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41.イベントに向けて、準備

閲覧、いいね、評価、お気に入り登録、ありがとうございます!

予約投稿失敗しておりました!申し訳ありません。ギリギリな日々でもエタらず投稿できるのは読者の皆さんのおかげです。完結まで、いや、お楽しみの番外編まで頑張ります!

告白に関しては保留だけど、お互い前向きに考えていこう、みたいな感じで話がまとまって、さてそれじゃあ次は、ってね、実は考える間もなく目の前にやってきてるんだよ。でかいイベントが。


「イベントで販売するものはこれで大体揃ったわね。今後も販売するものは多めに発注してあるから」

「こ、こんなに売れますかね……?」


いわゆる長机に載せられたアイテムの種類の多さに、俺はビビっていた。いやその、たしかに配信で投げ銭してもらったりしてるけど、こんな現金が飛び交うなんてちょっと想像つかない。

俺達のユニット名がデザインされただけのアクキーとか、そんな何百円も出してくれるのか?

イラスト付いてるやつはイラスト分価値があるとは思うけど、こんなに種類いる?

あとサイン入りのクリアファイル、値段ぼったくりすぎねぇ?

納得できそうなの、Tシャツくらいなんだけど。


ほかにもチェキとか握手とか、そんなんでお金もらっていいんだろうかと今更ながら不安になってくる。


「グッズ販売ってイベント開場前だけですか?」

「メインはその時間帯だけど、イベントの後もやるわよ。テンション上がったらお財布の紐も緩むかもね」

「おお。責任重大」


真白と黒沢さんの会話にますますプレッシャーを感じる。これさ、在庫だらけになったら事務所が損するってことだよな……。でも無理してファンの皆に買わせるのも……。


「そんな難しい顔すんなって。黒沢さんの計算を信じろ」


ポンと真白に肩を叩かれて、はっとする。確かにな、黒沢さんが無謀なことをするとは思えない。


「あら。なんか責任重大?」


期待を込めた眼差しを受けても、黒沢さんの笑みは穏やかだ。


「タレントさんはこっちの心配はしなくていいのよ。まかせておいて」

「おまかせします」

「お願いします!」


真白と俺の返事を聞いて頷くと、頼りになる黒沢さんの笑みが消えた。


「さて。それじゃアンチ対応について確認しましょうか」


そう。真白に対するアンチの対応をどうするのか。その話し合いだ。俺も真白も、自然と背筋が伸びる。

打ち合わせ用のテーブルについて、黒沢さんがまとめてくれた書類に目を通す。


「あなた達は普通のアイドルとはちょっと毛色が違うからね。真白君に対するアンチはこう……」

「要は颯真のリアコですよね」


うっ。なんか、こう、俺のせいじゃないけどなんか胸が痛い。くそっ。応援してくれる人は大事にしたいけど、相方を傷付けられるのは許せないぞ。


「まぁそうなるわね。でもこの場合、誰のファンかは考えなくていいわ。うちのタレントを傷つければその時点で敵。内心でどう思っていようが傷つけなければお客様よ」


黒沢さんめっちゃ言うじゃん。ここまで辛辣な黒沢さんみたことないぜ。


「でも実際、颯真のリアコってことは重要だと思うんですよ」


おっと。どうした真白。

なんか深刻な話かと思って顔を見たら、悪そうな笑みを浮かべてるんだが?


「リアコってのは本人に認知してほしいし好意を持ってほしいわけですよね?」

「まぁそうなるわね」

「じゃあ颯真の目に入るとこで俺に喧嘩売ったらどうなるか、わかってれば下手に手出しはしてきませんよね?」

「なるほど?」


俺の半分納得、半分懐疑的な返答に、黒沢さんが苦笑する。


「そうあってほしいわね。でも、何かをしでかす人っていうのは冷静じゃないから」

「そっかぁ……そんな簡単じゃないんですね」

「もちろん二人一緒にいれば手出ししにくいとは思うけど、現に颯真くんが目にするSNSでつっかかってくる人もいるわけだし」

「あー……確かに」


声が出たのは俺だった。確かにな、目にしたことがあるし、その相手のことはこう……言っちゃなんだが俺にとっても敵になってしまった。俺の方には書き込んでこないから、アカウントは使い分けてるんだろうけど。


「じゃあ基本的な対策は颯真と離れないようにする、ですか?」

「そうね。どうしても離れる時はスタッフと一緒に行動するように。それと、アンチコメントしたアカウントの持ち主……というか、表のアカウントの特定もすすめてるから」

「え、そんなんできるんですか?」


俺の問いに、黒沢さんが頷く。


「颯真くんの熱心なファンのうち、真白くんに好意的でないアカウントを割り出して、真白くんへの攻撃的な書き込みの主と突き合わせる……っていう作業を」


それめちゃくちゃ時間かかるやつじゃん?黒沢さん寝てないんじゃ?と思ったが、それは杞憂だった。


「最近入ったバイトくんがね、そういうの得意みたいで。Alice blue だけじゃなく、他のグループのファンのことも色々調べてもらってるの。問題を起こしそうなアカウントの特定だけでもありがたいんだけど、他の情報まで拾ってきてくれるんで助かってるの」


へー。そんな人材いたんだ。世の中には色んなことが得意な人がいるもんだな。


「そっちの精度が上がれば、当日警戒する相手も特定できるかもしれないけど……まだどうなるかわからないからね。ファンの反感を買わない程度に手荷物検査とか、スタッフの目を増やすしかないわね」


……なんか思った以上に人と金が動いてる気がする。


「その……俺達レベルでそんなに人使って、大丈夫なんですか?」

「……社長の指示ですか?」


俺の質問に黒沢さんが答える前に、真白が質問を重ねた。社長の指示?なんで?


「……そうね。今回のイベントは採算が取れなくてもいいとは言われてるわ。それよりタレントに傷をつけるなと」


それだけ聞いてるとタレント思いのすごくいい社長なんだけどな。なんかそれだけじゃない気がするんだよ、あの人。


「……もしかしてですけど……いや、それはいいか」


真白は何か気付いたみたいだけど、話すつもりはないらしい。気になるな。


「いや、気になるじゃん。言っとけよ」

「いや……」


言い淀むなんてらしくないな。首を傾げると、黒沢さんが話を止めた。


「今はこっちに集中してね。はい。これが当日の会場の配置図とタイムスケジュール」


そして本題を持ち出されたので、この話はそこまでとなった。そして俺もすっかり忘れてしまった。

いやだってさ、この直後に歌のレッスン入ってたし、本番にむけて歌とダンスの練習に本腰入れなきゃいけないしで、そっちで頭いっぱいになっちゃったから。


そしてレッスンも終わって解散というところで、真白からもう一つ宿題が出た。まだあったよ、準備。


「衣装の買い出しも行かないとな」

「あぁ~、それもあったか」


専属のスタイリストさんや衣装さんなどいないので、俺達は自分で衣装を買ってくるのだ。カナタさんたちや女子グループは外注してるらしいが、よく知らない。


「じゃあ月曜日に……」


買い出しだな、と続けようとして。


「買い出しデートだな」


んん?

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