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3 牢の中で


3 牢の中で




 でもいったいどうやって死のう?


 痛いのは嫌だな……。


 ……。

 ……餓死はどうだろう。


 牢屋でできる自殺方法と言えば、これぐらいしか……。


 ……。

 ……お腹減ったなぁ。


 食べちゃいけないとなると、急に腹が減ってきた……。


 ……ああ……なんか食べたい、死にたいのは後で良いや。


 ……。


 ……僕に才能が有ればなぁ。


 馬鹿にされずに済んだのに。


 損ばかりする人生じゃなかったのに。


 彼女もできて、友達もできたのに。


 言いたいことも全部言えたのに。


 お金も稼げてたのに。


 全員ぶち殺せたのに。


 僕を馬鹿にしたやつら全員……全員ぶち殺すのに。


 ……。


 生まれ落ちたのが間違いだったんだ。


 僕は、なんでこんな風に生まれたんだ?


 ……。


 ……マンヒはなぜ、恵まれて生まれてきたんだ?


 運だろ?


 運だけだろ!


 違うか?たまたま、生まれ落ちた時から持っていただけだろうが!


 どうして僕ではなかったんだ……。


 僕もあんなふうになりたい。


 僕には、存在意義がない……。


 誰かに必要とされたことが……今まで一度もない。


 ……。


 ……僕にはもう無理だ……。


 どうせ頑張ったって報われない。


 元が重要なんだ。


 元が悪いのに努力を重ねても高みには届かない。


 ……。

 ……怖くて、死ぬこともできないんだ……。


 ……。


 牢屋での日々は、一日に一回一時間だけ外に出れて運動ができる。


 この時間だけが僕の生きる喜びだ。


 塀に囲まれ四角い空を見上げて一時間を過ごす。


 あとは真っ暗な牢屋で寝ころんで過ごす。


 時間が経つのが長かった。


 牢にいると、全然時間が進まない。


 まだ10日くらいだ。


 おじいさんになるまで、居なくちゃならないのに……。


 もっと早く過ぎてくれ……。


「1029番、牢を開ける。扉から離れた壁に貼り付け」


「はい、警備兵殿」


 ピシッと立って、駆け足で壁まで移動する。


 警備兵が新しい囚人を連れてきた。


 牢に突き飛ばされると、そのまま倒れ、動かなくなる。


「こいつは1030番だ。少しの間だけ一緒の牢になる。面倒は起こすなよ」


「はい、警備兵殿」


 警備兵がこちらを一瞥することもなくスタスタと去って行く。


 僕は元通り寝ころんだ。


「……誰か……お願い……」


「……」


「……そこの人……お願い」


「……」

 弱弱しい声で、倒れたままの1030番が何か言っている。


「……そこの人……こっちに……」


「……うるさいな……」


「……お願い……こっちを見て……」


「うるさいぞ、何なんだ」


 僕は1030番を寝ころんだまま振り返った。


「……返事を、してくれたね……お願いがあるの……僕を……殺して……」


「気が狂っているのか、お前?」


「……本気で言ってるよ……」


「……こんなところで殺しなんてできるわけないだろう、罪が増えちゃうじゃないか」


「……魔族の誇りを失う前に……お願い……」


「……魔族だって?……でも言葉遣いが普通だけど?」


「皆、バレない様に……方言は、隠しているよ……」


「駆逐されたんじゃなかったのか?」


「……隠れて、いたの……竜の、洞窟にも……生き残りが、いるはず……」


「……行ったことがあるよ、あんなところにいたのか」


「……ここから……脱獄させてあげる……国境近くにある、竜の、洞窟に連れて……行ってあげる」


「なんだって?」


「……そしたら、そこで殺して……そしたらバレない……」


「本当に言ってるのか?」


 僕は起き上がり、1030番に近づく。


 警備兵にもしもでも聞かれないように小声で話した。


「本当にできるのか?魔壁があるし、監視の目もある……魔族特有のスキルかなんかでならできるとかか?」

「うん……そう……」


「……何でそんなに死にたいだ」


「僕は……すぐに死刑になる……生き恥をかきたくない……」


「……ふーん……よし。やってみてよ。もし本当なら、いくらでも殺してやるよ」


「……じゃ、やるよ、もっとこっちに来て」


「……」


 恐る恐る1030番に近づく。


「……僕に……抱き着いて……」


「……」


 1030番を抱きしめると、血の匂いがぷんと匂ってきた。。


「始め……ますよ……あなたの生命力を……奪って……発動します……祈って……いて」


「うん、わかった……へ?生命力をなんだって!?」


「……大丈夫、HPが100減るだけだから」


「えっ?あっ!駄目だ駄目だ!僕のHPでは――」


「――スキル発動!ダーププ!!!」


 1030番が静止を無視して、死にかけの見た目からは想像できないくらいの大声で叫んだ。


 びっくりした途端、僕は強烈な違和感に襲われる。


 様子のおかしい辺りを見渡してみた。


 岩肌に囲まれ、パッカ(光球魔法)の明かりでほの明るい、だだっ広い空間に僕はいた。


「うまく……いきましたか?」


「……うん……ここ竜の洞窟だ……ここ、牢屋じゃない……ただ、体の調子が……呼吸が……苦しいし……立ち上がれない……」


 くそっ、僕のHPが101しかないから、残りHPは1しかしかない。


「どうも、瀕死状態……だ……これでは、僕の方が……死ぬっ」


 僕はその場に倒れ込んでしまった。


「もう……ごめん、あんたを殺せそうに、ない……」


「……」


「……おい?」


 1030番が返事をしない。


 男は死んでいた。



少しでも

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