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39.心境の変化は、俺だけじゃなかった

バタバタしてて当日やっと書き上げました。次は久しぶりに真白の気持ちが見えるようにします。

「そーま」


どこか子供っぽく聞こえる、いつもより高くて、甘えた声。

細めた目が俺を捉えて、剝き出しの細い腕が伸びてきて、俺の頬に触れて。


「……したい?」


ベッドの上、タオルか何かを身体に巻き付けただけの真白がそう言って、笑って。

俺は、うんって答えて、そのまま真白の背中に手を回して、ベッドに倒して――



…………っていう夢を見ましたおはようございます。

日中の妄想から解放されたと思ったらこれだよ!昨日の走り込みが足りなかったせいだな!?夜中まで真白と今後の活動について話してて、それから走り込み始めようとしたら親から30分くらいで戻れって言われたからな!筋トレ増やしたけど負荷が足りなかったんだな!


くっそ、ウエイト買って強制的に負荷を増やすか……時間には限りがあるもんな、この際体脂肪率かなんかで目標決めるか?あ、筋トレの動画とか作ったら一石二鳥だな。あぁー、でもそれやるなら部屋片付けて撮影スペース確保しないとだな……。


……。

…………。

……………………あんな風に誘われたら、止まれないよな……。


いやわかってる。真白はあんなことしない。言わない。

じゃあつき合ったとしてどうコトに及ぶのかって、んなこと考えるなよ俺!まだだろ!ちゃんとした告白もしてないし!またこっち方面ばっかり進めて上手くいくはずないから!ちゃんと、真白のこと女として好きって実感できるまでは待て!ステイ!はい集中!眼の前のことに……ってもう朝飯食って家出る時間じゃん!


「行ってきます!」


はぁあ〜。いつもの時間だよ。これ普通にホームで真白と合流するな。どんな顔して会えばいいんだよ。もう変な妄想とかしないから大丈夫とか、昨日言ったばっかだよ。

いや、ここから気持ちを切り替えろ。これができないと今後の活動に影響する。

大丈夫。真白はあんな事言わない。あんな顔しない。あれは別物。真白じゃない。


「おはよ。……どした?」


先にホームに着いていた真白に挨拶されて、いつも通りに返したつもりがやっぱり微妙におかしかったらしい。


「いや、何でもない。それより今日は買い出しして帰るんだよな?」


今日の放課後は配信で使うお菓子の買い出しをする予定だ。本日の企画は甘いもの大食い対決。普通に食べる量なら俺の圧勝だが、甘いもの縛りならいい勝負になるんじゃないか?という真白の提案で決まった。辛いものだとどうだろうな。俺も真白も得意じゃないから、最初の一口で終わりそうな気がする。


「うん。うちの食材の買い出しもしたいからよろしく」

「了解」


じゃあどこの店にするか、なんて話しながらの登校はいつもどおりだった。お、なんかこれ大丈夫そうじゃね?なんでだろ。ちょっと前なら申し訳無さであからさまに挙動不審になってたのに。


……あぁそっか。友達相手にソレは駄目だって、俺が罪悪感持ってたからか。今はなんか……真白が、嫌じゃないって言ってくれたのもあるし……その、少しだけど、好意のある相手には、普通のことだと思えてる……ってこと、かな。


いや、多少は気まずいぞ?変な方向に頭の中が暴走しないように気は使ってるけどな?

でもまぁ、なんとか普通っぽい対応は出来てる。大丈夫そうだ、うん。




病み上がり(ということになっている)真白がいきなり大食い対決とか言い出したので、配信は盛り上がった。いや、盛り上がったというか心配されたというか。でもまぁ、俺の挙動不審もなく、真白も元気な姿を見せられたしで、ファンの不安も俺の不安も払拭できたと思う。


え、対決の勝敗?

…………最後に砂糖の塊みたいなやつ齧ったら頭痛がしてそれ以上食えなかった。なんでアイツあんなんバリバリ食えんの?頭脳労働してるからとか言ってたけど、そういう問題じゃないと思う。


「なんかしょっぱいの食べる?」

「食べたい。あと少し体動かしたい」


配信終わって機材の片付けまで終えて、真白が言ってくれた言葉に即答した。口の中に残る甘味と体内に溜まりまくった糖分をなんとかしたい。無理。ほんと無理。


「何があったっけな……おにぎりとかでもいい?」

「頼む」


キッチンに向かいながらの会話の最中も、まだ頭痛が残ってる気がする。

ダイニングのテーブルに突っ伏して、真白が食べ物を用意してくれるのを待つ。

……ここでうっかりやらかしたのが二日前とは思えないくらい、落ち着いた空気だ。いや、思い出したらちょっとソワソワしてきたが。


「はいよ。それで足りる?」


目の前に出されたおにぎりに手を合わせる。塩分!塩分が欲しかった!


「後で動くからこれくらいでいい。いただきます!」


鮭とツナマヨ、ちょっとしょっぱめなのが嬉しい。向かいに腰を下ろした真白も流石に塩分を欲していたようで、ツナマヨおにぎりに齧りついている。お茶を挟んで完食すると、ようやく口の中も胃の中も落ち着いた気がする。


「ごちそうさま」

「はい、おそまつさまでした、と。一休みしたら振りの確認でもする?」

「あー、うん。そうだな」


ダンスの練習中の曲があるんだよな。とりあえず真白と練習して、本格的に負荷かけるのは家帰ってからでいいか。

ダンスのことを考えたら、社長の言葉を思い出した。真白との調和のために抑えてる、かぁ。悪いことじゃないとは言われたけど、ひっかかるな。

かといって真白に言うのもなんか違う気がするし。


「……昨夜、颯真が夢に出てきた」

「んっ!?な、なにして、た」

「は?」


しまった。あからさまに俺が自分の夢に引っ張られてる。


「何って……いつもどおり、なんかこーやっていっしょに飯食ってるだけだったけど……」


どうかした?と疑問に思われてしまった。こういうとき、真白はすぐ正解にたどりつくのでそこを深堀りされるとまずい。


「あ、で、その夢が、どうした?」

「え、あぁ。いや、あんまりいつも通りだったんでなんでこんな夢見たんだろうと思ったんだけど」

 

よし。なんとか矛先は俺から反れた。

ていうかほんとに何でだろうな。


「現時点で俺が望むものなのかな〜とか」


それって……やんわりとお友達でいましょうねって言われてる?

内心のショックがそのまま顔に出ていただろう俺に、真白は笑う。


「今以上が想像つかなかったんだよな」

「わかる」


おもいっきり被せて言ってしまった。一瞬目を合わせて、二人で笑う。


「でもまぁ、今以上もあるかもしれないわけじゃん?」

「……まぁ、うん」


だめだ。今以上ですぐそっちに走るな俺の脳内。なんとか平静を装って答えてみせる。これバレてないよな?


「だからまぁ、俺も色々、考えてみる」


……ん?考える?


「どうすれば今以上になれるのか。そんなのがあるのかわかんないけど」

「……うん」


これは前向きに考えてくれてるってことで良いんだよな?

ただその、恋人になるってのが、今よりいい関係だって真白に思ってもらわなきゃいけないわけで。……あれ、なんかこれプレッシャーだったりする?


この後、ダンスの練習を終えて家に帰ってからも、夜中のトレーニング中も、真白の「今以上」が頭の中をぐるぐる回り続けていて、よけいなことを考える暇もなく眠りにつけた。

これで前日と同じような夢を見てたら、自分で自分にがっかりするとこだった。

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