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3 裏ステータス


3 裏ステータス




「では、オッパイもいらないと……」


「……う、はい」


 すごく迷うが、ここは断ろう。そんなことして場合じゃない。


「……そうですか……」


 イノマリさんは、残念そうに胸をしまった。


 日入りのようにスッと乳首が隠れ、ちょっと悲しい。


「まさか、おっぱいを吸ったら体力が回復するなんて、ははは」


 僕は気持ちを明るくしようと、その場で飛び跳ねた。


 おっぱいを吸ってから自分のHPは回復して、ぴょんぴょんと撥ねることもできるようになっている。


「それで吸うか聞いてたんですね、何かと思いました」


「何をおっしゃいます、オッパイを吸ったから回復するのは当たり前ではございませんか」


「……しませんよ?」


 何に言ってんだ、この人?


「オッパイ飲んだことないのですかリベルラ様は?」


「……なるほどそりゃ元気になります。でも瀕死だったのが治りはしないでしょ」


「治りますわよ、ちぎれた腕ぐらいなら再生します、何も知らないのですね」


「……」


 そうなの?僕が知らないだけか……。


 急にイマノリさんが神妙な面持ちで話し始めた。


「ただひたすら……。我ら魔族は人間どもに駆逐され……ずっと復讐の機会をうかがっておりました。ずっと我らを導くお方を探しておりました。我ら魔族と共に、人間共に復讐しましょう、リベルラ様」


「……復讐……」


「そうです、妾達の考えた作戦をお聞きください」


「……はぁ……」


「まず、ギルドへ行って冒険者パーティ登録をします」


「魔族なのに無理だよ」


 僕の反論に、イマノリさんは即座に返す。


「そのための指導者様でございます。リベルラパーティとして身を隠しながら力を溜め、天帝の座に座り、見事に我が魔族の悲願、世界征服を共に成し遂げましょう!」


「……えっ!天帝!?」


 あまりの事に僕は身をのけ反らした。


「はい!そうやって世界を魔族が牛耳るのですわ。神め、まさか自分が人間の作ったシステムによって人間を支配されてしまうなんて、思ってもいないでしょうね、ふふふ、ふふふふふ」


 イマノリさんが不吉に笑っている。


「……えっいや、マジで言ってるの……」


 自信満々で言ってくるイマノリさんに、僕は何も言えなかった。


 僕を指導者なんて……。


 あきらかに間違えられているが、そんなこと言ったらどうなるかわからない……。


 ……どうしよう、これから……。


「とりあえずリベルラ様。ここに連れてきた者が指導者様の能力の何を見て、指導者にふさわしいとしたのかを知るために、ステータスを確認しますわ」


「えっ!?やめてっ!?」


 ステータスなんて確認されたらっ!


「スキル発動、デビールアイ!」


 イマノリさんが手で眼鏡を作った。


 両目から放射状に怪しい光が放出され僕が照らされる。


 いきなりで逃れられなかった。


 僕のステータスが表示され、イマノリさんが見つめる。


「……、……はああああああああああああああああああ!?」


 しばしの沈黙の後、イマノリさんが叫び声をあげた。


「さて、と」


 僕は踵を返し、


「元気になったし僕は帰ります、おつかれさまでした」


 と言って立ち去る。


「低すぎる!リベルラ様、この低いステータスはいったいどういうことでしょうか!?」


 イマノリさんが襟首を掴んできて僕を引き戻しながら尋ねてきた。


「……いや、なんでだったっけな……」


 首をひねって僕もわからないふりをする。。


「あっそうか、裏ステータスの方ですね?」


 イマノリさんが、手を叩いて安心した顔になった。


「……裏ステータス?」


「そうです、あまり人間には知られていない項目でございます。さっそく確認してみましょう。スキル発動、デビールアイ!」


 僕のステータス表示が変わり、その画面をイマノリさんが見つめる。


「……」


 またも見つめながら沈黙してしまった。


 僕は踵を返し、今度こそ立ち去ろうとした、その時、突然壁に大きな影が現れ、その陰から悪魔の扉の二人が現れる。


「お母さん、聞いてフウガの奴がぶつんだよ」


「違うよお母さん、ライガの奴ってあれ?そいつはさっきの」


 悪魔の扉の二人が僕を見て立ち止まった。


「ライガ&フウガ、失礼ですわよ。この方が我らが指導者であります」


 イマノリさんが僕のステータスに釘付けになりながら、こっちも見ずに言った。


「ええええっ!?そうだったの!?」


 悪魔の扉の二人が僕に跪く。


「そうだと思ってました!なんか貫禄ありますもん!」


 二人が揃って、へこへこしながら言ってきた。


「そうですわよ、我ら魔族は、我らがサオン家から復活するのです」


 イマノリさんがデビルアイで解析していた僕のステータスを、空中に浮かべ皆に見えるように見せる。


 悪魔の扉の二人と一緒に僕もそれを見ると、


 感受:8

 器用:0

 集中:9

 魅力:2

 精神力:3

 運:3

 所持スキル:覇王の紋章


 所持スキルになんかある……おかしいな、僕はスキルなしだったはず……。


「とても低いステータスですが、なるほど、リベルラ様が連れて来た理由がわかりましたわ。やはりあなたは、妾の運命の指導者様でしたのですね」


「あの、このスキルの項目、なんかあるんですが、何ですかこれ?」


 僕は覇王の紋章と記されている項目を凝視しながらイマノリさんに尋ねた。


「裏スキルですわ」


「裏スキル……」


 僕はイマノリさんを見る。


「裏スキル?お前知ってるか?」


「お前が知ってなきゃ、俺が知ってるわけないだろう」


 後ろで悪魔の扉の二人が首をひねっていた。


「覇王の紋章……これは特級クラス中の特級クラススキルですわ」


「……一体、どんな能力何ですか?」


 と尋ねる僕に、イマノリさんが跪いた。


「一体どんな能力なのか、お前知ってるか?」


「お前が知ってなきゃ、俺が知ってるわけないだろう」




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