぎるとボウルから飛び出そうなんだけど?後なんかコレ、コツがありそうな……手首?手首で回す感じ?

これでいいんかな。なんとなくいい感じに混ざった気がするんだけど。……うん、まぁ、良いことにしておこう。

チョコと生クリームを混ぜて、それから小麦粉とココアパウダーをふるって……ふるって?ふるいってなんかあの、ザルみたいなやつでやれってこと?


「ヘルプお願いします!」

「はいはい。どうしたの?」


お袋に助けてもらい、無事粉をふるって入れられた。

なんだよこれもー、材料一度に混ぜちゃだめなのかよ。


「だめなのよ。手順を守らないとお菓子は成功しないの」

「そーですか……」

「恋愛も同じよ。誠実に、踏むべきステップを踏まないと、どこかで破綻するから」

「……そーですか……」


俺と真白のこと言ってるんだとは思うけど、別に俺は順番間違ったりはしてないつもり……いや、余計な回り道はしてる気がするけど……とにかく、ここでお袋と話し込んでいる場合ではない。

型にクッキングシートを敷いて生地を入れるって、簡単に言ってくれてるけどシート敷くの難しいぞ?これぐちゃぐちゃだと仕上がりもぐちゃぐちゃになるやつだろ?綺麗にってどうやるんだよ。こういうの真白は得意なんだよなぁ。

なんとかシートを型にはめて、生地を流し込む。どろどろだからなんか、うまく入らないしボウルに残っちゃうな。なんかヘラみたいなのあったよな?

キッチンを漁って目的のヘラを見つけ、生地をしっかり移してからオーブンに入れる。ここから35分か……長いな。

とりあえずリビングに移動して焼き上がりを待つか。


「今のうちに片付けしちゃいなさい。出来上がってからじゃ遅くなるわよ」


ソファに腰を下ろそうとして、お袋に止められた。それもそうか。キッチンの主の言葉を受けて、使った道具を片付けたり洗ったり……これ結構大変だな。チョコレート落ちにくいし、泡立て器とか細かいし。ボウルもいくつも使ったし、洗うのめちゃくちゃめんどくさい。


「……大変なんだな」


うん。お袋は簡単だと言ったし、一応ここまでは形になってるけど、それにしたってめんどくさい工程が多すぎる。料理だって調味料は測るけど、材料ぜんぶ測るわけじゃないし、順番とか混ぜ方とか、一見意味なさそうな手順が多い。あと使う器具も多い。なので片付けるのもめんどくさい。

お菓子作りは女子力高いとか言うけど、女子力ってこういうことなの?面倒くさいこともちゃんもできるって、それ女子というより人として立派じゃないか?


そんな事を考えながら片付けを終え、それでも余った時間はスマホを眺めて過ごす。次のソロ動画の準備しなくちゃな。ストーブリーグネタの配信とかやりたいな。友達にサクラ頼んだら賑やかになるかな。


そしてとうとう、ガトーショコラが焼き上がった。

焼いてる途中からすげー甘い匂いしてたけど、オーブン開けたらさらに来た。

膨らんで、ケーキっぽい形になっている。


「せ、成功、か?」


え、ちょっとまって。これ形状的に味見とか出来ないよな?成功したかどうかってどこで見分けんの?


「よく出来てるわね。はい」


仕上がりを見に来たお袋が、竹串を渡してくる。


「真ん中まで刺して、生地がくっついてこなければ成功よ」

「……穴開けちゃうってこと?」

「仕上げに粉砂糖かけるから大丈夫よ。気になるなら横からにする?」


いやまぁ、大丈夫ならいいんだけど。

結果、竹串には何もくっついてこなかったので、焼き上がったということだ。

それから粉砂糖をかけて……。


「少し冷ましてからラッピングしないと中に水滴が出来ちゃうから、しばらくおいておきなさい」


あ、はい。

……あっ、粉砂糖とか竹串とかやったから、もっかい片付けなきゃだめじゃん?終わってなかった!


結論。手作りのお菓子貰ったらもっと感動するべき。あの手間を数分で平らげて「サンキュー」じゃ足りない。全然足りない。

……今までも、真白はくれてたんだよな。おまけとはいえ。うん。今年は、ちゃんと感謝しよう。

…………今年に限ってもらえないとか、ないよな?

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