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19.こんなイケメン可愛いとは思えない

カナタさんは流石だ。びっくり発言にも手を止めず、さらにトークも切らさない。


「颯真くんのお父さんかー。どんな感じ?」

「ワイルド系ですね。武骨っていうか……イケてるというより男らしい感じの」


そう。親父はお洒落とかあんま興味ないけど、顔もはっきりしてて体もでかくてしっかりしてる。アラフィフだけど弛んでない。身内ながら、飾り気はないけど男らしくてかっこいい、とは思う。

でも真白と被る要素一個もないぞ?


「あー、うんうん、なるほどね。颯真くん、写真ないの?」

「え、えーっと、家族で撮った写真……あった」

「どれどれ……うわっ、美形一家!なにこれお母さんめっちゃ美人だし四兄弟全員イケメンじゃん!」

「はぁ、どーも……」


わりと小さい頃から褒められているので、自覚はある。とくにおふくろの美人さはわかる。でもなんか、身近すぎて、自分や兄弟を褒められてもしっくりこない。


「そしてお父さんは、たしかに!かっこいいね。大河ドラマで武士の役で出てきそう」

「そう、そこなんですよ。王子様じゃなくて武士なんですよ、俺の理想」

「いや無理だろ……」


思わず漏れた本音に、真白がむっとした顔をしてみせる。


「知ってる。無い物ねだりなんだよなぁ」

「ふむふむ。たしかにね~。男装っていっても王子様系はまだやりやすいけど、こっちに寄せるのは……やるだけやってみるけど!」

「お願いします!」


というわけで、なんかカナタさんのやる気に火が付いた。

塗っていくたび顔が立体的になっていって、すげーとしか言えない。

あんまりやると舞台の化粧みたいになるんじゃないかとハラハラしたが、さすがにそこはおさえているらしく、仕上がりは完璧だった。

うん、完璧な、男前の真白だ。


「すげぇぇえ!」


珍しく真白が興奮して声を上げている。うん、いつもの5割増位で男前だ。ちょっとこれは、横に立ちたくない。もともとあった華やかさに男らしさまで加わって、完全無欠って感じ。


「相方の颯真くんはどう?」

「かっこよすぎて隣に立ちたくないです」

「そう言うと思ってたんで、颯真くんも少しメイクしようか」

「え?」


あれ?そんなん予定になかったけど?

雑に日焼け止めを塗っただけだった俺も顔を洗って、なぜかメンズ向けのメイクを施される。流石に女装メイクや男装メイクほどの時間はかからなかったけど、何だかんだと十分くらいは拘束された。

仕上がりはそう、カナタさんが真白にはやりにくいって言ってた赤リップの、韓流アイドル風メイク。女っぽい自分の顔は、なんとなく女装したときを思い出してしまい、微妙に喜べなかった。


「はい。というわけで、Alice blueプロデュースドbyカナタの完成です!イケメン三人で踊る動画はAlice blueのチャンネルで見られるので、そちらもよろしくね〜!」

『よろしくお願いしま〜す!』


という感じで、メイク動画の撮影を終え、ダンスの撮影前に一旦休憩を挟むことになった。


「いやしかし、あそこで颯真くんの名前出すとか公開告白かと思っちゃったよ」

「まさか。自分でも言ったけど無い物ねだりなんですよ。ワイルドで男らしい男に憧れるのは。その身近なお手本が颯真のお父さんってだけで」

「じゃあ俳優で言ったら誰?」

「そーですね……」


カナタさんと真白が俳優や男性タレントの名前を挙げる中、俺はぼんやり考えていた。

無い物ねだり……まぁ、そーなんかな。俺は別に、王子様っぽくなりたいとか思ったことないけど。あぁでも。


「真白みたいになりたい、は、あったかも……」


ぼそりと漏れた独り言は、独り言を言うには近過ぎる場所に居た二人にもしっかり聞こえていたらしい。会話を中断して、まじまじとこちらを見ている。視線が痛い。


「いや、顔とか体型とかそういう話じゃなくて、弁が立つとか自信があるとか、ニヒルな感じがこう、俺にはないなって……思ったことが、あるってはなしで」

「はいはいはい。なるほどなるほど?そうなると真白くんも、そういう感情はあったわけだ?」

「え?俺は……」


話を振られた真白が言い淀む。わかってるよ、お前が俺を羨むとこなんかないよな。この間ちょっと褒められたからってそんな勘違い甚だしい期待はしない。


「まぁ、昔から颯真は羨ましかったですけど。男に生まれたこと含め……家族も、体格も」


えっ。

えっえっ、嘘だろ?

なんか十年来の関係がひっくり返ったような衝撃なんだけど?

なになに?真白が?俺のこと羨ましいって?


「ははーん。これが親友ってやつ?腐女子が聞いたら喜びそう」

「まぁそこ喜ばせるのも仕事のうちですよね」

「言うねぇ、真白くん。んじゃこの話もどっかでするの?」

「うーん。どうでしょう。ここで出しちゃったから、颯真のリアクションが上手くいくかどうか」


なんか失礼な話してんな?っていうか、恥ずかしいからあんまし言いたくないんだけど。……言われる方は、まあ、嬉しいけど。



ダンス動画の撮影も終わり、いよいよ夏休み本番を迎えた俺は、ちょっと浮かれていた。

筋トレのメニュー増やして体作って、空いた時間に普段会えない他の学校に行った友達に会ったり、夏休み後半にある事務所のイベントの打ち合わせをしたり、動画の編集をしたり。

真白は進学科だから、一週間くらい補習があるらしく、今のところはいつもと変わりないみたいだけど。


いやー。でもやっぱ勉強時間減ると楽だわ〜宿題は後で真白と一緒にやれば教えてもらえるし、夏休み楽しすぎるぜ〜。

なんて浮かれていたある日、黒沢さんから連絡があった。いつもの打ち合わせとは別というので、イベントについてかと思ったが違うらしい。何より、真白抜きでと云われて、何だか嫌な予感がした。


「どーしたんですか?またなんか、アンチが物騒なこと言ってるとか?」

「ええと、今回はアンチとは逆というか……ちょっとね、本人に伝えるにはデリケートな問題で……対応が終わってからとも思ったんだけど、イベントも控えてるし、一応颯真くんには知らせておいたほうがいいかとおもって」


なんか色々、面倒くさいことになってることはわかった。

アンチとは逆?真白のガチ恋が凸しようとしてるとか?いや、それだけなら真白にも伝えそうだし、なんだろ……。


「……アイコラって聞いたことある?あぁ、ディープフェイクって言ったほうが伝わるかしら?」

「は?」


知ってる。知ってるけど、それってつまり。


「真白くんのアイコラが見つかったの」

年齢制限大丈夫か怪しいですが……。わからないひとは調べてみよう。

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