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58.いつもどおり、ではダメらしい

12月になってしまった。

なんかちょっと、緊張してきた。


クリスマス当日の配信もあるんだけど、その前の、デート。デートだよデート。マジで?真白と?


いや、真白だからどうこうっていう……のも、あるか。

なんかこう、鉄板とか王道とか言われるようなプランとかプレゼントが、全然ハマんない気がするんだよな。

デート初心者にこれは非常に厳しい。


じゃあ真白と楽しく出かけるだけとなると、今度はバッティングセンターとかゲームセンターとか野球観戦……は時期的にないけど、なんかすごくクリスマスっぽくない感じになってしまう。ていうかデートじゃねえなこれ。


そんなわけで、悩んで悩んで、期末テストの勉強より頭を使って色々考えていたわけだが、教室の片隅で昼飯を食っているときに真白がこのへんをすっきり解決してしまった。


「当日飯食うとこだけ決めといて良い?」

「え」

「今からでも遅いくらいなんだけど、いちおう空いてるとこ見つけたから。あと飯まではいつもどおりでいいよな?あぁ、せっかくだからイルミネーションくらいは眺めたいけど」

「え、あぁ、うん」


手回しが良い。ていうかお任せしてしまって良いんだろうかこういうの。なんか男がやるべきことなんじゃないか?また俺頼りない感じになってる?


「……別に、男がやっても女がやってもどっちでもいーじゃん」


俺の何か言いたげな様子にそう返す真白は、なんだか困った顔をしている。いやいや、困ることないぞ?ありがたいんだけどさ?


「いや、俺があんまりにも何も出来てないから、カッコ悪いなと……」

「そりゃ俺のほうがかっこいいから仕方ないな」

「ええ〜」


なんだそれ。いちおう女子としてデートすんのにそれでいいのか。


「俺にふつーの女子の言動を期待するな」

「期待はしてないけど……いや、まぁ、真白らしくていいか」


話しながら、俺は微妙な違和感を覚えていた。

何だろう?真白のリアクション?そんなに変じゃないよな。周りがちょっと静かになった?まぁたまにそんなこともある。直ぐに元に戻ったし。

違和感の正体はわからぬまま、昼飯を終えて真白が教室を去ると、すぐに友達に詰め寄られた。


「何あれ!?まさかデート!?クリスマスに!?とうとう!?」

「え、あ、いや」

「なんだよいつの間に!?ていうかほんとにあれでいいの!?」


違和感の正体はこれだった。真白が人前でデートを匂わせる発言をしたこと。そんなん周りがざわつくのは当たり前だし、真白がそのへん気付かないわけがない。けっこう周りの反応に敏感な奴だからな。

……わざと、デートするって周りに聞こえるようにした?

その意図がわからないまま、俺は友人に答える。


「いや、付き合ってるわけじゃなくて……ていうか、あれでいいって、どういう意味?」


真白でいいのか、って意味なんだとしたら、失礼だなと怒るところだけど。


「だってお前、あれじゃ向こうが彼氏じゃん!」

「あ、やっぱり?」


だよなぁ、かっこつかないよなぁ。


「お前ほんと顔だけだよな」

「顔だけ言うな」

「いやごめん嘘だわ。俺にはないもん持ちすぎてて妬ましいわ。運動神経分けてくれ」

「わけられるもんならな」


そんな話をしている間も、気が付けばこちらの会話に耳をそばだてている人間が少なくない。まぁ……四六時中一緒にいる俺等がクリスマスにデートとなれば、気にもなるだろう。


「ていうか何なの付き合ってないのにクリスマスに飯食うとか。デートじゃないの?」

「デート……いや、うーん……デート、的なものだと、思うんだけど」


煮えきらない返事で悪いけど、恋人としてのお試しデート、ってあたりは、ちょっと話しにくい。付き合ってるなら隠すことでもない気もするんだけど、この微妙な状況を他人に説明するのは、なんかな。


「あっちはデートのつもりなの?」

「……まぁ、多分」


多分どころかそのつもりで提案してきたのは真白の方だけどな。


「へー、そっかそっか。じゃあなんか気合い入れてくんのかな。女のカッコしてきたら後で写真見せてよ」

「え……」


なんかそれは、嫌だ。

声にはしなかったが、顔に出ていたらしい。


「あれ、だめ?独占欲的なやつ?」

「いや、あの、独占とかそーゆーのじゃ……あ、ほら、いちおう、活動に影響したらアレだし」

「あー、まぁな、それはあるか」


とっさにアイドル活動を理由にあげたけど、どう考えても独占欲だ。俺とのデートのために女のカッコしてきた真白を、他の男に見せたくないと思ったんだから。

うわー、彼氏でもないのになんなの俺。我ながらちょっとどうかと思う。


……でも。俺のためにというか、俺とのデートのために真白が色々気を回してくれてるのは、嬉しいし。それを他の奴の興味本位で曝すのは何か、嫌だ。


……いや、真白のことだし、男装はしないけどだからってそんなに気合い入れては来ないかもしんないけどな?どこがいつもと違うの?みたいな感じになる可能性もあるからな。

むしろその方が俺としては助かるっていうか緊張しないで済むっていうか。

あー、そういや、俺の服どうしよう。いつもどおりってわけにはいかないのか……?いつもどおりでいっちゃいたいけど、それやるとお袋になんか言われそうだし……うーん……。


「何悩んでんの?」

「いや……クリスマスデートって、男も普段着じゃだめかなと」

「駄目だろ」

「だめかぁ」


肩を落とした俺に、友達はいや、と前置きして続ける。


「真白だろ?文句は言わなそうだけどさ、颯真がそれでいいの?って話だよな」

「俺?」


俺としては普段着で行きたい感じなんだけど?


「カッコつけたいとかいいとこ見せたいとか、ないわけ?」

「あー……そういう……」


なかったな。ぜんっぜん頭になかったな。

いやでも待てよ、真白がバッチリ決めてきたら、俺だけ普段着ってヤバくないか?なんか傍からみても、俺のほうがやる気ないっていうか、ちゃんと真白のこと相手してない感じにならないか?

それはダメだな。


「……ちょっと、考えてみる」

「おー。しっかしそうかぁ。そうなるのかぁ」


そうなるってどうなるんだよ。別に付き合ってるわけじゃないからな?

その可能性はあるけど……うん、まぁ、なるかも、しれないけど。


チャイムが教室のざわめきを振り払って、俺は一つため息を付いた。

しっかし、なんで真白はわざわざ人前であんな話したんだろうな。全然意味がわからん。


でもまぁ、お陰で友達に突っ込まれて、俺も覚悟が決まった。


真白を軽く見てるわけじゃないんだから、ちゃんとしよう。

もし真白がいつもの感じで来たら、俺だけ気合い入ってる感じになっちゃうけど、それはしょうがない。

なんなら真白が俺のこと見直すくらい、バッチリ決めてやる。俺のほうがかっこいいとか言えないようにしてやろう。

そう思ったら、ちょっと楽しくなってきた。




……しっかし、プレゼントどーするよ……。

ちょうど半年後の話を書いている都合上、ファッションの参考が見つけにくくて困っております(笑)バッチリ決めてこい!

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